tennis365.net テニス365ブログ 新着記事を読む ]    [ テニス365 ホームショッピングニュースログイン ]

口ほどにもない奴 ANNEX 【おことわり】管理人が不適当と思うコメントやトラックバックは予告なく削除します。ご了承ください。

きりう
<<  2012年 12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
最近の記事
打ち納め2012
12/29 19:00
年忘れ系
12/24 19:17
私設ジュニアアカデミ…
12/16 19:24
濡れネズミ
12/15 15:51
ドリームテニスARI…
12/09 21:36
【感想】OPEN  …
12/02 17:06
市民大会団体戦201…
11/20 22:50
月別アーカイブ
最近のコメント
I'm only g…
Daniel 10/30 02:19
What's the…
Lauren 10/29 00:55
I was born…
Sarah 10/25 17:24
A law firm…
heyjew 10/22 01:05
「日本の旅を始めたば…
グッチ 店舗 10/19 18:10
I'd like t…
pitfighter 10/18 21:27
中には2色ボールペン…
モンブラン 10/18 05:28
Can I call…
Mariah 10/15 15:03
I live in …
Gracie 10/10 22:13
I don't kn…
eblanned 10/09 19:00
このブログサービスは「テニス365 テニスブログ」で運営しています。テニス365会員なら無料でご利用・作成いただけます。






【感想】OPEN  アンドレ・アガシ

久々のブログ更新。

週末ごとにテニスはしていたのだけれど、練習だけだとあまり書くこともなくてね。
先週、試合(草トーの団体戦)があるはずだったので、そこでの更新を目論んでいたのだけれど、雨で中止になったこともあり・・といきなり言い訳から入ってしまいました。

で、アガシさんの自叙伝を読んだわけです。
史上最高のリターナーの一人、生涯グランドスラムの達成者、オリンピックの金メダリスト、奥さんはあのシュテフィ・グラフ、前妻は女優のブルック・シールズ。

そりゃもう、これだけの豊富なネタなので、面白くないわけがない。

若い頃から話題に事欠かなかった彼の人生。
やんちゃ坊主からイイ男に変わっていくさま。
テニス界の裏側を知ることができるエピソードの数々。
もう時効という認識なのか、エッ?!と思うような告白。

いやはやなんとも。冷や汗

あんまり書くとネタバレになるのでこのくらいにしておきますが、現役時代のアガシを知るテニスファンならば、かなり楽しめると思います。ナイス!

なお、ネット上のあちこちで散見される「翻訳がイマイチ」という評価は、そのとおりです。(笑)
わたくし自身は、原文の雰囲気が伝わってくるような気分になれたという点で、プラマイゼロってところでしょうかね。あはは。


| 投稿者 きりう 17:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】昭和16年夏の敗戦  猪瀬直樹

最近、読書量が減ってしまってちょっと反省しているところ。
リハビリも兼ねて(?)ゆっくりペースで読んでみたのが本書である。
最初に刊行されたのは随分前なんですね。
最近、文庫で再版されたために目についたんでしょう。
内容としては、こんな本。
緒戦、奇襲攻撃で勝利するが、国力の差から劣勢となり敗戦に至る…。
日米開戦直前の夏、総力戦研究所の若手エリートたちがシミュレーションを重ねて出した戦争の経過は、実際とほぼ同じだった!知られざる実話をもとに日本が“無謀な戦争”に突入したプロセスを描き、意思決定のあるべき姿を示す。

教科書では習わない歴史。
どこまで真実なのかはともかく、丹念な取材とそれに基づく丁寧な描写が印象的なのである。
それがゆえに、日米開戦という結論に至るプロセスのやるせなさが何とも胸に響く。

戦争を知らない世代は、ぜひ読むべきですね。
オススメです。
(・・・と、たまには真面目なコトも書いてみる。ナイス!


| 投稿者 きりう 21:43 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】学力と階層 苅谷剛彦

「学習資本」の階層差がますます拡大する日本の教育。
「出身階層」という社会的条件の違いが子どもたちにもたらす決定的な差について警鐘を鳴らす。
90年代以降、迷走を続けた教育政策を豊富なデータとともに検証。
学力問題の第一人者が説く処方箋。


深いですねぇ。
一言でいえば、「実感」を裏打ちしてくれるような本、でしょうか。
なるほど、そうだよね、と思いながら読みました。

でも、こんなにカタい(難しい)本を読んだのは久しぶり。
そのせいか、いま、ちょっと頭痛がしてます。
ダメじゃん。冷や汗

人材育成とかではなくて、主に学校教育のあり方の話です。そっち方面に関心のある方にはオススメかな。


| 投稿者 きりう 23:15 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】キミは何のために勉強するのか 富田一彦

前著「試験勉強という名の知的冒険」が面白かった著者。

ふと書店に立ち寄った時に目を奪われた。
もう第二弾が出ている。びっくり
なるほど、やはりそれだけの評価を得るコンテンツだったんだな、と再認識。
となれば、これも・・・?と、気がついたら代金を払っていたよ。冷や汗

で、感想。
こっちの方が読み物としては面白い。
ただ、ちょっと「濃い」かな。
好き嫌いが分かれるかも。ダメな人にはダメでしょうね。

で、実用性としては断然、前著です。
サブタイトルに「試験勉強という名の知的冒険2」とあるものの、続編として位置付けるのは少々強引じゃないかな。
こっちは心構え的な話が多いんでね。

まあ、「いかにも」な書名だし、ブレないという意味で立派です。
わたくしは好き。


| 投稿者 きりう 21:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】臨場 横山秀夫

錦織くん、負けちゃったなぁ。残念。
でも、デルポトロをかなり追いつめたとか。
次こそは、期待できますかね。全米が楽しみです。

さて、今日のお題はこの作品。
映画になるってことで平積みされていた文庫本である。


原作を読んで映画館に行こうと思っていたんだが、購入してすぐに気づいたことには、どうも既にドラマになっていたっぽいこと。
なーんだと思って、なんとしばらく放置。冷や汗

で、先日の人間ドックの際、待ち時間のお供にと思って持ち込んだ。

・・・と、最初の数ページ読んで、妙な既視感。

ああ、そうだ。
コレ、まだ文庫になる前の単行本を図書館で借りて読んだわ。
わたくしもヤキが回ったかな。やっちゃったぁ

というわけで、謎解きとしては、さほどのびっくりもなくスラスラ読んだわけです。
でも、再読なのに結構面白かったってことは、良質な作品であることには間違いないですかね。
短編集なので読み易いし。
ちょっとしたお時間の娯楽にはオススメかも。ナイス!
| 投稿者 きりう 22:11 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】きみはポラリス 三浦しをん

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。
三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。
けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている―。
誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。
カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。



ポラリス。つまり、北極星ですな。
それが恋愛小説集のタイトルに使われているのを見て、「語感として、なんとなく」いい感じだなと思ったのが最初の印象。

で、読んでみて「なるほど」と思ったのが、いまの印象。

三浦しをんさん、うまいなあ。

短編集は通勤の合間に読めるのが嬉しいところだが、それに加えて本書は、何となく心までおだやかになった気がして・・・
うーん、よかった。にっこり

こういうの、もっと読みたいな、と。
わたくし的オススメです。


| 投稿者 きりう 23:31 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】原爆投下 黙殺された極秘情報  松木秀文, 夜久恭裕

さるお方からのオススメ本。
ま、このジャンルを推奨してくださる方といえば、わかる人にはわかるかもしれませんけど。(笑)

核兵器による大量殺戮は避けられたのか

広島・長崎あわせて20万を超える命を奪った原子爆弾。これまで日本は、アメリカによる攻撃を「想定外の奇襲」だとしてきた。しかし実際には、原爆投下に向けた米軍の動きを察知していたことが新たな証言と資料から明らかになってきた。なぜ情報は活かされなかったのか。その大きな問いに迫る。


上こういう本なので、テーマ的には結構重い。

そして、この本の前段には「NHKスペシャル」の番組がある模様。
わたくしはそれは見ていなかったのだが、そこで伝えきれなかったこと、その後にわかったことなども含めて書籍化したものであるということらしいので、内容的には網羅されているのでしょうね。
もちろん、映像の方がわかりやすい部分もあるはずで機会があれば見てみたい気がします。

で、原爆投下そのものをキャッチしたわけではないにせよ、その可能性を十分に想起し得る情報を事前に得ていたこと、なのに、それが全くと言ってよいほど活かされなかったこと。
このあたりを明らかにしている点がこの本のキモだといえましょう。
・・となると、どっかの国の原発事故と似てんじゃね?という感想を持つ人が自然と多くなりますわな。

いやはや、なんとも。

考えさせられますわ。
こりゃオススメしてくださった方の術中にまんま嵌ったかな、と。

なお、「すごい本だから読んでみろ」と息子に貸してみたところ、彼は途中で「恐くなってきちゃって」読むのをやめたそうです。冷や汗
さすがに中学1年生にはちょっと厳しかったか。残念。


| 投稿者 きりう 21:57 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】スリープ 乾くるみ

目覚めると、そこは30年後の世界だった。
『イニシエーション・ラブ』『リピート』に続き、今度は未来へ…6年ぶりの長篇書き下ろし。


この作家さんの場合、もうどこで騙されるかが楽しみなのである。
本作品は、比較的わかりやすいけどね。悪だくみ
でも、やっぱり初読の時には気づかなかった伏線があったりして、二度読みが楽しいなあと思いました。
その意味では、期待を裏切らなかったといえましょう。にっこり

普通に面白かったです。(失礼!)



さあて、バックログがだんだん片付いてきたぞ。
積読解消まで、あと少し。炎
| 投稿者 きりう 23:32 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】セカンド・ラブ 乾くるみ

乾くるみといえばイニシエーション・ラブ
間違いなく、代表作であり傑作であると思う。

その「イニ・ラブ」の第二弾とされているのが本書。
といっても、続編ではない。
あくまでも第二弾という呼び方がぴったりなのである。

著者は「イニ・ラブ」を読んで本書を手に取ったわたくしのような読者を念頭に置いて、この話を書いている(と思われる)。
だから、「イニ・ラブ」未読の人は、まずそっちを先に読んだ方がよろしい。
その方が、著者と「対決」できると思います。ナイス!

お話自体は独立しているので、単体でも楽しめますけどね。

で、わたくしはといえば・・・今回もやられたわけです。
衝撃度は「イニ・ラブ」の方が大きかったけれど、今回は同じ轍を踏まないよう、ものすごく慎重に読んだわけですよ。

でも、やっぱり騙されちゃった。冷や汗

まあ、期待どおりだわ。
むしろ、うれしいよ。イシシ

それにしても、中森明菜と宇多田ヒカルねぇ。
で、それに飽き足らず男性陣まで・・・

・・っと、これも一種のネタバレになっちゃうかもしれないのでやめておこう。

遊び心いっぱいですわ。



| 投稿者 きりう 23:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】非論理的な人のための論理的な文章の書き方入門 飯間浩明

【問題】
 この本は多くの人に読まれるべきか。

【結論】
 読まれるべきである。

【理由】
 日本語による論理的な文章の書き方をこれほど整然と説明した本はなかなか見当たらないから。

ノート ノート ノート ノート ノート

遠い昔、似た感覚を覚えたことがある。
受験英語を克服するために精読した「英文解釈教室」。
ああ英語ってそういうことなのね、と思ったあの日の感じだ。

それが、今回は日本語ですからね。
なんというか、とても不思議な感じです。

ノート ノート ノート ノート ノート

この本については、こちらのブログで読んで、なんとなく記憶に残っていた。
そして先週、息子が宿題のレポートを書くために図書館に行くというのでそれにくっついて行き、たまたま見つけて、なんとなく借りてみたのだった。

ちょうど日本語の文章力(の指導)について、いろいろと思いを巡らしていたところ。
ドンピシャでしたね。

良い読書ができましたです。ナイス!


| 投稿者 きりう 16:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ローマ人の物語 塩野七生

いったい足かけ何年かかったでしょうかね。

文庫版で新しい巻が発売されるたびに買い足しながら読んでいったわけですが、最後の3冊は他に読みたい本のバックログが多かったこともあり、1年近くかかってしまったような気が・・・。(笑)

でも、数百年に及ぶ古代ローマの興亡を丹念に描いたこの作品。
やはり読んでよかったです。

物語としての面白さに加え、マネジメントという観点からのさまざまなヒントも得られるビジネス本的な要素もあって、教養の欠片くらいは得られたような気になりましたから。ナイス!

あ、そうそう、これ読んでなかったら、「テルマエ・ロマエ」の面白さも半減してたかもしれませんしね。イシシ

とにかく長いので、感想と言っても全体を通したものに仕立てるのはなかなか難しく、この程度の記述になりますが、とりあえずこんなところで。
(でも、やはりカエサルのあたりが一番面白かったかなあ。最後の方は、ローマがちょっとずつ衰退していくせいか、読み進めるのが大変でした。)

というわけで、やっとの完読。
達成感があふれているうちに、今日の記事を終わります。悪だくみ

画像は、文庫第1巻と最終巻です。
 
| 投稿者 きりう 23:28 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】学歴の耐えられない軽さ 海老原 嗣生

息子の中学受験に際し、参考にさせていただいたブログがいくつかある。
とりわけ、ブログ主が父親で、かつ、ご子息(お嬢さんではなく)が通っていた塾がウチの子と同じという数年先輩のものはたいへん貴重で、ありがたく拝読したものだった。
当該ブログは、中学受験の後もご子息の成長にあわせて中高一貫校の様子を綴ってくれているので、いまも継続的にチェックしているのである。

その貴重なブログで本書の存在を知った。

著者名を見て「おや?」と、ね。あれー?

わたくし、こう見えて(いや、見えてないか。笑)人事で仕事をしていたことがある。
リクルートワークス研究所が発表する文献は、穴が開くほど読み込んだこともあった。
その時によく目にしたお名前だ。

なるほど、この人が語るキャリア論もどきか、と。

AO入試とか、大学入試における偏差値のトリックとか、昨今の事情にすっかり疎くなってしまったわたくしとしては、人事目線と親目線のミックスで、本書を手に取ったのであった。

・・・って、前振りが長くなりました。冷や汗

で、読後感ですが、なかなか面白かったです。

へぇーーーーーーーっ!!!って感じですかね。
さすが、やはりこの人の着眼点は一味違うぞ、と。
論の運び方もさすが。うっかり信じてしまいそう。(違)

ま、それは冗談としても、最近の大学生とか、最近の就活とか、「それならわかる」という目から鱗の記述があちこちにあったのは事実です。
モトは十分とれたかな。

若干乱暴なところもあるので、全面的に依拠するのはアレですが、こういう視点も大事だなと思った次第でありまする。
(2年半前の出版なので、そのへんを考慮しながら読まなくちゃいけないけどね。)


| 投稿者 きりう 21:11 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】六つの手掛かり 乾くるみ

乾くるみといえば、「イニシエーション・ラブ」ですっかり騙されて以来、気になり続けている作家さんである。

最初に知ったときは寡作だと聞いていたので、書店等に寄ってもあまり入念なチェックはしてなかったのだが、本作品は偶然目について迷わず購入した。
(でも、ネットで調べてみると、その後それなりに書いているようだ。もうチョイちゃんと見なくっちゃ。ナイス!

