2008年10月14日
ナイチンゲールの沈黙 / 海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」が大変良かった著者の、次なる作品。今回も舞台設定は同じで、一つの物語世界を形成している。前作が素晴らしかったため、つい期待してしまったのだが、ちょっとあそこまでの完成度を求めるのは酷だったか...というのが率直な感想である。いや、決して悪い出来ではないのだが、前が良すぎたね。(^^; ********** 今回のお話も、医療の最前線にいる著者ならではの記述が随所にちりばめられている。前作同様、難しい話をわかりやすく書くというのが上手。これはこれで、さすがである。ただ、ミステリーとしてはちょっとどうかなあ。Amazonかどこかの書評にもあった気がするが、SFっぽい感じも・・・ 前作がバリバリのリアリティを追求していた(ような気がした)だけに、正直なところ、違和感は否めない。巻末のによれば、著者はすごいペースでその後も作品を発表しているらしい。刊行順に読むことをオススメする、とまで言い切っているところから推測するに、おそらく物語世界としては、この後の作品も共通なのだろう。だとすると、本書のストーリーはこの後の作品において、伏線になっている可能性もある。それらを読んでみて味わいが深くなる、という可能性も考慮しておくべきか。そんなわけで、もうしばらくは「要チェック作家」のステイタスをキープである。************* ナイチンゲールの沈黙 (上) / 海堂尊 (宝島文庫) ナイチンゲールの沈黙 (上) / 海堂尊 (宝島文庫)