さて、内容。

短編ミステリー集で、それぞれの作品に数字のタイトルが用いられている。
最初が「六つの玉」。
次が、「五つのプレゼント」。

その後、それぞれ四、三、二にまつわる物語が続き、最後が「一巻の終わり」。

全編通して、主人公は「林茶父」なる人物で、名探偵よろしく次々と事件を解き明かしていくという組み立てだ。

これがなかなか。

夢中になってページを繰る、というタイプの本ではないし、最後の最後に衝撃の結末が、というものでもない。
でも、面白い。

強いてたとえるなら、パズルを解いているみたいな、という感じですかね。スマイル

短編は通勤の友にはぴったりだし、オトクな一冊だった。
ライトに楽しみたい向きにどうぞってところでしょうか。


| 投稿者 きりう 21:54 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ドキュメント宇宙飛行士選抜試験 大鐘良一・小原健右

というわけで、「宇宙もの」の続きである。
「『宇宙兄弟』読者は必読!」というオビ(というか表紙)に惹かれて手に取った本書。

そういえばコレ、3年ほど前にNHKスペシャルで見たような・・・?
なるほど、あのときの番組が新書化されたってわけね。にっこり

2008年2月、日本で10年ぶりとなる宇宙飛行士の募集が、日本の宇宙研究・開発を担うJAXAによって発表された。
応募総数は史上最多。
そして、選抜試験自体も最難関で熾烈を極めるものとなった。
本書は、この選抜試験の取材を日本で初めて許され、さらに候補者10人に絞られた最終試験では一部始終に密着することに成功した、NHKの番組スタッフによるドキュメンタリー。
その10人がおかれた閉鎖環境という特殊な状況下で、彼らは何を考え、語り、行動したのかをつぶさに追ってゆく。
宇宙という極限の環境において自らの命を賭け、かつ他の乗組員の命をも預かる宇宙飛行士とはどういう職業なのか。
その資質と人間力に迫る。


テレビで見たときも「すげえなあ」と思ったものだが、こうして活字にされたものを読んで、あらためて強烈なインパクトを受けた、というところ。
さすがは「人類代表」(=宇宙飛行士)を選ぶ試験だ。

で、確かに『宇宙兄弟』の選抜試験シーンは、本書の内容と酷似していて(というか、おそらく原作者がJAXAに取材したって同じネタに行きつくに違いないのだが)、本書を読めば一層理解が深まり、あるいは感動が高まるだろうと思うわけです。

あとね、これ、究極の「シューカツ本」ですよ。
どっかの書評でもそんな文字を見ましたけど、まさに「そのとおり!」って感じ。
面接の達人だの、ESの書き方だの、SPI対策だののハウツー本よりも、よっぽどためになる。
だって、宇宙飛行士ってのは、現職を投げ打ってJAXA(=公務員)に転職するってことなんだもの。

ほんと、まさに「究極」ですよ。

素晴らしい良書です。 スタースタースタースタースター


| 投稿者 きりう 22:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】脳に悪い7つの習慣 林成之

最近、物忘れが激しくなったような気がする。
加齢に伴うものだとすれば抗いようもないが、そう思ってしまうにはまだ早いと思いつつ、本書を手にとった。
結論として、ここに答えが書いてあるわけではなかったけどね。冷や汗

内容として真新しいものはあまりなかったが、こうやって整理してもらうと「なるほど」という感じ。

GWなのに仕事が云々、とか言ってちゃいかんなー。
(「嫌だ」「疲れた」とグチを言うのは、脳に悪い習慣のその2だそうです。)

脳のしくみを知って前向きになれる、思いのほか効用のある本でした。


| 投稿者 きりう 19:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】試験勉強という名の知的冒険 富田一彦

Amazonの商品説明より。
著者がこれまで予備校の授業で話してきたことの中から、試験勉強を成功させるのに必要なエッセンスを抽出したもの。
第一部「問題はどのようにしてできているか」では、問題を構成する二つの要素「手がかり」と「雑音」について、雑音にはどのようなものがあるか、雑音に惑わされずに手がかりを見つけるには何を心がけたらいいかを見ていく。
第二部「有効かつ有意義な勉強法」では、どのような知識を手に入れるべきかを説明した後、知識を活用して目の前の現象を正しく見る観察力、答えるべき問題を巧みに選択する判断力について説明。


息子の中学受験にあたって、その手のサイトを巡回する習慣がついたまま、いまだにそんなことを続けているわたくし。(笑)
そうしたサイト(というよりブログかな?)のうちのひとつで絶賛されていたのを読んで、「お、これは」心にとめていた本である。
で、先日、書店に寄った際にふと手に取ってパラパラめくると・・・

ピカなるほど、面白そうだ。

著者は代々木ゼミナールの英語の先生。
「人気講師というものには縁がない」だのなんだのと本文中に書いてはあるが、参考書もたくさん書いておられるようだし、きっと相当な方なのだろう。
(余談であるが、わたくしにとって英語のカリスマ講師といえば、やはり伊○和夫先生@駿○予備校ですかね・・年がばれるな。笑)

当然、大学受験生を念頭に置いて書かれているのだろうが、資格に向けて勉強する社会人が読んでも十分にウケるだろうと思う。
例示として使われているのが大学入試問題の英語だったりする場面もあるので、高校生未満にはちょっと厳しいかな。

実用的でありつつ、楽しい読み物でもあるって感じ?
こういう本は今まであまり見たことがないような気がするな。
でも、試験勉強の極意を知ったような、何となく得した気分になりました。

気になる方、ぜひ読んでみてください。ナイス!
(あ、わたくし代ゼミの回し者ではありませんので、念のため。)



| 投稿者 きりう 21:55 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】「上から目線」の構造 榎本博明

特に根拠もなく、何事につけて自信を持っている人がいる。
その自信はどこからくるの?と思わずツッコミたくなるような。
本書では、そういった事例の紹介とともに、心理構造の考察がなされている。
面白い。

・・と同時に、いくつかの個所で、
「アレ? これはもしやわたくしのことか??」と。冷や汗

そうなのである。
わたくし自身、性格的に難しい人であり、他人様からみれば、おそらく付き合いやすいタイプではない。
(以前は直接そのように言われたことも多かったのだが、最近は自分自身が気をつけているのと、周囲も気を使ってくれるようになったのか、そうした指摘は減った。だが、十分に自覚はしている。^^;)
自分の性格のドコがいけないんだろう?どうしてこんな性格が形成されたのだろう?と考えたことも多かった。
その答えのうちのある部分が、この「上から目線」になるのかもなあ、と思った次第である。

要するに「母性的に育てられた大いなる甘ったれ」ですな。

年齢を重ねて、世の中がいろいろとわかってきて、昔と違ってかなり自制が効くようにはなったけれど、性格はそうそう変わるものではない。
その意味では、自分のココロのかたちが少し見えたようで、よかったです。

さて、本書の内容から類推するに、最近の若者の中にはこの傾向に拍車がかかっている人もかなりいる様子。
いやいや、これは難敵だ。
何しろ自分自身がそうだったんだから、よくわかるわ。(苦笑)
気をつけながらコミュニケーションしなくっちゃ。


| 投稿者 きりう 22:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

「第5の戦場」 サイバー戦の脅威 伊東寛

2011年7月、米国防総省は「サイバー空間」を陸・海・空・宇宙空間に次ぐ「第五の戦場」であると定義し、サイバー攻撃に対して武力で反撃すると宣言した。

イスラエルがシリアに空爆した際に防空システムの乗っ取ったとされる事件(2007年)や、イランの各施設がサイバー攻撃を受けウランを濃縮する遠心分離機のシステムがウイルス攻撃を受けた事件(2010年)など、「サイバー戦争」は現実のものとなっている。こうした危険は、さらに電力・通信・交通など攻撃対象は生活の中枢に及ぶ。

その中で、日本の対応は大きく遅れを取っている。現在の法律では、サイバー攻撃に対して自衛隊は出動すらできない。戦争を根底から変えるとされるサイバー戦について、陸上自衛隊システム防護隊の初代隊長として最前線にいた著者が解説、日本の現状に警鐘を鳴らす。


業務上の必要があって社内打ち合わせで話題になった「サイバー攻撃」のお話。
エライ人から手渡されたのが本書である。
「あげるよ」って、そんなの断れないし。
しかも、さっさと読まなきゃいけないし。
もしや、多少は感想も述べる必要あり?冷や汗

で、なるほど、確かにこれはわかりやすいですな。
かなり難しいハズの技術も、とても平易に書かれている。
・・と同時に、こりゃまずいんじゃないの?という気もしてくる。
大丈夫か、日本?

そんなちょっと怖い現状もしっかり書かれている本書、いろいろと考えさせられました。
仕事面でもね。


ふう。



| 投稿者 きりう 22:38 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】男子校という選択 おおたとしまさ

息子が中学受験をするというので、実はここ1~2年、かなりの数の関連本を読んだ。
ここはテニスブログなので、中受の話題ばかりが並ぶのもどうかと思い、そっち方面の記事はこれまで自粛してきた。
だが、「一応終了」の安堵感と、この本はなかなか面白かったということで、今日は少しばかり書いてみたい。

男子校というのは、いまや絶滅危惧種なのだそうである。
全体のわずか2.6%だそうな。
でも、東大合格者ランキングの上位には男子校がズラリ。
もうそれだけでつかみはOKですよね。

男子校の短所なども書いてあって、礼賛だけではないですよ、という体裁を取ってはいるものの、それでもトータルな結論は「ぜひ男子校へ」というメッセージに近いかな。

共学育ちのわたくしには、本当のところはよくわかりませんけどね。

いや、でもいろいろと勉強になりましたよ。
上手にまとめられている本だと思います。
中学受験を考える男のお子さんがいる方には、ぜひという感じ。

あ、こう書いてみてわかった。
ちょっと読者ターゲットがせまい本だね、これ。(笑)


| 投稿者 きりう 22:28 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ねにもつタイプ 岸本佐知子

コアラの鼻の材質。郵便局での決闘。ちょんまげの起源。
新たなるオリンピック競技の提案。「ホッホグルグル」の謎。パン屋さんとの文通。矢吹ジョーの口から出るものの正体。「猫マッサージ屋」開業の野望。バンドエイドとの正しい闘い方―。
奇想、妄想たくましく、リズミカルな名文で綴るエッセイ集。
読んでも一ミクロンの役にも立たず、教養もいっさい増えないこと請け合いです


ちょっとしたきっかけで知ったこの本。
第23回(2007年) 講談社エッセイ賞を受賞しているんだそうな。

シュール?ナンセンス?
何といいますか、これは・・面白いです。イシシ
翻訳家の頭の中はこんななのか、とか。(違)

リラックスして楽しみたい向きにオススメかな。


| 投稿者 きりう 22:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】さよなら!僕らのソニー 立石泰則

ウォークマンに代表される「技術のソニー」ブランドはなぜかくも凋落してしまったのか。
それを解くカギは大賀、出井、ストリンガーと続く経営陣の知られざる暗闘にある。
そして、経営の失敗がいかに企業ブランドに影響を与えるか、その恐さが見えてくる。
ソニーで起こっている経営問題は決して他人事ではない。




さる方のオススメで読んでみた。
かつてその輝きをまぶしく見つめていた身としては、そういえば最近のSONYはどうしちゃったんだろう、と気がかりだったところでもあり、興味津々、でもちょっと読むのがコワイ、という感じで。

結論から言うと、なかなか興味深い分析・論考であり、なるほどと得心する記述が多々あった。
ああ、これじゃもう、かつてのようなワクワクするSONY製品なんて出てこないのかなあ、とまで思ってしまうほどに。

ただ、「経営」は生ものであり、教科書通りにはいかないというのも事実。
出井さんやストリンガーさんに対する手厳しい指摘が多いけど、その意味では、ちょっと後知恵っぽいところもあって、気の毒な感じがしないでもないかな・・。

わたくしのパソコン、VAIOである。
そして、ブルーレイレコーダーもSONY製品。
まだまだ頑張ってもらわにゃいけません。(笑)

「さよなら!」と本書のタイトルのような簡単な決別はできそうもないわたくしなのでありました。

| 投稿者 きりう 23:31 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】繁栄し続ける会社のルール 小宮一慶

小宮 経営学の集大成!

「偉大な会社」と「そこそこの会社」を分ける違いとは?

ベストセラー連発の経営コンサルタントが「偉大な会社」の秘密に迫る!

どんなに不況と言われる時代でも、世の中にはうまくいっている会社はたくさんあります。

しかし、そんな中にも繁栄をし続けている「偉大な企業」と業績は悪くないし潰れることもない、でも「“そこそこ”止まりの会社」の2種類あることに気がつきます。
この違いは果たしてどこにあるのでしょうか?

本書では、人気経営コンサルタント・小宮一慶が、これら「偉大な企業」と「“そこそこ”止まりの会社」の間に横たわる深い溝について、実例を挙げながら詳細に解説します。

経営者だけでなく、部課やチームなどをまとめるすべてのリーダーに読んでいただきたい経営書の定番となる一冊です。


・・というわけで、またしても電子書籍のお世話になりました。
もちろんこれも85円です。やめられまへんな。悪だくみ

氏の著作は過去にも何冊か読んでいて、言わんとすることは読む前からだいたいわかっていたつもりが、この本はそのお考えが端的によくまとめられているな、という印象である。

そして。読み終えて「わかったような気になっている自分」に気づく。(笑)
現実はなかなかうまくはいかないのよね。
それを言っちゃ、おしまいなんだけどさ。

この年末年始、こういう思考回路をめぐらせなければいけないネタがある中、間違いなく参考にはなりました。
著者に感謝。


| 投稿者 きりう 23:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】すごい会社のすごい考え方 夏川賀央

任天堂、アップル、レゴ、グーグル、スターバックス、IKEA、サムスン、ディズニー…あの「すごい会社」を成功に導いた珠玉の知恵が、あなたの人生を変える!
結局のところ、会社の成功は「個人の仕事術」の集大成。だから、個人のスキルアップが会社の業績も向上させるのです。
また、私たちビジネスマンはどんな会社の成功ノウハウも、「個人の仕事術」として取り入れることができます。
本書では、まさにそういう「すごい会社の、すごい考え方」を取り入れ、自分オリジナルの「すごい考え方」を作ることを目的としています。
仕事がうまくいき、その考え方をいろいろな場面に応用すれば、それが結局は人生の成功にもつながるはずです。
自分オリジナルの「すごい考え方」を身につけて、仕事も人生も成功させちゃいましょう!


わたくし、こういうビジネス書は、ひと頃めったやたらと買いまくって読んでいたものである。
熱に浮かされるかのように「経営とは!」を日々考えていたものだ。
(今は考えてないという意味では、もちろん、ないですよ、念のため。www)

だが、最近はこうしたものへの投資が鈍い。財布の紐はかなり固い。
そのわけは・・・読んで得られるものが価格に比して小さいことが多いから。

いやいや、中にはものすごい”気づき”を与えてくれる偉大な書もあるのだけれど、「数を打たなきゃ当たらない」ので躊躇しているのである。(要は「コスパ悪し」ってこと。)

で、「じゃあ、なんでこの本は?」ってことなのだが。

はい。

噂の電子書籍というヤツを購入してみたわけです。えっへん

iPad2、大活躍!!

だって、85円ですよ。
なんとキオスクで日経新聞を買うより安いという。(笑)

しかも、読んでみたら結構面白かったというオチまで。
得るところが多かったかというとアレですが、読み物としての面白さは間違いなくありましたね。
なので、85円なら超お買い得といえましょう。

あ、やっぱり紙でないと、という方にはこちらね。
ちなみに1,470円だそうですが。悪だくみ


| 投稿者 きりう 23:23 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】日本企業にいま大切なこと 野中郁次郎/遠藤功

最近あまり時間がなくて、本を最後まで読んだのは久しぶりだ。
活字中毒のわたくしとしては、かなり珍しい事態。
こういうところにも余裕のなさが出ちゃってるかな。冷や汗

情緒的、非効率、ガラパゴス…「だから世界では戦えない」と指弾された日本企業は、CSRにコンプライアンスと論理的・科学的経営を妄信してきた。
ところがアップルやグーグルをはじめ世界に冠たるグローバル企業は、もはや「アメリカ型」に懐疑的。
むしろ「共同体の善」「現場の暗黙知」といった日本の「当たり前」が注目されているのだ。
日本人自身が忘れた「日本の強み」を自覚せよ。
「知識創造理論」を広めた世界的経営学者と「見える化」を唱えた現場主義の経営戦略家が、海外に売り込める日本の価値観を語り合う。


うん、読んでよかった。ナイス!

会社組織の中での仕事のありようは、わたくしが新入社員だった頃を思い出すと、当たり前のことだが、現在ではずいぶんと変化している。
ビジネス世界において生き残りをかけた競争をしているんだから、それは当然のこと。
でも、なんとなく腑に落ちない思いを何度か経験したというのもまた事実なんですね。
お説を聞いてみると確かに正しいような気がするんだが、どうも違和感がある、みたいな・・・

で、この本ですよ。
そう、そういうことなんだ!ってね。
さすが野中郁次郎先生。

もっともこの話に全面的に納得してしまうと、自分自身のこれまでの仕事観がちょっと揺らいじゃうので、困る部分もあるんだけど。(笑)

なんにせよ、ちょうど部署を変わったばかりだし、これからいろいろ仕掛けてみますかね。
良いヒントピカをいただきました。
ビジネスマン諸氏、オススメですよ。カエル


| 投稿者 きりう 22:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】世界一わかりやすい 英語の勉強法 関正生

英語ならできませんよ、と公言して憚らないわたくしである。

しかし、多くの日本企業がそうであるように、わたくしの勤め先でもグローバルグローバルと念仏のように唱えられるようになった。
ううむ、「英語ならできないよ」が通用しなくなる日も近いか??

まあ、モノになるかどうかは置いといて、勉強するフリぐらいはしなくちゃいけないかなあ・・・と思うようになった最近なのです。
まあ、今さらなので、ペラペラしゃべれるようになるとはあまり思っていませんがね。

ところが勉強するったって、どこからどう始めたらよいか、皆目見当がつかない。

で、とりあえず勉強法の本を買ってみようと考えたわけである。
書店に居並ぶそのテの本の中から、一番おもしろそうだと思って手に取ったのが、これだ。



適当なページを少しずつ他の本と比較しながら読んでみたが、まさに「腑に落ちる」という感覚の解説。

読み物として面白い部分もあるし、この本に書かれているとおりにやれば本当にできるようになりそうな気がするし、何より、そこに書かれている勉強法の数々が、あまり大変そうではない書きっぷりなのがいいですね。ナイス!

で、とりあえず読了。
あとは実践あるのみなのだが・・・さて。
| 投稿者 きりう 22:11 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】風が強く吹いている(漫画版) 海野そら太

三浦しをんさんの原作で感動し、映画も見てしまった作品の漫画版である。

手を変え品を変えて売上増をねらう…やはりビジネスですねえ。
でも、思わず手にとって読んでしまったわけで。
思うツボってやつだな。冷や汗

で、映画版がもうひとつの出来だったのに比べると、この漫画版は原作に忠実でありながらもうまーくアレンジが利いていて、いい感じに仕上がっているな、という感想です。
絵がある分、原作の小説よりもスピード感がより強く感じられるところが特によかったかな。にっこり

良い作品って何度も味わい直したくなるものだけど、これはまさにその条件に当てはまってますね。
小説を読んだ方にも、もちろん読んでなくても、この漫画版はオススメです。
うん、すばらしい。

全6巻。


| 投稿者 きりう 21:43 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】 神様のカルテ 夏川草介

映画化される作品というのは、書店でも平積みで目立つところに置いてあるものだから、ついつい目に留まりやすい。

この本もそうである。
櫻井翔君と宮崎あおいチャンが写ってる帯を見て、思わず手に取ってしまったという感じ。

そして、ネット上の書評を見るとその数の多いこと!
あらためて、ベストセラーなんだなあと思い知ったよ。
とりあえず読んでおけ、と思った先週の夏休みなのであった。

この病院では、奇蹟が起きる。

栗原一止(いちと)は信州にある「24時間、365対応」の病院で働く、29歳の内科医である。
ここでは常に医師が不足している。
専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を3日取れないことも日常茶飯事だ。
妻・ハルに献身的に支えられ、経験豊富な看護師と、変わり者だが優秀な外科医の友人と助け合いながら、日々の診療をなんとかこなしている。

そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。
大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、死を目前に控えた高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。

第十回小学館文庫小説賞受賞作。2010年本屋大賞第2位。


読後感、さわやか。ナイス!
やっぱ医療ものってこういう感じがいいよなあ。好みのタイプだ。

でも、これはこれで終わっておいた方がいいんじゃ・・・?
もう巷には「神様のカルテ2」も出ているようですが、ねぇ。冷や汗

あ、でも、評判は意外といいのね。
じゃ、わたくしも読まないと、かしら。(単純)

 
| 投稿者 きりう 23:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】逝年 石田衣良

コールボーイ、つまり娼夫の話である。
前作「娼年」は衝撃的な作品で、何とも表現しにくい素晴らしさがあった。

本作品は、その続編。
前作を読んでないと、いまいちよくわからないだろうと思う。
そして、予想どおりではあったが、前作を超えられなかった感じだ。

でも、単なるエロ小説ではなくて、いろいろと示唆に富むテーマが包含されているお話である。
悪くない。

石田衣良さん、やはりわたくしは好きですね。


| 投稿者 きりう 21:47 | コメント(0)| トラックバック(0)

面白いマンガ発見

錦織圭クンが好きな作品だというので、少しだけ気に留めていた。
その名は、「宇宙兄弟」。

「仁 -JIN-」の原作を読むべく入ったマンガ喫茶で、JINを読み終えた後にちょこっと手に取ったのだった。

これは!びっくり

男のロマンってやつですかね。
いい感じでハマった。冷や汗
最新刊まで読むほどは時間がなかったので、まだ3巻あたりまでなのだけど、続きが気になって仕方ない。

連載継続中(つまり未完)の作品であり、かつ来年には映画化も決まっているとのこと。
これはもう全部読まないと&見ないと。

異動して仕事もまだままならぬ中、そんなことしている時間があるのかわからんけど、またひとつ楽しみを発見したのでした。


| 投稿者 きりう 19:45 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】 人事部は見ている。 楠木新

人事部は、わたくしのことも見ていたのだろう。(笑)
このタイトルの秀逸さで思わず買ってしまった。冷や汗
日経プレミアシリーズという新書である。

著者は大手企業の人事部経験者。
奥付の略歴には、1979年に大学をご卒業とある。
わたくしよりはだいぶ先輩ですね。

で、そんな実務経験豊かな著者による、人事部のお仕事紹介がこの本のメインだ。
こういう切り口の本ってあまりなかったんじゃないかな。

わたくし自身、人事部に籍を置いたことがあるので、興味深く読んだ。
なかなか面白い。

そう、実際に自分が人事部員になるまでは、なんというか敷居の高い部署だった。
中の人になってみれば「なーんだ」ということも多かったのだけれど(それ以上に「ええええーーーびっくり」ということの方が更に多かったけれど)、そのあたりが(会社によって態様が違うことも明言しつつ)描かれているこの本、当時のわたくしが読んだらさぞ喜んだに違いない。
ま、人事部を離れた今となっては、若干懐かしい感じの目で読んだというところかな。(なぜか評論家気取り)

売れてるようですよ。
興味持ったそこのアナタ、いかが?悪だくみ


| 投稿者 きりう 21:57 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】 JIN -仁- 村上もとか

大いに感動したTBSドラマの原作である。
ネットカフェ(マンガ喫茶)を利用して、全20巻を読破した。冷や汗
まあ、買っちゃうよりは安く上がったと思うのでよしとしよう。

既にネット情報で知っていたところではあるが、そのとおり、ドラマとは微妙にストーリーが違っている。
ドラマでの南方仁は、演ずる大沢たかおのキャラとも相まって悩み多き印象が強いが、この原作マンガでの仁先生はもっとスーパーマン的で、ヒーロー度がより高い感じ。

そして、ドラマと決定的に異なるのは、ある種のハッピーエンドである、ということかな。

これ以上はネタバレになるので自粛。
知らない人、知りたい人は読んでください。イシシ


| 投稿者 きりう 18:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】 女子校育ち 辛酸なめ子

男性であるので、女子校の実態など知るはずもないわたくし。
そればかりか、公立の共学コースに乗っかっていたため、男子校の生態すらよく知らない。
だが、大学から社会人へと段階を踏むにつれ、身の回りに男女別学の出身という人々も増え始めた。
むしろ、いい大学出ている人は別学出身の方が多いのかしらね。

いや、だからといって別に違和感などなかったんですが。
だって、みんなその人の「個性」だと思ってたんだもん。
しかし、なんとなく手に取ったこの本を読んでみて少しばかり考えが変わった。

うーむ、女子校育ち。

どう変わったかは、書かないでおこう。(笑)
とにかく抜群に面白い一冊であった。

著者にはぜひ男子校のレポートもお願いしたいくらいだが・・・さすがにそれはないか。冷や汗


| 投稿者 きりう 23:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】原発のウソ 小出裕章

売れているらしい。

読んでみて、納得した。
と同時に、自らの無知と能天気に恥じ入った。
原子力、おそるべし。


危険性を訴え続けて40年
“不屈の研究者”が警告する原発の恐怖

“安全な被曝量”は存在しない! 原発を止めても電力は足りる!
いま最も信頼されている原子力研究者の、3.11事故後初の著書

著者の小出裕章氏は、かつて原子力に夢を持って研究者となることを志した。
しかし、原子力を学ぶうちにその危険性を知り、考え方を180度変えることになる。
それ以降40年間、原子力礼賛の世の中で“異端”の扱いを受けながらもその危険性を訴え続けてきた。
そんな小出氏が恐れていたことが現実となったのが、2011年3月11日に起きた福島第一原発事故だった。
原発は今後どうなる?
放射能から身を守るにはどうすればいい?
どのくらいの「被曝」ならば安全?
原発を止めて電力は足りるの?
など、原子力に関するさまざまな疑問に“いま最も信頼されている研究者”がわかりやすく答える。


Amazonの書評を見ても、低い評価がほとんどない。
「本当のこと」が、包み隠さずわかりやすく書かれている、ということなのだろうと思う。
納得の筆致。

なるべく多くの方に読んでいただきたい。
我々はもう、この現実に向き合っていくしかないのだから。
本当に、ぜひ。


| 投稿者 きりう 22:23 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】先送りできない日本 池上彰

また、池上さんの本を買ってしまった。冷や汗
何といっても、わかりやすいからね。

新書なので、値段も手ごろ、持ち運びも便利。
忙しい時期のスキマの時間でスルスルっと読めたのは、ワタシの読む速度が速いからではなく、本書の読み易さゆえである。

少し前に読んだ「知らないと恥をかく・・・」のシリーズでは、歴史を踏まえての「現代世界」の見方が提示されていたのに対し、本書は「現代日本」のありようと行く末が著者の意見によって構成されている。
ここが大きく異なる点だ。

で、読み進めていったわけだが・・・途中でガーンとやられた。
そう、「自分で考えること」を放棄しちゃいかんのだよな。
本書がそういう気付きを与えてくれたのだが、本書を買って読んでいる時点で、わたくし自身、現代日本について「自分で考えること」をちょっと放棄しかけていたわけだ。

くぅ。。。くやしい。やっちゃったぁ

もっと勉強しなくっちゃ。
ニュースを咀嚼して、自分なりの考えを持たなくっちゃ。
また、池上さんに教えられちゃったよ。にっこり




| 投稿者 きりう 22:29 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】放課後はミステリーとともに 東川篤哉

2011年本屋大賞(謎解きはディナーのあとで)を受賞した、東川篤哉氏の作品。
なんと、息子から借りて読んだ。(笑)

短編集なので、ちょっとした時間、頁を開くにはちょうどいい。
軽くて読みやすい文体だし、サクサク進む。
通勤のお供に適したタイプといえるかな。

ジャンルとしては、学園ミステリーということになろう。
一話完結で、主人公が謎解きをしていくのだが・・・

でも、わたくしの評価としてはイマイチだ。ビミョー

各話の「種明かし」はふーんピカという感じなのだけど、そこに至るプロセスはウーン無言という感じ。
情報が後出しなんだよね。
ミステリーならば、事前に伏線張っておいてもらわないと。

まあ、こういうものを書く作家さんなのだ、という前提で読めば違和感はないのかもしれません。
もしかすると、本屋大賞を取った作品はそこらへんキチンと王道を行ってるのかもしれないけどね。
(わたくしは未読・・・今後も読まないような気がします、ハイ。)


| 投稿者 きりう 21:42 | コメント(2)| トラックバック(0)

【感想】日本語教室 井上ひさし

ちょっと思うところあり、日本語に関する薀蓄を読みたくなった。
で、書店で真っ先に目についたのがこの本。
一瞬で選んだのだが、我ながらなかなかセンスがいい。(笑)

井上ひさしが生涯考え続けた、日本と日本語のこと。
母語と脳の関係、カタカナ語の弊害、東北弁標準語説、やまとことばの強み、駄洒落の快感…溢れる知識が、縦横無尽に語られる。
「日本語とは精神そのもの。一人一人の日本語を磨くことでしか、未来は開かれない」
―母校・上智大学で行われた伝説の連続講義を完全再現。
日本語を生きるこれからの私たちへ、“やさしく、ふかく、おもしろい”最後の言葉。


元ネタとなった講演は2001年のようだ。
9.11が直近の話題として出てきている。
折しも、ビンラディン殺害のニュースが駆け巡っていたので、不思議な因縁(?)を感じてしまったよ。

それはともかくとして、著者がいかに日本語を大事に思っていたのかが伝わってくるような内容だった。
何をどうすべきか、という話では全くなくて、いささかまとまりのない講義録なのだけど、とても面白かったです。

うーん、グローバル化って簡単には言っちゃいけないんだな。
でも、それを実践してると、仕事がうまく回らなそうだ。(苦笑)
仕方がないので、公私で使い分けするかな。悪だくみ


| 投稿者 きりう 22:08 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】八日目の蝉 角田光代

この文庫を買ったのは、映画の予告編にそそられたから。
見に行く前に読んでおこうかな。
そう思っての購入であった。

読み始めた当初こそ誘拐場面に引き込まれるも、その後は何だか起伏のない描写が続くなあ、などと思っていた。
大丈夫なのかこの小説、という感想がチラッとよぎったりもした。

が、それは全くの杞憂。

1章の終盤あたりから、ページを繰る手が止まらなくなったのである。
あとはワタクシのお決まりパターン。
深夜、寝る時間を惜しんでの一気読みだった。
あぁ、今週がゴールデンウィークでよかったよ。(笑)

ということで、無事に読了。

決してハッピーエンドではないのだけど、ホッとする結末。
そして、深い余韻が素晴らしい。
大変、読み応えのある作品だったといえよう。

あとはもう・・・4月29日から既に公開が始まっている映画を見るだけである。
評判も上々らしいし、楽しみになってきたな。


| 投稿者 きりう 16:41 | コメント(2)| トラックバック(0)

【感想】三陸海岸大津波 吉村昭

三陸地方は明治29年と昭和8年にも津波による大きな被害を受けた。
本書は、著者がかの地で資料を集め、体験談を聞いてまとめたものある。
そして、今回の震災後、売上急増中だそうだ。

もちろんわたくしもその売上に協力した一人、なわけだが、初版は1970年頃とか?カエル
まさか、40年もの時を経てこれほど脚光を浴びようとは、著者も思わなかったかもしれない。

地図 地図 地図 地図 地図


明治・昭和の津波に対して、その被害防止のために町の人々が取った姿勢は、防潮堤の建設や避難訓練の徹底であった。

今回の被災地に縁のある複数の方とお話しする機会があったのだが、これらは従前、視察・見学に訪れた多くの者に「津波対策はこうでなくちゃ」と言わしめたものだそうである。

本書の終盤にもそのことは記述されているのだが・・・

 しかし、自然は、人間の想像をはるかに超えた姿をみせる。
 防波堤を例にあげれば、田老町の壮大な防波堤は、高さが海面より10.65メートルある。が、明治29年、昭和8年の大津波は、10メートル以上の波高を記録した場所が多い。
 私は、田野畑村羅賀の高所に建つ中村丹蔵氏の家の庭先に立った折のことを忘れられない。海面は、はるか下方にあった。その家が明治29年の大津波の折に被害を受けたことを考えると、海面が50メートル近くも這い上がってきたことになる。
 そのような大津波が押し寄せれば、海水は高さ10メートルほどの防波堤を越すことはまちがいない。
 しかし、その場合でも、頑丈な堤防は津波の力を損耗させることはたしかだ。それだけでも、被害はかなり軽減されるに違いない。


最後のセンテンスだけ、今回の津波は著者の予想をも上回ってしまったのですね。
なんともはや・・・言葉になりません。


| 投稿者 きりう 22:14 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】デフレの正体 藻谷浩介

昨年のベストセラーを遅ればせながら読了した。

目からウロコ、というか、思わず膝を打ったというか、「なるほど」という言葉がぴったりな本。

ネット上の評判は賛否両論だけど、ワタシは「賛」の方ですかね。
なんとなくそうじゃないかなぁ、という潜在的な思いを文字にしてもらった感じである。面白い。にっこり

でも、本書で指摘されている「ピントのずれた処方箋たち」はいまだに幅を利かせている(ような気がする)。
なんでですかね。ひょっとして眉唾?冷や汗

いずれにせよ、この「人口の波」は、もう少し自分なりに考えてみたいテーマだな、と思った次第です。


| 投稿者 きりう 22:31 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】知らないと恥をかく世界の大問題2 池上彰

「知らないと恥をかく世界の大問題」の続編。

ざーっと読んでみたが、やっぱりわかりやすいね。
一般向けに平易な解説を心がけるとこのくらい、というレベル感を示す意味ではお手本のような書き方だろうと思う。
しかも、前作を読まずともきちんとおさらいがなされており、問題なく理解できる構成なのがニクイ。

つまり、「なんとなく知っている」というレベルから、「ある程度はきちんとわかる」というレベルになるために、という向きにちょうどいいかなと思う次第です。(まさにワタクシ。)

ただ、前作と比べると、「なるほどピカ」の度合いはちょっと小さいかも。
続編なんだから当たり前ですけどね。
どのみち、3.11以降は国際情勢にも少し変化が出ているようだから、ちゃんと新聞なんかも読まなきゃなーと思うトコロです。

年度も改まったことだし、ちょっと真面目にやりますか。
(「ちょっと」かよって突っ込みはナシで。ww)


| 投稿者 きりう 22:50 | コメント(1)| トラックバック(0)

【感想】知らないと恥をかく世界の大問題 池上彰

リーマン・ブラザーズの破綻で始まった世界金融危機。
その後、日米ともに政権交代が実現し、金融危機後の新しい世界の在り方が模索されている。
そこで、日本はもちろん、世界におけるさまざまな問題点をとりあげ、その中身を理解し、来るべき新しい時代の世界の潮流を読み解く。
わかりやすいニュース解説で定評のある、頼れる“お父さん”池上彰さんがズバリ答える。
知らないと恥をかく世界のニュースが2時間でわかるおトクな一冊。


なるほど、池上さんがもてはやされる理由がよくわかった。
これほど平易で理解しやすいとはね。
思想的な偏りも感じられなかったし、重要なトピックばかりだったし。

最近、世の中のことを深く理解しようとしなくなってたんだなあと気づいたのは、実は今回の震災がきっかけだった。
節電のための早期退社などで普段より少し在宅時間が長くなり、新聞などを丹念に読んでいたのだけれど、地震関連以外の国際情勢やら経済やらのニュースがいまいち理解しにくいのだ。

ちょっと、不勉強が過ぎたか。失礼しました

本書を読み終え、現在は同じシリーズの「2」を携えて通勤している。
早く「いま」にキャッチアップしなくては・・・


| 投稿者 きりう 22:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】百瀬、こっちを向いて。 中田永一

何気なく手に取った一冊。

「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。
野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは―。
しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。
「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった…!」
恋愛の持つ切なさすべてが込められた、みずみずしい恋愛小説集。


ふーん、中短編集なら、通勤時にも読みやすいかな。
・・くらいの感じ。

しかし、裏切られたねー。良い方に、だけど。

読めちゃったのだ。
ミステリー要素ありつつの恋愛小説。
純愛系/青春系の味わいで、爽やかな読後感である。
文体もやわらかくて、物語のテイストに見事にマッチ。

あっという間に読了。
すごいじゃん、この作家さん。何者よ?

そう思って、読後にネット検索してみた。
するとどうだろう。
この中田永一という著者の正体は、実はさる有名作家である、とか。
なるほどぉ。

真偽について云々するのはこの記事の主題ではないので、ここまでにしておく。
気になる方は、まず、読んでみてください。
オススメです。


| 投稿者 きりう 22:14 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】 妻に捧げた1778話 眉村卓

眉村卓さんといえば、ワタシにとっては「ねらわれた学園」の著者というイメージがもっとも強い。
中学生の頃のワタシは薬師丸ひろ子サンが大好きで、彼女が主演した映画を見に行ったのだった。
(ちなみに同時上映はたのきんの「ブルージーンズメモリー」)

で、映画の後に原作本も読んだ。
映画と小説を二度楽しむのは、大昔からスタイルだったってことだな。
(こうやって書いてみるまであんまりちゃんと認識してなかったけど。)
でも、その後、眉村卓サンの著書をたくさん読む機会もまたあまりなかったのである。
それって自分自身が読みたがらなかったせいに他ならない。
眉村卓サン、あまり印象に残らなかったんですかねえ。
「セーラー服と機関銃」以降を読みまくった赤川次郎サンとは対照的だ。

時計 時計 時計 時計 時計

で、本作品で久々に眉村さんの本を手に取った次第である。
きっかけは本書が原作となった映画の宣伝。(見てないけどね。)

余命は一年、そう宣告された妻のために、小説家である夫は、とても不可能と思われる約束をする。
しかし、夫はその言葉通り、毎日一篇のお話を書き続けた。
五年間頑張った妻が亡くなった日、最後の原稿の最後の行に夫は書いた―「また一緒に暮らしましょう」。
妻のために書かれた一七七八篇から選んだ十九篇に、闘病生活と四十年以上にわたる結婚生活を振り返るエッセイを合わせた、ちょっと風変わりな愛妻物語。


今秋で術後五年を迎えるワタシ。
それこそ一日一話ならぬ、一日一記事でブログを書き綴ってきたけれど、闘病生活の伴走者としての五年間とは比べものにならない。
でも、癌の発見が遅ければもはや我が身もこの世になかったかもしれないと思うと、やはり妙な感慨を覚えてしまうのであった。

うーん、人生って。ビミョー


| 投稿者 きりう 22:15 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】あの頃の誰か 東野圭吾

短編集。
著者いわく「わけあり物件」だそうだ。(「あとがき」より)

なるほど、そういわれればそうね。(笑)

短編はスキマ時間とか通勤時間とかに読むのに適している。
ちょっと忙しめの最近は、このテのものの方が読みやすい。
(ホントはがっつり長編も読みたいんだけど、なかなか。)

で、本書。
文庫化にあたって加筆修正されているようなので、一概にはいえないけれど、どの作品も著者の「らしさ」が出ているし、引き出しの多さを改めて感じる作品群になっていると思う。

あの名作『秘密』の原型が収録されていて、読みながら思わず「おー!」と声を上げてしまった。冷や汗
「わけあり物件」集でもこれだけ楽しめるんだから、やはり東野圭吾サン、いいですねぇ。にっこり


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】武士の家計簿  磯田道史

サブタイトルは「加賀藩御算用者の幕末維新」。
先日観た映画の原作だ。

いや、これが。ガハハ
新書なのに、小説のような面白さなのである。
映画の各場面は、こういうところを拾ってるのか、というのがわかったりするとさらに面白い。

もっとも、映画の方は娯楽性を高めるために相当な脚色が入っていて、主人公である猪山家の実際の暮らしぶりとはちょっと違うんだろうなってのもわかっちゃうわけだけどね。

このお話については、映画と両方で楽しむのがよろしいかと思います。
うーむ、専門職って侮れない。(意味深)


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】夜の桃 石田衣良

えーと、辛口です。叫び

石田衣良の作品はハズレがないと思っていたのだが、ちょっとこれはダメだったな。
ネット上の評判が良くなくても、意外とそうでもないじゃん、と評価することが多いワタシとしては珍しいかも。

まあ、好き嫌いの問題だと思うので、具体的にどこがどうとは言わない(書かない)けれど・・・

もしかすると、もう少し人生経験を豊かにしてから読めば、感想も変わってくるかもしれませんね。
ということで、今回は「読んだという記録」ということで。


| 投稿者 きりう 21:46 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】1Q84 BOOK3  村上春樹

「文庫になってからでいいや」と、このブログで書いたら、翌日には職場の後輩タカシ君がBOOK1とBOOK2を貸してくれたので、師走の忙しいさなか、調子に乗ってつぶやいてみたのである。

「そういえば、1Q84のBOOK3読んでないんだよね。」

そしたら翌日にはデスクにデリバリーされていた。(笑)
どうもありがとう。悪だくみ

でも、年末で結構忙しかったから、結果としてはずっと読む暇なかったんだけど。

下降 下降 下降 下降 下降

さて、足かけ2年かけて読んだBOOK3。

謎が謎を呼ぶ不可解な展開かと思いきや、だんだん話が収斂していく。
おや、村上春樹にしては珍しい。

だんだんとスピード感のある展開になってきて、張られた伏線もかなり回収されていく。
ハルキ節ではあるが、普通のエンタメ小説みたいだ。(失礼!)

なんだか面白いぞ・・・と思い始めたところで終了。
しかも、ビミョーに謎を残しつつ。

うーむ、何とも評価しにくいな。。。冷や汗

一定のスッキリ感はあるけれども、結局この物語はなんだったのだ?という疑問が消えないのよね。
ワタシ自身が読み手として未熟なのだけかしら。
まあ、一応は区切りがついたんだから今回はよしとするか。
(いずれ再読したらまた新しい発見があるかもしれないしね。)

新年最初の書評なのに、こんな中途半端な文章でごめんなさい。


| 投稿者 きりう 17:51 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】合格を勝ち取る睡眠法 遠藤拓郎

受験勉強と睡眠の関係。
わたくし的には非常に興味深いテーマである。

睡眠時間を削ってまで勉強した、という経験は、あまり多くない。
あったとしても、受験勉強ではなくて、学校の定期試験前の一夜漬けである。
なので、巷間いわれる過酷な受験勉強というものがイマイチよくわからないのだ。

なにしろ、大学受験の時でさえ、7~8時間眠ってたからね。
一浪したのはそのせいかもしれないけどさ。(笑)

で、本書。
なるほど、睡眠時間、削っていいのね。
でも、ものには限度があるでしょ、ってか。

レム睡眠とノンレム睡眠の効用とか、1時間半サイクルの話とか、既に知ってる話も結構書いてあるんだが、寝なくていい限界を意識しながらこうやってまとめてもらえるのは助かる。(って、オレ、何に利用しようとしてるんだろ。www)

睡眠ってなかなか奥が深いな。
勉強になりました。


| 投稿者 きりう 23:43 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】とける、とろける 唯川恵

唯川恵という直木賞作家の作品を読んだことはなかった。
なんでかね。

たまたまそういう巡り会わせだったと考えるしかないのだが、これまた特に強いきっかけがあったわけでもなく何となく購入してみたのが、この官能小説的な要素一部ありの短編集。

おや、面白いじゃん。イシシ

ネット上の評判は決して良くないようだけど、ライトで読みやすい文体と、行間を読む楽しさ、程よく余韻の残るストーリーが良い感じだ。・・って、ちょっと怖い余韻ですけど。(笑)

女性が性愛をどう捉えているかというのは、男は完全には理解できないし、また共有もできない観点。
それをこのように文字にしてくれているという意味ではありがたい(笑)というか、好奇心を刺激してくれるというか。
ワタシ的には、この点が一番のポイントかな、と思った次第。

たまには、こういうのもいいっすね。


| 投稿者 きりう 22:41 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】国境の南、太陽の西  村上春樹

一人っ子として、ある欠落感をもっていた始に、小学校時代、同じ一人っ子の女の子の友達が出来る。
25年後、37才の時、2人は再会し、激しい恋におちる――。


かつて、村上春樹にハマったことがある。
それこそ、片っ端から読んだ。
小説だけでなくエッセイや対談など、活字になっているものなら何でもだ。
彼の紡ぎだすその独特の文体が、とにかく好きだったから。

本作品は、ちょうどそんな頃に、新刊として店頭に並んだ。
迷わずに購入したのは言うまでもない。
そして、読み耽った。大好きな春樹節に浸って、いい気分だった。

・・・が。

どうも、ストーリーに入り込めない。
これ、なんか面白いのか?って感じだったのだ。
「あれえ、おかしいなあ」と思いながらページを繰り、気がつけば読了していた。

そんな感想を抱いたのが1992年。
せっかく買った単行本は、いつの間にかブックオフに売却していた。

ところが、先日のことである。
書店でこの文庫が何となく目にとまり、そして、何となく購入してしまったのである。

なんと18年ぶりの再読。
どういう風の吹き回しだろうと自分でも思うくらいだ。

そしたらですよ。

これがもう実にグッとくるわけ。
こういうのを心の琴線に触れるというのかな。
何とも言えない感動があったのだった。
人生、どこで何が起こるかわからない。(大げさ)

初読み当時は、たぶん、この世界を理解するには若すぎたってことなんだろうね。

愛って深いな。

人間修行が足りないんですな。
(って、オチに海老蔵を持ってきたかったわけではないですよ。念のため。)


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(2)| トラックバック(0)

【感想】部下を定時に帰す仕事術 佐々木常夫

●うつ病の妻と自閉症の長男を守るために毎日6時に退社しながら、社長にまで登りつめた男が編み出した「究極の仕事術」を一冊に圧縮!
●社員一人ひとりがワーク・ライフ・バランスに取り組んでも限界があります。職場のリーダーの段取りが悪ければ、すべて台無しになってしまうからです。むしろ、リーダーの仕切りがよければ、チームを丸ごと効率的にすることができます。
●仕事を効率的にするだけでは十分ではありません。その前にリーダーが職場の仕事を計画的・戦略的に仕込むことが重要。さらに、会社や上司との関係を円滑にすることで仕事にムダな障害をつくらない工夫も欠かせません。
●本書には、こうしたノウハウを満載。著者が現場で鍛え上げてきた“今すぐ”使える仕事術です。


・・・というわけで。
部下を定時に帰せれば自分も定時に帰れるだろう、というシンプルな理由で買ってみた。
もちろん、本当にそんなことができるのか、懐疑的な思いをもって、だけどね。

読んでみると、「考えてみれば当たり前のこと」が書いてある。
でも、その当たり前を本当に実践しちゃうのがキモで、この問題は最終的にはそれに尽きるのだろうね。
ポイントは、こういう人(東レで同期のトップを切って取締役に昇進、のちにグループ会社社長に)に語られると、ちょっと迫力が違うかなってところです。

少し言い訳をすると、ワタシが所掌しているような他部署からの依頼に基づき業務を処理するタイプの仕事が多い組織では、本書で述べられているようなノウハウをもってしても、なかなかコントロールがしづらいということはあると思う。
自らの部署の裁量で、計画・企画・立案をしていけるタイプの仕事ならばやりやすくても、相手がある場合は、こちらの都合だけでは動けないからね。
ここらへんをどう工夫できるか、が今後のワタシ自身の課題。

なんにせよ、平日もテニスできるように、がんばってみますかね。


| 投稿者 きりう 23:05 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】平成関東大震災 福井晴敏

サブタイトルは「いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった」。

ワタシのことですか。冷や汗

首都圏直下型地震のシュミレーション小説であり、タイトルそのまんまの内容である。
主人公は平凡なサラリーマン、西谷久太郎。
そして、一緒に行動する謎の若者、甲斐節男。
「さいやくたろう」に「かいせつお」である。
なんというネーミング。(笑)

福井作品といえば、「亡国のイージス」、「終戦のローレライ」といった軍事モノの印象が強いが、本作品は本当に普通の人のお話なのである。意外だなー。

しかも、それら代表作がすごい長編であるのに対し、本作品は実に短い。
(文庫であるうえにこの短さ、お値段もリーズナブル。スマイル

でも、内容的には濃いね。

実用書とは違った意味で、役に立つ感じ。
いざというときの備えって、やっておかなくちゃ的な。
ストーリーとしても、最後にちゃんと感動の場面を用意してあったりして心憎い。

短いけど、いい小説でした。


| 投稿者 きりう 19:08 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】リバース 石田衣良

どうして、わたしたちってこんなふうに話があうのかな―。互いに性別を偽ったまま、千晶と秀紀は、ネット上で深く心を通わせるようになるが…。年齢や性別といった現実な枠を取り払ったところに生まれる関係を鮮やかに描き出す、全く新しい恋愛小説。

比較的早い時期からネットとのお付き合いを始めたワタシ。
最近は、こうやってブログを書くぐらいで全くおとなしいものの(笑)、それこそパソコン通信(ニフティサーブ!)の時代には、さまざまな人々と数限りないメッセージ交換をしてきたものである。
男性ともメンズウェア、女性ともウィメンズウェア、そして、ネットおかま お化けとも、ね。冷や汗

ワタシ自身は性別を偽ったことはないが、そういうのもアリだろうな、というのは理解できるつもり。
そして、ネットを通じたコミュニケーションが、得てして他の手段よりも濃密なものだったりする、ということも同様だ。

本作品は、ここらへんの雰囲気をよく汲み取っている小説だなあ、というのが一番の感想かな。
しかも、もともとはネット上で連載されていたびっくりというのだから恐れ入る。
ハッピーエンドにせんがためか、ちょっと最後はうまくまとめ過ぎているきらいがあるが、スッキリ爽やかな読後感、さすがは石田衣良ってとこか。スマイル

あ、恋愛小説でありながら、Hなシーンは出てきませんので、念のため。(笑)


| 投稿者 きりう 22:40 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】夜明けの街で 東野圭吾

不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。
ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。

建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。
2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。
15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。
彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。
まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。


不倫の恋と殺人事件。テーマとしては濃い。
それを東野圭吾が書く。
否が応にも、期待は高まる。上昇上昇上昇

無言 無言 無言 無言 無言

ビミョー。ビミョー

どおりでネット上での評判もよろしくないわけだ。
「ミステリーとしては今ひとつ」という多くの書評にも納得。

でも、主人公が不倫の恋に落ちる心情の描写はすごくリアリティがあって、思わず「なるほどぉ」と。
この作品を評価すべきは、そのへんなのではないかなぁ。
読後感としても「女性がうわてだったね」と思わずつぶきたい感じだったし。

でも、そういう話を読みたいなら、別に東野圭吾じゃなくてもいいでしょ、というのも確かにある。
その筆力で面白く読ませてもらっちゃったけど、思い返せば、購入時の期待とはやっぱり違ってたのかな。(笑)

いいんです。面白ければ。悪だくみ


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】イノセント・ゲリラの祝祭 海堂 尊

また読んでしまった。(^^;
「このミス」大賞シリーズである。桜宮サーガである。バチスタの人である。

相変わらず軽妙な文体で、スイスイ読める。
いつもどおり、そこはマル。
一人ひとりの「キャラが立ってる」のもさすが。だから買っちゃうんだろうな。(笑)

でも、ミステリーとしてはイマイチな感が否めない。
本作品では、会議室の場面がやたらと多いわけだけど、そこでの論戦が主になっちゃってるので、何だか経済小説みたいな匂いさえする。
さすがにそれは言い過ぎとしても、要するに現実世界における著者の主張をしっかり埋め込んだストーリーということなのだろう。
面白くないわけではないので、次もまた買っちゃうんだろうな。

懲りないワタシ。(笑)

 
| 投稿者 きりう 23:43 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】女は男の指を見る 竹内久美子

本書で明かす事実その1「初対面で、女は男の顔よりも指を見る」。その2「ハゲの男は病気に強い」。その3「自分と違う免疫の型の持ち主ほど、匂いがいい」。その4「ピルは女の勘を鈍らせる」。その5「浮気で得をするのは女である」......数々の実験や最新データをもとに動物行動学で読み解く、「色気」「魅力」「相性」の正体。「遺伝子の企み」がここまでだったとは! 次々常識が覆される高揚感あふれる一冊。

はあ、顔よりも指、ねぇ。
正直、そんなトコを見られているとは思いも寄らず、どれどれと買ってしまった。
あ、いや、別に今さらモテたいとかそういう意図ではなく。冷や汗

事の真偽はともかく、本文には「なるほど」と思わせる記述が多い。
もっとも、人間がそんなに単純にできているはずもなく、日常生活に応用して何らかの得をしよう、とかいうことにはならないのだけれどもね。(「なんだ、やっぱりモテたいんじゃ?」というツッコミが聞こえてきそう。イシシ汗

日頃あまり縁のない「動物行動学」。
その面白さの入口部分に、そっと触れたというところだろうか。

いろいろ勉強になりますわ。


| 投稿者 きりう 22:32 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】あやまち 沢村凛

本物の恋はきっと、言葉を交わす前に始まるのだ。相手が近くに立ったとき、顔も見ることなく、気配だけで、もうとらわれているのだ。頭が理解するのは、ずっと後だとしても。――(本文より)

ジャンルとしては、恋愛ミステリーっていうのかな。
人間ドックの待ち時間用に持っていった本である。
前夜に最寄り駅の書店で平積みになっている文庫本の中からテキトーに選んで購入。

そんな選び方なのでさして期待はしていなかった本書であるが、読み始めてみると結構面白い。
検査の合間合間に少しずつ読み進めるのがもどかしい感じ。
1日目の検査が終わって、まとまった時間ができたら一気に最後まで読み終えてしまった。
あらやだ、夜のお楽しみのはずだったのに。(謎)

謎解き・推理という意味では、さほどの驚きや新鮮味もないのだけれど、何と言うか、”ひきこもり寸前のアラサーが落ちる恋”に妙なリアリティを感じてしまった。
決してハッピーエンドなお話ではないのだけれど、読後感は「どこか優しい」という吉田伸子サンの解説に同感。



| 投稿者 きりう 23:24 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】瞬(またたき) 河原れん

ホントは北川景子主演の映画を見たいと思っていた「瞬」。
劇場に足を運ぶ時間がないまま、どうやら上映期間が終了に近づきつつあるようである。
こりゃー、WOWOWの放映又はDVD化を待つことになりそうだな。困った

で、せめて原作を読もうと思って手に取ったのが本書である。
就寝前とか通勤時間とかを活用して、ようやく読了。
本来は、読破するのに何日も要するようなボリュームじゃないんだけどね。冷や汗

さて、全体を通しての感想は、いわゆる「いい話」。

前半は、いい年したオッサンであるワタシにとって、青春の甘酸っぱさとほろ苦さを同時に思い出させてくれるような描写が多々あり。へへへ
そして、後半からエンディング、そりゃもう・・・泣けるね。胸にジンとくるね。

・・・でも、申し訳ないが、展開がちょっと見え見えかな。
予定調和だとわかっていながら感動させるんだから、それはそれで素晴らしいんだけど。

なるほど、確かに映像化に馴染むお話だなあと思いました。
って、余計に見たいぞ。(笑)


| 投稿者 きりう 22:24 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】東京島 桐野夏生

映画化されるというオビを見て購入した文庫。
じっくり読む時間がないため、駆け足でストーリーを追っかける、という感じで読了した。

無人島に漂着した32人の男と一人の女、という設定は、一体どうなってしまうのだろうという興味をかきたてるに十分。
読み始める前は大変な期待感を持っていたのだが・・・

ちょっと期待が大きすぎたかな。(^^;

舞台が無人島だけにそのサバイバル生活を描くことがひとつのポイントだと思うのだが、いろいろとツッコミどころがあって、著者の描く世界になかなか集中できないのである。
(詳しくはネタバレになるので書きませんけど。)

でも、「ははあ、こうやって始末をつけたか」と思わせるエンディングは、これはこれでアリかな。

これが映像になったらどうなるのだろう、という興味もあるので、8月公開予定の映画も時間があれば見てみようか。


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】告白 湊かなえ

一気読みである。読み始めたら、止まらなくなった。
興味深い舞台設定に、モノローグによる迫力ある描写。
次の章、次の章と進むうちに、それ以前の内容が微妙にズレていく。
確実に真相に近づいている感じがするものの、どこかに嘘が混ざっているようで安心できない。
そして、ページを繰る手がどんどん速くなる。

終わっちゃった。
まさに「これで終わりかい!」っていうエンディングだ。
救いがないので、後味もよろしくない。

でも、それがこの作品らしくもあるという不思議な感想。

なるほど、売れるわけだ。(本屋大賞1位)

そして、俄然、映像が見たくなった。
松たか子が、木村佳乃が、いったいどんな演技を見せてくれるのだろうか。
今のお仕事の忙しさが一段落したら、ぜひ見に行ってみよう。

あ、ちなみに、「良い子は見ちゃダメ」な内容ですね。念のため。


| 投稿者 きりう 21:43 | コメント(2)| トラックバック(0)

【感想】小学五年生 重松清

短編集。
書名のとおり、小学五年生のお話である。
主人公は、すべて「少年」だ。
女の子が出てくるのは、初めて意識され始めた「異性」としての存在。
むぅ、甘酸っぱい感じ。(笑)

あとがきによれば、本書所収の作品は、著者の少年時代が投影された物語らしい。
だが、ワタシ自身の昔話が下敷きになっているような、なんだか懐かしい感じがする。
たぶん、この時期の男の子が普遍的に持っている感性を表現しているからなんだろうね。
まあ、そういうものが読みたくて買ったんだから当たり前ではあるな。冷や汗

日記 日記 日記 日記 日記

読み終えて、リアル”小学五年生の少年”である息子に「読む?」と聞いてみた。
「読む!」叫びと言うので、先ほど手渡したところ。悪だくみ
大人としては「あの頃」を振り返る(懐かしがる)読み方をしてしまいがちだが、現在進行形の小学五年生はどう読むか?
ちょっと興味深いところである。
息子から感想を聞くのが今から楽しみだ。
(って、いつ読み終わるのか皆目検討がつかないけど。)


| 投稿者 きりう 22:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】名文どろぼう 竹内政明

元上司から、携帯メールが来た。
なんだろうと思って開いてみたら、新書の紹介だった。

>ご無沙汰です。
>昨日ふと立ち寄った本屋で買った新書が面白いので、紹介します。
 <中略>
>帯には、「名文を引用して名文を書く技術」とあります。

へええ、と思い次のように返信。

>ご紹介ありがとうございます。
>早速、本屋に行ってみようと思います。

で、「早速」と言いつつも実際に購入したのは翌日くらいだったかな。
ちょうど高杉良に取り組み中だったので・・・スミマセン。

読んでみると、なるほど、確かに面白い。

ちょっと気の利いたセンテンスの紹介、というのが本書の基本的な構成なのだが、選定された「名文」には、思わずニヤリとさせられるものが多い。
と、同時に感じたのは、著者の守備範囲の広さと、「名文」を選ぶ眼の確かさ、ウィットに富んだ著者自身の表現。
それが、いかにも新書という感じでコンパクトにおさめられている。
さすがは 讀賣新聞 編集手帳。悪だくみ

最初の携帯メールを読んだ時点では、格調高い文章を書くコツなどを解説してくれている本かと勝手に想像した。
それとはちょっと趣が違ったけれど、満足の一冊だった。
良い意味で裏切られたね。にっこり

ここまでの域には達することはおそらくないだろうが、ワタシも珠玉の名文のひとつも書いてみたいものだ。

・・・ということで、元上司に再度感謝。
ありがとうございました。


| 投稿者 きりう 23:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】消失 高杉良

金融腐食列島 完結編 である。
いやー長かった。「ここに至るまで」も、そしてこの「完結編そのもの」も。

このシリーズの初期の方の作品は、リアルとエンターテイメントの調合が実に良い按配で、非常に楽しめた。
その流れでずっと続きを読んできたのだが、正直、だんだん質が下がってきた感がある。
もともとは良質な経済小説だったのが、最後には半分不倫小説になっちゃった。困った
主人公の竹中治夫もJFG銀行副頭取にまで上り詰めた。
なんだか、初芝電機のえらいひとみたいだ。(笑)

でも、今はとりあえず読み切ったという満足感が大きい。
現実の経済界、特に銀行を中心とした金融業界の動きについて、こういう見方があるのかという意味で勉強にもなったしね。
中年男と若い美女の恋も、まあ、「おとぎ話」と思って読めば楽しい。

そういう意味で、損はなかったと思いたい、かな。冷や汗

  
| 投稿者 きりう 20:23 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ドラゴン桜 三田紀房

何気なくブックオフで第1巻(105円也)を見つけて購入したのが始まりだった。
テレビドラマにもなっていた記憶はあるが、そっちを見ていたわけでもない。
本当に「何気なく」手に取っただけなのだ。

ところが、読み始めて間もなくすっかり虜になってしまった。
面白い。実に面白い。
ワタシ自身、予備校に通わない浪人生活を経て大学入試に臨んだ経験があるので勉強法等には一家言があるのだが、この作品に書かれている内容は、ほとんどが頷けるもの。
このとおりやったからといって実際に一年で東大に行けるとは思わないが、目から鱗の方法論が見つかったり、モチベーションアップには大いに役立つだろうと思う。
ヒットしたのも納得。

全21巻中、105円でゲットできたのは16巻まで。
残りはどんなに探しても105円では見つからず、350円ものに手を出した。
まあ、それでも新品を購入するよりは随分とオトクだから、不満もない。

んんん~、なんだか急に勉強したくなってきたぞ。
(たぶん、3日と持たないけどね。笑)

 

蛇足ながら、著者の描く画、好みじゃないんだよね。
水野直美、もっと可愛く描いてくれたらよかったのにな。
もったいない(意味不明)
| 投稿者 きりう 22:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

週刊マンガ日本史

息子が少しでも歴史に興味を持ってくれれば、と毎週火曜(=発売日)に買って帰るのだが、こちらが思うような反応はないのである。撃沈
むしろワタシ自身が読んで楽しんでいる感じ。(笑)
まあ、いざ社会科で歴史をやるようになれば、ちょっとは恩恵があったと思ってくれるかな。

ちなみに、今週は「徳川家光」でした。


| 投稿者 きりう 22:26 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画 藤原和博

藤原和博さんの本が、好きだ。

何を隠そう、”自分「プレゼン」術”以来のファンなのだ。
なので、かれこれ10年。
同書がベストセラーになった当時、ワタシは人事部にいて人事制度の設計なんぞを担当していた。
成果主義がもてはやされ始めた頃のことである。

著者の論旨は、給与をモチベーションの源泉にする成果主義とは趣を異にしていた。
本書でも説明している「成熟社会の到来」を見据えていたものだったと思う。
一つひとつのメッセージにものすごく共感した。
以後、東京都初の民間人公立中学校長に就任される頃までは、出る本出る本片っ端から買っていた。
思えば、あの頃のワタシはフジハラ教の信者みたいなものだったと思う。(笑)

しかし、その後ワタシ自身が営業に異動して、仕事に直接的に参考になる別種の本を読むようになってからしばらくの間は、あれだけ熱狂的に支持していたフジハラ教からも少し距離を置くことになった。
不慣れな業務にいっぱいいっぱいで、読む暇がなく、読む気も起こらなかったというのがひとつ。
もうひとつは、著書の数々に散りばめられている珠玉のメッセージと、営業現場とのギャップが大きくなり過ぎてしまって、その結果、ワタシ自身の悩みがかえって深まることに、自分の「こころ」が耐えられなかったから。

あれから何年くらいたっただろう。

今回、ひさしぶりに手にとってみたのは、改めて、教育や人材育成を考えようと思ったから。
仕事的にもそういうことをやっているし、35歳は過ぎちゃっているワタシだが、自分自身にも勉強になるだろうということと、35歳くらいの部下にどう接するかの参考にもなるだろうということである。

まあ・・・相変わらず同じ主張を繰り返しているだろうことは織り込み済みだ。(^^;
なんだかんだ言って、最大の目的は、エネルギーチャージってとこかな。

読んでみて、やはり新鮮味はなかった。予想どおり。(笑)
ネタが「今風」になっているだけ、である。
でも、やはりモチベーションはあがったのだった。

著者の本は、著者と対話しているかのような錯覚をいつも覚える。
これには、好き嫌いもあるらしく、ネットの書評なんかでは、「自慢話ばかり」と感じる人もいるようだ。
しかし、ワタシには読みやすく、そして読んだ後は元気になる。
だから、これでいいのだ。(バカボンパパ風)

もうすぐ年度末。
きたる新年度に向けて、いろいろとアタマを整理していかねばね。
やるぜ。炎


| 投稿者 きりう 23:33 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】NASAより宇宙に近い町工場 植松努

いやはや、すごい。

「どうせ無理」は禁句。
その代わりに「だったら、こうしたら」と言ってみる。
感動をアルファベットで書いたら、CAN DOだった。

他にも珠玉の言葉がたくさんつまっている。
それこそ、いちいち挙げていたらキリがない。一冊になっちゃうかも。(笑)
ほんと、やさしい語り口ながら著者の熱い思いが伝わってくる良書である。

このところ、自分自身のモチベーションをうまく上げられていなかったが、元気をもらえたね。
良い自己啓発本には多かれ少なかれ勇気づけられるものだが、本書はかなりのハイパワーだった。
ちょっとやる気ダウン気味の全ての方、オススメの一冊ですよ。

あー、いいものを読んだ。
明日からは頑張れる気がする・・・かな。(笑)


| 投稿者 きりう 23:58 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】国語 算数 理科 しごと 岩谷誠治

日々読んでいる公認会計士・磯崎哲也さんのブログ(isologue)の比較的最近の記事の中で、「あの小飼弾さんも大絶賛の、」 という紹介があったものだから、磯崎さん自身が紹介していた本ではなくて、こっちを買ってしまったという。。。冷や汗スミマセン

で、感想としては、「確かにこれすごいびっくり」なのでした。
わずか150ページ、イラストたっぷりで、字も大きい。
そんな本なのに、「会計」というものの本質をずばりと教えてくれる。
それも、本当にわかりやすく。
もちろん書名にあるとおり、「しごと」の意味も、ね。
小学校5年の娘と父親の会話、という体裁をとっているものの、決して"子供向け"などと侮ってはいけない内容だ。

4月からは、文中のお嬢さんと同学年になる我が家の新5年生は、ここまで理解できるかなあ。(ちょっと無理っぽい)
もし理解できるなら、これはとても素晴らしいことだ。
「よのなか」のことをだんだんわかっていかないといけないからね。
今度、ヒマを見つけて対話してみるかな。ナイス!

出版されたのは2007年11月とやや古いけれど、さすがアルファブロガーが絶賛するだけのことはある本でしたというところ。
仕事の価値や意味が今ひとつ腑に落ちていない若いビジネスマン、会計が苦手で初歩の初歩も食わず嫌いという全ての社会人にオススメ、というところでしょうかね。

いやぁ、ワタシは間違いなく勉強になったデス、はい。


| 投稿者 きりう 23:16 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】サヨナライツカ 辻仁成

先日、「中山美穂映画を見た、原作も読まなきゃ」という記事を書いたところ、
「ちょうど読んだところなんですよ」
と、部下のたかちゃん君が文庫を貸してくれた。
ありがたいことである。ナイス!

その時は宮部みゆきの「楽園」に取り組み中だったので、すぐには読み始められなかったが、昨夜就寝前に何とか読了。

うん、映画で十分に消化できなかったところが文字で補われた気がする分、この原作小説の方が印象が良いかな。
ストーリーの細部の差も、オリジナルの良さを感じたよ。
こういうことなら、25年後の再会での感動も理解できるような気がする。
映画の方で共感できなかったシーンも、今ならちょっとはわかるかも・・・?ビミョー

ただ、表面的に見れば、婚約者への(不倫に限りなく近い)背信のお話であることもあり、人によっては受け付けないストーリーかもしれないな、とは思った。
現にネット上には酷評コメントも散見されるしね。撃沈

映画同様、「ビミョーな評価」ってトコか。
ま、ワタシ自身の好みからいえば、完全にダメ!NGってわけでもないので、この先もうしばらくは、辻仁成という作家の描く世界を探検してみようか、と考える次第。
お好きな方、オススメがあれば教えてくださいね。
(このブログの読者にそういう人がいるのかわからんけど。)


| 投稿者 きりう 23:12 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】楽園 宮部みゆき

「模倣犯」と作品世界を共有する本書。
描かれるのは、9年後の前畑滋子である。
否が応にも期待は高まるわね。

新刊が出たときにも食指が動いたが、たまたま持ち合わせなく断念した。
そんな経緯もあって、今回の文庫化で迷わず購入。
上下巻あるので、少しゆっくり楽しもうと思ったのだが・・・

この週末であっという間に読了である。
やられた。(笑)

ノート ノート ノート ノート ノート

扱う題材は超能力。
「模倣犯」というリアリティあふれる作品の続編として捉える向きが多いだろう本書には、一歩間違えばトンデモ本の烙印を押されかねないリスクがあるはず。
しかし、そうした違和感を覚えさせない。一気にぐいぐいと読ませる筆力はさすがである。

何を追っているのかわからない感じは「火車」を彷彿とさせるかな。
まぁ「模倣犯」の重厚さにはかなわないけど、なかなか面白かったです。

若干、回収しきってない伏線があるように思うので、ひょっとしてこれは…続きがあるんじゃないか、と期待。
また読んじゃうんだろうなぁ。ははは。

 
| 投稿者 きりう 19:24 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】フィッシュストーリー 伊坂幸太郎

久しぶりに本を読んだ気が。
仕事が忙しかったり、テニスが忙しかったり、大河ドラマ見るのが忙しかったり、で、読書時間がすごく少ない今月だった。(「仕事が忙しい」は微妙に見栄張ってるかも?)

表題作を原作とする映画を鑑賞済みだったので、だいたいストーリーはこんなもんか、と予想していたのだが、買ってみてびっくり、短中編4作の本だったのね。

でまあ、順番にひととおり読んだのだが、うん、どれもまずまず面白かったってところかな。
「フィッシュストーリ-」は、映画よりもシンプルな話なのね。
映画の方が肉付けされているといった方が正確か。
いずれにせよ、この原作のほうが味わいがあってワタシは好き。

4編の中では、最後の「ポテチ」がいい。
他の3編と違って、これは書き下ろし作品だそうだが、独特の味わいで進むストーリーに加え、ホロリとくるエンディング。
泣かされますた。

ものすごくオススメとまでは言わないけど、さすが伊坂、という本です。


| 投稿者 きりう 22:45 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ブラックペアン1988 海堂尊

この年末始に読了した本である。
「チーム・バチスタの栄光」に連なる桜宮サーガ、海堂ワールドの作品。

「チーム・バチスタ・・・」や「ジェネラル・ルージュの凱旋」などの映画化された作品群よりも遡ること約20年前が舞台になっている。
それら作品で活躍する田口や速水は、本書ではまだ医学生だ。
彼らはこういう体験をして、やがて医師となっていくのか、と思うと感慨深い。
ここまで計算して出版順を決めているのかな。そうだとしたら、ニクい演出だ。

内容的には、他作品以上に専門用語がバンバン出てくるが、雰囲気で読み進められる。
話の筋がしっかりしているからこそ、なのだろうね。
いやぁ、面白かったなあ。
アマゾンの書評は賛否両論のようだけど、ワタシは「ジェネラル・ルージュの凱旋」よりイイかも、と思いましたです。

 
| 投稿者 きりう 23:29 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】謎とき村上春樹 石原千秋

「1Q84」で久しぶりに村上春樹を味わったのは、先月のこと。

ふと思い立って、「風の歌を聴け」と「1973年のピンボール」を読み返してみた。
すると、学生時代の感想と何かちょっと違う…
人生経験を積んだ分、解釈の広がり・深みが出てきたのかな、これは。

そんな中で、ふと目に留まったのが本書。
おお、あの「中学入試 国語のルール」で目から鱗の解説をされていた石原千秋先生だ。
(リンク先見にくくてごめんなさい。移転時の不具合を未修正のままでした。^^;)

謎だらけの小説から、誰も見つけてない宝物を探し当てることができるか-。
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」など全5作品を取り上げ、「自己神話化」する村上春樹文学の謎ときを試みる。


で、早速読む。
大学での講義録に加筆したものらしいが、面白い。
そうか、そういう解釈もあるのか。
大概は「わざわざそんな難しい読み方しなくても」という類の解釈ではあるのだが、ところどころ「おお鋭い!」と思わず膝を打った部分もあり、さすが著者、と思った次第。
特に「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」は、ほぼワタシ自身の感想にも合致していた。
これは気持ち良いね。(^^)

そんなわけで、村上春樹をちょっと深めた2009年の最終月なのである。
さて、次は誰の新作いこうか・・・


| 投稿者 きりう 22:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】亡国の中学受験  瀬川松子

なるほどねぇ。
「亡国の」とはまた刺激的なタイトルだが、内容は「一理ある」と思った。
それが、率直な感想。

理解不能な先取り授業、スタンドプレーの学校改革、蔓延するいじめ。
「お値打ち校」に本当に値打ちはあるのか?
受験産業と私立中高一貫校の実態を暴く。


例えば、私立は教育委員会への報告義務がないから不祥事も隠そうと思えば隠せる、とね。
公立の悪い評判が伝わりやすいのは、そうした報告がなされるからであり、また、その地域の人の多くが通うからであり。
確かに公立がダメとばかりはいえないかもねぇ。
私立のように見栄えのする宣伝ができないってのもあるだろうし。

賢い親にならないといけませんな。悪だくみ



あ、ちなみに著者は、「だから公立が素晴らしい」と言ってるわけではないし、また逆に、私学の良さを否定しているわけでもないので、念のため。
| 投稿者 きりう 21:46 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】1Q84 村上春樹

遅ればせながら、ようやく読んだ。
課題図書「1Q84」である。
職場の飲み会で、「きっと文庫になるまで手を出さないだろう」と宣言したら、翌日には部下のタカシくんがデスクまで持ってきて貸してくれた。そりゃ、読まなきゃ、である。キラキラ

ノート ノート ノート ノート ノート

物語構造は、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に似ている。
村上春樹は学生時代にかなりハマった作家さんなので、それなりに思い入れがあるが、少々の文体の変化はありつつも相変わらずの村上節だった。懐かしい感じだ。
書棚の村上春樹←我が家の書棚、村上春樹コーナー。冷や汗

読者である我々をどういう世界に連れて行ってくれるのだろう、という期待感のあるストーリー展開。
丁寧で密度の濃い描写に、よく考えられた伏線、暗喩。
狭い行間に凝縮された奥行きの深いイメージ。
村上作品ならではの雰囲気が十分に醸し出されている。
さすが、ってところか。ナイス!

でも、その独特の文体を読み続けると、結構疲れるのよね。悩んじゃう
ちょうど1章か2章ぶん読んだあたりで眠くなってくるので、毎晩、就寝前に読むことにした。
まるで睡眠導入剤だ。(笑)

ノート ノート ノート ノート ノート

どうやらこのBOOK1とBOOK2の2冊では、まだ物語が完結していないよう。
回収していない伏線があまりにも多いのである。
最後のページも、これでおしまいって感じじゃなく、明らかに続きがありそうだし。

で、調べたところ、やはり、続編が来夏に出るのだそうだ。
今回の売れ方は明らかにちょっと異常だったが、また売れちゃうのかな。
もう、新潮社さんの商売上手。www
これも「ノーベル賞に最も近い作家・村上春樹」というブランドが確立しているってことだろうね。
本当は誰にでも愛読されるっていう作風じゃないと思うんだけどなぁ。。。

ちなみにワタシ、ジョージ・オーウェルの「1984年」は未読である。
アレコレ言ってないで、読まないとイカンね。
あーあ、また課題図書が増えちゃったよ。(^^;

 

| 投稿者 きりう 22:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】検察の正義 郷原信郎

コンプライアンス論でアチコチひっぱりだこの著者。
自身の来歴、検事時代の体験を振り返りながら、書名でもある「検察の正義」を語る。

言い換えれば、「検察の論理」ってところか。
要するに、世間ズレ or 時代ズレしているという論調だ。
なるほどと思える記述、多数あり。

検察という組織とはこれまでご縁がなかったので、あまりよく知らなかったのだが、本書を読んでみて、その仕事の進め方や考え方の一端をうかがい知ることができた。
のみならず、その危うい構造までもが明らかに…いやー、内部にいた人間にはなかなか書けはないと思うんだけどね。
それが本書の秀逸なところでもあるのだろうけど。

勉強になりました。。。


| 投稿者 きりう 06:33 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】にぃにのことを忘れないで 川上ますみ

今年の24時間テレビで放映されたドラマの原作である。
あいにく、ドラマの方は一瞬チラ見しただけ。
「あぁ、今年のドラマは脳腫瘍の若者の話なんだね」というくらいの認識だった。
放映の翌日に控えていた衆議院議員選挙の方が、その時点の関心としては明らかに高かったのでね。ごめんなさい

で、無事に朝一番で投票に行ってきて、何気なく24時間テレビをまた見たわけ。
ん?そのドラマのモデルとなったご本人、川上浩輔さんの写真ね。なるほど。
ナビゲーター(?)は、看護師役で出演していた田中麗奈だ。
川上家を訪問、そしてご家族が登場…どうやらドキュメントのよう。

・・・思わず見入ってしまった。
何だろう、ドラマのときには感じなかった吸引力。
翌日にはこの原作本をネットで注文していた。

著者の川上ますみさんは、亡くなった浩輔さんの母親。
こういっては酷だが、プロの作家さんとは比べるべくもなく、少々、文章が読みにくい。
それでも、伝わってくるものがある。
これが本物の持つ迫力なのだろうか。

テレビのドキュメントの様子から、川上家は我が家から意外と近いところにありそうだという気がしていたのだが、読んでみて間違いないと確信した。
身近なところで、こんな闘いがあったとはね。

川上浩輔さんは、開成中学ではテニス部だったそうである。
本書の裏表紙はラケットのイラストだ。
どうみてもピュアドラだが・・・このベストセラーラケットを使ってたのかな。
ますますもって、親近感がわく。

更にいえば、最初の発症から4年4ヵ月後の再発というのがなんとも。。。
(なんといっても、ガンの完治は「5年」ですからね。順調にいって来月で3年というワタシのポジションからしてみれば、この「4年4ヶ月」っちゅうのは実にドキドキさせられる数字です。)

これから本書を読もうという方は、読む場所は選んだ方が良いかもしれない。
泣けましたよ。。。しずく


| 投稿者 きりう 22:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】青春夜明け前 重松清

あはは。アホや。

そう、中学や高校の頃のオトコってだいたいこんな感じなんだよね。
ワタシは著者よりも少し年下だし、出身も首都圏なので「上京」という概念とも少し縁遠い。
けれど、十分に楽しめる作品だといえる。
勉強も部活も一応ちゃんとやってたつもりのワタシでも、アタマん中を一番占領していたのは、あんなことやこんなこと。
本作品に描かれているエピソードと似たり寄ったりだ。(いったい、どんなことだって?笑)

…というわけで、「昔、少年だったヒト」みんなにオススメ。
(ただし、「昔、少女だったヒト」の多くには不評の可能性が高いので要注意?)

重松サンは青少年を描かせると本当にうまいなぁ。
中学入試でよく題材に使われるというのも頷ける。
もっとも本作品が入試問題に使われる可能性は限りなく低いだろうけどね。(笑笑笑)


| 投稿者 きりう 22:29 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】キラークエスチョン 山田玲司

人と何を話せばいいかわからない、他人とうまくやれずに損ばかりしている。この本は、そんな人たちを救う一冊になるはずだ。あるときを境に著者は、「何を話すべきか」ではなく「何を聞くべきか」と考えるようになって、すべてがうまくいくようになった。些細なことだけど、そこを意識するだけで、相手と深くコミュニケーションがとれるようになったのだ。世の中には「しゃべること」が重要だというような風潮があるけれど、それはウソだ。自分の話ばかりで人の話を聞かない人間は確実に孤立していく。人は基本的に話を聞いていほしい生き物なのだから、つかむ話よりもつかむ質問、すなわち、相手の本音を引き出す「キラークエスチョン」を相手にぶつけるべきだろう。質問次第では相手の心にフックがかかり、固く閉じられていた心の扉が開く。

150ページそこそこの薄い新書なのだが、対人関係論の好きなワタシにはツボのテーマということで目次も見ずに購入。
そしたら、ページ数が少ないだけでなく、中の文字数もかなりお手ごろなボリュームで(笑)、あっという間に読み終わった。
約700円という価格が高いと見るか適正と見るかやや微妙なところ。悩んじゃう

確かに「何を話すべきか」よりも「何を聞くべきか」という考えに立てば、「気まずい沈黙」に陥る状況はかなり改善されるだろうと思う。

そして、そのためのヒントとして26の具体的な質問例を挙げ、その意図を解説しているのだけど…なるほど、確かに参考になるところもありますね。

コミュニケーションというのはテクニックではどうにもならなくて、相手への興味や思いやりがその本質なのだろう。
しかし、手がかりとしてこういう質問事例集があるのも意味があることだと思う。
早速使ってみようかな。

 「その服、どこで買ったんですか?」



ちなみにワタシは上から下までユニクロです。いやー申し訳ない。(笑)
| 投稿者 きりう 22:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】汝の名  明野照葉

若き会社社長の麻生陶子は、誰もが憧れる存在。だが、その美貌とは裏腹に、「完璧な人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす女だ。そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいた。しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め、驚愕の真実が明らかになっていく…。『女神』の著者が「女の心理と狂気」で描く現代サスペンスの傑作。

「全国書店で続々上位にランクイン!!」というオビに惹かれて購入した本書。
なるほど、読みやすい文体でぐいぐいと引き込まれる。
面白くなかったと言ったらウソになるね。
おかげで昨日今日と睡眠時間が不足気味だ。

ただ、内面の心理描写を丁寧に行ってはいるものの、中身はやや常軌を逸した世界なので、好き嫌いの分かれる作品かもしれない。
事実、アマゾンの書評なんかも賛否両論のようだし。
サスペンス調のお話が好きな方向けですかね。

いやぁ、それにしても女は怖い。
「お馬鹿さん」なんて、もうゾゾーである。(←読めばわかります。笑)
おおお、背筋がさむぅ。


| 投稿者 きりう 21:25 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】赤い指 東野圭吾

著者の、直木賞受賞後最初の作品。

ワタシが東野圭吾を好んで読み始めたのは割と最近のことであるせいか、刑事・加賀恭一郎シリーズはなんと本作品が初トライである。わくわくww

序盤・中盤は読みやすい文体とわかりやすい展開。
ストーリー中重要な位置を占める「認知症」は、最近身近なところで目にし、耳にする機会も多い。
その何とも言えぬやるせなさをリアルに描いている。
他にも現代的なテーマを織り込みつつ、家族とは何かを問うような記述。
そしてエンディングは「そうきたか!」という展開に、思わずグッとくる。

これはエンターテインメントであると同時に、いろいろと考えさせられる作品だな、ほんと。
東野圭吾、さすがである。


| 投稿者 きりう 22:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】官僚たちの夏 城山三郎

ドラマ化される話題性から書店で平積みになっていた文庫。
佐藤浩市主演のそのドラマの方は見ていないのだが、原作の方を手に取った。
城山三郎氏の著作、ハズレであるはずがない。

昭和の、エリート官僚たちの、「天下国家」を論ずる夏。
ああ、きっと本当にこういう感じだったんだろうな。
今はきっと、仕事の進め方も官僚たちの「想い」も、だいぶ変貌したと思うけれど。

登場人物にはそれぞれモデルがいるとのこと。
政治家のセンセイたちは、ほとんど全員、誰だかわかりますね。
後々、大物になる人ばっかりだからかな。
(そこへいくと今の議員さんたちは・・・以下略。)

夏休みの読書にはちょうどよい感じの1冊でした。


| 投稿者 きりう 18:34 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】まほろ駅前多田便利軒  三浦しをん

「風が強く吹いている」が良かった著者。
その直木賞受賞作品を読まないわけにはいくまい。

読もうとした動機がこれだけだったものだから、タイトルにある「まほろ」が東京都町田市のことだとは読み始めるまで知らなかった。
町田といえば、ワタシが高校時代を過ごした街である。
そして、社会人1年目の職場もなぜかこの町田。
なんとまあ。(^^;



ワタシが過ごした時代からは少し時間が経ってはいるが、街の基本構造は変わらない。
なので、描かれている場面場面がどの辺りので起きていることなのかがいちいちわかって、非常に楽しい。(^^)

ストーリーそのものもそれなりに起伏あり、センテンスも軽いタッチで読みやすく、うまさを感じる。

そうして読み進めていくうちに残りページが少なくなり…もうちょっと読みたいな、と思わせつつ、おしまい。
うーん、シリーズ化に馴染みやすい設定と終わり方といえるか?

全体として「まずまず楽しめた」という感想でした。
三浦しをん、なかなかじゃ。
また別なものを読んでみようっと。
| 投稿者 きりう 22:29 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ライヴ 山田悠介

うむぅ。
ちょっと失敗だったか。

著者の作品には初挑戦。
平積みされていたから、ハズレではないだろうと思って買ったのだった。
死のウィルスとトライアスロン、という組み合わせも何となく良さそうだったしね。

しかし読み終えてみると、これだけの話かい?って感じなのである。
物書きでもないワタシがエラそうなことを言ってはいけないかもしれないが、プロの作家ならもう少しどうにかならなかったのかなあ。

これで結構売れているっぽいので驚きである。
スイスイ読める、こういう文体が好きな人が世の中には多数いるということか。
ま、ワタシはあえてオススメしませんが。



| 投稿者 きりう 22:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】風が強く吹いている 三浦しをん

驚いた。面白かった。泣いた。感動した。

素人集団が箱根駅伝を目指す。
リアル世界では、あり得ない話だ。
だけど、本作品のディテールといったら!

著者は執筆に6年を要したという。(最相葉月さんの解説より)
なんと周到に準備し、緻密に書き上げたのだろう。
よくぞこれだけのものを、とまず驚いたのである。

ストーリー展開は、大きな流れでいうとまあ想定の範囲。
練習して、速くなって、予選会突破、そして本戦の箱根路。
でも、その予定調和の中で読む者を惹きつける。
1区スタート後はページを繰る手が止まらない。
いやー面白い、実に面白い。

登場人物それぞれの個性を見事に書き分け、それを踏まえてレース中の心理描写に踏み込む。
読者に共感を与えるうまさに、思わず涙腺が緩む。

そして、本当に予定調和的なのだけど、大手町に感動のゴール!

突っ込みどころもないわけじゃないんだけど、何というかな、うん、恐れ入りました、だな。

もう断然オススメです。
今週公開予定の映画も絶対見ようっと。



| 投稿者 きりう 23:03 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】終末のフール 伊坂幸太郎

3年後に世界が終わる。
小惑星が地球と衝突し、人類は滅亡するのだ。
そういう設定のお話である。

でも、ヒーローが出てきて滅亡を食い止めたり、逆に滅亡していくさまを描いたりするような小説ではない。

終わりの見えた世界で、人々が何を思い、何を語り、どう行動するか。
ある意味、とても興味深い、想像上のシナリオが、そこにある。
ありそうで、なさそうな、でもやっぱりありそうな、そんな8つのケース。

著者は、緻密に計算されたストーリーを描くのが本当にうまいと思う。
8つのお話がきちんと一つの世界を構成していて、随所で登場人物のクロスオーバーがある。
それも、なるほど、と思うような意味ある出方でね。

人間ドックの待ち時間に読んだ文庫本だったが、なかなか楽しめました。




| 投稿者 きりう 22:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】あの歌がきこえる  重松清

いつか街で会ったなら
戦争を知らない子供たち
オクラホマ・ミキサー
案山子
好きだった人
旅人よ
風を感じて
DESTINY
いなせなロコモーション
スターティング・オーヴァー
さよなら
トランジスタ・ラジオ


これ、本書の目次である。
同世代にはたまらない、青春の「あの歌」のラインナップ。
それぞれの楽曲を絡めた著者の自伝的連作小説ということらしい。

ワタシは著者よりも若干年下なので、序盤のお話は今ひとつピンとこない。
しかし、中盤から後半は、ワタシ自身の胸にもいろいろと去来するものがあり…
甘酸っぱく、ほろ苦く、何ともいえない懐かしさ。
青春ですねえ。照れちゃう

著者は1963年生まれ。
同世代の方々、特にオススメですぞ。


| 投稿者 きりう 22:57 | コメント(2)| トラックバック(0)

【感想】日本の「安心」はなぜ、消えたのか 山岸俊男

安心社会と信頼社会。
武士道と商人道。

日本はここ10年で社会のありようが変化してきている。
その姿は、従来の安心社会から欧米的な信頼社会への移行プロセスにあるように見える。
が、今のまま進めていって本当に大丈夫か?
世の中の理解があやふやで、かなり危ないんじゃないか。

本書の論調は全体としてそんなお話。

昨今の企業不祥事(隠蔽問題など)を説明するにはまことにすっきりしたストーリーである。
コンプライアンス関連本はこれまで何冊も読んだが、尻切れトンボが多かった。
しかし、本書はすっと腑に落ちた感じ。かなりイイです、これ。
誤解を恐れずにいえば、「いじめ」にも良いいじめと悪いいじめがあるのだよ。
いじめをなくそうというアプローチは間違っていて、良いいじめはむしろなくしちゃいかんのだよ、と。
ふむふむ。

地図地図地図

最近、何となく惰性で仕事をしている感じがしていた。
でも、本書を読んで自分のミッションを見つめなおしてみようかな、と思った次第である。
誇りをもって仕事をしようってね。

さて、明日からは7月。第2四半期の開始である。
がんばろっと。急げ


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】風に舞いあがるビニールシート 森絵都

著者の作品を読むのはこれが2冊目である。
前回読んだ「カラフル」は、ファンタジーっぽい作風で、すいすいっと読めた。
不思議な味わいの作家さんだなあ、というのがそのときの印象。

で、本作品は2006年の直木賞なのである。
つい最近、NHKで吹石一恵主演によるドラマ化もあったとか。
(見なかったけど。)

6編からなる短編集なのだが、それぞれが全然違った仕上がりになっている。
あらら、この作家さんはこんな芸当ができちゃうんだ、が率直な感想。すごいわ。
分量的には、通勤時間に少しずつ読むのにちょうどよい感じかな。
森絵都ワールドを堪能するには少し短いという向きもあろうが、万人受けするのはこっちかも、と思う次第。
どれもよくできた作品で、お見事というほかない。

でも、やっぱりイチオシは標題作「風に舞いあがるビニールシート」かなあ。
いろいろ考えさせられました。(汗)
涙腺もじゅうぶん緩んだしね。(涙)


| 投稿者 きりう 21:30 | コメント(1)| トラックバック(0)

【感想】歌舞伎町シノギの人々 家田荘子

新宿歌舞伎町。
ここ数年はとんとご無沙汰だが、学生時代はここでよく飲んだ。
危ない歓楽街だというのは知っていたが、恐いもの知らずというか勢いというか、ターミナル駅の便利さもあって選択肢の一番上にくることが多かったのだ。
続きを読む >>
| 投稿者 きりう 22:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】名もなき毒 宮部みゆき

ハードカバーが出たときに気になったものの、結局購入せずじまい。
いずれ文庫になってから読もうと思っていた本作品が、このたび、文庫ではなく新書版になって登場した。
買って、一気読みである。

ノートノートノートノート

今多コンツェルンの広報室では、ひとりのアルバイトを雇った。編集経験があると自称して採用された原田いずみは、しかし、質の悪いトラブルメーカーだった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、極端なまでの経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。折しも、街では連続して起こった、無差別と思しき毒殺事件が多くの注目を集めていた…。人間の心の陥穽を、圧倒的な筆致で描ききった、現代ミステリーの最高峰。第41回吉川英治文学賞受賞。

ノートノートノートノート

アルバイトの解雇トラブルと無差別連続毒殺事件。
この2つが平行して話が進み、最後に一気にひとつの流れに収斂していくさまは、さすが宮部みゆき、である。
もう、ページを繰る手が止まらないのだよね。おかげでちょいと寝不足だ。どーしよー
(一昨日は全仏オープン、その前がW杯予選。朝が早いので意外とキツいのよ。笑)

誰か―Somebody (文春文庫)に連なる舞台設定は、杉村三郎クンを中心に据えたシリーズ化の予感が漂う。
内容は、前作よりもこっちの方がずっと面白いな。
この後の作品がどれほどのものになるのか、俄然、期待してしまう。

ひさびさに堪能しました。やはり著者の作品はハズレがないね。


| 投稿者 きりう 23:58 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】ホームレス中学生 麒麟・田村裕

ものすごく売れていたのは知っていたが、芸人さんの自叙伝に千数百円を払う決心がどうしてもつかずスルーしていた本。
ブックオフに行ったら300円。
それを、たまっていたTポイントでゲットである。
これくらいならいいや。 にっこり

で、想定&前評判どおり、お世辞にも文章はうまくない。
また、芸人さんの本であるから、脚色や誇張もあるんだろうと思う。
少し頑張りすぎちゃっている感、なきにしもあらず。

しかし、なるほど売れるだけのことはある中身だ。
ホームレスという言葉から連想される貧乏話もさることながら、人と人とのつながり、思いやり、家族の絆など、著者がまっとうな人間として生きることの意味を学んでいくさま。

そういったことが語られる終盤、そして、多くの人に謝辞を述べている、あとがき。
これらが本書のキモかな、と思うわけである。
文章がうまくない点が、そうした魅力を増幅して涙腺を刺激するのかな、とも。

読み終えて何が残るというほどのものでもないが、いわゆるイイ話である。
笑って泣いて、明日への活力にどうぞ!という感じかな。
ワタシ自身、そういう気分にしてもらえたのでね。

…って、会社行って現実に直面すると一気にテンション下がってたりするんですが。(苦笑)



| 投稿者 きりう 23:03 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】重力ピエロ 伊坂幸太郎

映画を見に行く前に原作を読んでおこう、と思った本作品。
著者の作品は、登場人物のキャラが立っていて面白い。
ミステリとしてはさほどでもないのだが、この人物描写が好みである。

様々な分野の様々な固有名詞が小道具的にたくさん出てきて、へぇっという感じ。
これだけのネタをイヤミなく一つのストーリーに収斂させていくのは、なかなかの構成力かもしれない。
たぶん、著者の性格は相当緻密なんでしょうね。(勝手な想像)

テニスは朝のスクールだけにして、今日一日で読み終えた本書でした。
さて、映画はいつ見に行こうかな。(と言ってみる。笑)


| 投稿者 きりう 20:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】翔べ、錦織圭! 両親が語った、「エアK」の軌跡

発売されたばかりの本書。
購入して一気読みである。
「錦織、疲労骨折」の報に接し、錦織情報を本能的に欲しがったのかもしれない。

で、感想ですが・・・
すごく面白い!

何といっても、ご両親の証言である。
幼少時の話やら、成長していく過程やら、プロになって以降についても、家族ならではの裏話っぽいもの、とにかく今までメディアに出ていなかったであろう話題が次々と。
これはファンにはたまらんですねぇ。目がハート

内容もさることながら、切り口が「親の目線」というのがまた何ともイイ。
つまり、基本的には子育て話なワケですよ。
小学生の息子を持つ身としては、共感できたり、参考になったりと、もう何と言ってよいやら。

いやぁーこれは本当にいい買い物でした。にっこり

スタースタースター

「いつでもだれでもラッキーはくる そう思え」(錦織圭)

圭くんのケガの快復を祈るとともに、再び世界の舞台に戻った暁には、より一層の輝きをもったプレイが見られることを信じ、ファンは待つのであります。


| 投稿者 きりう 22:51 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】あぁ、監督 ―名将、奇将、珍将

野村克也という人のボヤキは、どうもあまり好きにはなれない。
何だか性格が悪そうで、根が暗そうで。
ワタシ自身のイヤな面を増幅して見せられているような気分なのだ。

今まで氏の著書を読まなかったのは、そういう好悪の感情が少なからず影響していたと思う。
なのに今回本書を手に取った。
理由は、ワタシの会社のエライひとが、社内ブログで絶賛していたから。
リーダ論としても面白いという評価が「ならば読んでみようか」という気にさせてくれたのだ。

…で、読んでみた感想。ちきしょう、確かに面白いぞ。失礼しました
部分的には、「ちょっとそれは思い込みに過ぎるのではないの?」という記述もあることはあるのだが、分析にしろ表現にしろ、おっと思うような文章がやはり多い。
なるほど、これまで多くの書籍を出版し売り上げてきただけのことはある。
自分の考えと言葉をしっかり持った方なのだな、と再評価させていただいた次第。

仕事に即、応用できるかというとちょっと難しいとは思うが、確かにビジネスに通ずるところもあるね。
けれど、安易にビジネス論に展開せず、野球の話に終始している点が何よりも潔くて好感。
いわゆる「食わず嫌い」ってやつだったかな。

今度、他の著書も読んでみよう。




折りしも、ベイスターズは大矢監督の休養を発表。
なぜ。。。
| 投稿者 きりう 21:46 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】余命

谷村志穂という名前は「結婚しないかもしれない症候群」とセットで記憶の片隅にはあった。
それ以上でもそれ以下でもなく、ワタシにとっては本書が著者の作品とのファーストコンタクト。

この文庫自体は、実家に住む母親のものである。
それを借りて読んだという妹が、珍しくワタシに勧めてきて、又借りしたのである。
オススメの理由は何さ?

読んでみてわかった。
主人公は乳がんだ。しかも再発。
出産もからめて生と死を扱うという構成は、まあ、ぶっちゃけていえば「お涙頂戴」である。

妹からも「読む場所は考えたほうがいいよ」というありがたい助言つきだったが、そういうことだったのね。(笑)

細かいところで、ちょっと!というツッコミどころが多く、どうしても無理はある。
少しばかりだが癌の経験や知識があるワタシとしては、そういうトコがどうしたって気になってしまう。
(ちなみに、医学的には5年間の再発・転移がなくて初めて完治という定義らしいので、その意味では、ワタシはまだ現役の癌患者である。)

でも、さすがに映画化されたほどのストーリー。
展開はなかなかだし、ところどころにある涙腺を刺激する描写もニクイ。
例えば、癌と縁のなかった人に考えてもらうきっかけにするには、いいお話だともいえるかな。

そこの元気で健康な人! ちょっとこれ、読んでみませんか?

| 投稿者 きりう 23:20 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】インナーテニス こころで打つ!!

勝ちたい、強くなりたい。
昨秋の市民大会団体戦で、実に久しぶりにそういう感情が湧き上がったワタシ。
かつての練習嫌いがウソのように、最近は地味練を好むようになった。

テクニックの向上の次に重要性を感じたのは戦術だ。
ブラッド・ギルバート氏の「ウイニング・アグリー」は、この点から大いに役立った。
不恰好でも、勝つ。そのエッセンスを学び、少しだけ実行に移している。

そして、もうひとつの強化ポイント。
それが試合中のメンタル安定である。
以前は、試合中にもかかわらず、ちょっとしたことでよくキレていた。
直前まで勝っていた試合を、そんなつまらん原因でいくつ落としたことか。
歳を重ねて徐々にマシになってきているが、同世代平均でアツくなりやすい方なのは確かだろうと自覚している。
一旦、火がつくと、いらんことをどんどん考えてしまうのだね。悩んじゃう
そのとき、勝利に向けた執念は置き去りにされ、雑念が心身を拘束する。
この状態になって良い結果を出した例がない。

前置きが長くなったが、本書はこの点の改善に向けてヒントを与えてくれた。
初版は昭和53年と古いが、今なお読み継がれており、かつ、その評価は未だに高い。
ワタシ自身としても、読んでみて「目から鱗」の連続だったといえる。

実は優勝した市民大会シングルスでは、最終日はこの本をバッグに忍ばせていた。
コートチェンジのときに見直して、目の前のポイントに集中するのに役立てたのだ。
いやはや、本当にありがたい書ですよ。

ただ、ネット上の評判では否定的な意見も少なくない。
万人受けはしにくい理論なのかな?
まあ、わからない人はわからないままでいてくれた方が助かるけど。(←器が小さいのは直らない)

とりあえず、目次を引用しておきます。
もしピンとくるキーワードがあるようなら、ぜひご一読を!

■インナーテニス こころで打つ!!
■W・T・ガルウェイ著  ■後藤新弥 訳

PROLOGUE インナーゲームとは
セルフ1とセルフ2/努力こそ上達の障害/静かな心の追求/判断をしないこと


CHAPTER1 奇跡のボール注視法
苦手意識って何だ?/あなたは三枚目なのだ/「はずんで、打って」練習法/コーチ不要のタイミング効果/上級者は耳でテニスを聞け/出遅れドライバーの習性/バウンド地点の確認実験


CHAPTER2 先入観をぶち壊せ
キング婦人恩ケバケバ注視法/ボールで絵を描いてみるか/カボチャはカボチャなのか/未知との遭遇・セックス応用術/正直な万引き男の話/球が大きく見えればしめたもの/ボールに乗ってみよう/スーハー方式の精神集中/ボールのなかにパワーがある/狙わなければ勝てる


CHAPTER3 内側への意識の集中
コンピューターを邪魔するな/感覚と思考の違い/ヨガのテニス/「現実」から離れない練習法/ランニングへの応用/未成年読むべからず/でぶっちょモリー


CHAPTER4 自然に上達するテニス
だれがメアリーを教えたか/内在する“智恵”を信じよう/自分の癖はわからない?/なぜ自然に上達してしまうのか/“力み”の解消法/筋肉痛も治療できる/パワーの増大法/カッコよくプレーする方法


CHAPTER5 真の自信の追求
自分の能力をワクにはめるな/プロの役を演じてみよう/カラから飛び出せ/三回でダメヨーの人/飛ぶのが怖い―――[わい曲・その1]無い穴を埋める[わい曲・その2]誇大妄想[わい曲・その3]本質と形


CHAPTER6 勝つ意志のコントロール
なぜ「負けたい」のか/ゲームの本質とは何か/意志の鍛え方/インナー・ゴール


インナーテニス  
| 投稿者 きりう 22:35 | コメント(3)| トラックバック(0)

【感想】落日燃ゆ

先日、テレビドラマ(正確には、上司に焼いてもらった録画DVD)で見た広田弘毅像、その原作本。
市民大会の待ち時間などに読んでいた。
テニスと全く関係のない小説を読むことで、変なプレッシャーからは無縁でいられたのだ。



そんなわけだから、読み方としては先に見たドラマとの差分を意識することになった。

考えてみれば当たり前なのだが、活字の方が遥かに面白い。
テレビドラマは尺の関係もあってかなり無理したんだろう。
広田弘毅の印象、だいぶ変わったぞ。(苦笑)

まあ、歴史を語ったお話とはいえ、どこからかはフィクション部分があるはず。
なので、無条件に礼賛するつもりなど毛頭ないが、やはり考えさせられるものはあった。
あの戦争は、本当に何だったのだろう。。。

※Doblogでは禁止されていたアフィリエイトというものを導入してみました。
 きれいな画像で紹介したいという動機ですが、あわよくば小遣い稼ぎに…
| 投稿者 きりう 18:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】学歴分断社会 吉川徹








日本の大卒層と非大卒層―。全人口におけるその割合は、ほぼ同数となってきた。しかもそれは今後も続く。これが本書の言う、学歴分断社会である。そして大卒/非大卒という分断線こそが、さまざまな格差を生む。学歴分断社会は、どのようにして生じたのか。そこに解決すべき問題はないのか。最新かつ最大規模の社会調査データを活用し、気鋭の社会学者がこれまでタブー視されてきたこの領域に鋭く切り込む。


…という本を読んだ。今日はその感想を。

学歴社会から実力社会へ、という流れにあるのが現代の一般的なイメージだろう。
現にワタシもそう思っていた。
ただ、何となくひっかかりを覚えてもいたのである。ちょっと気持ち悪いぞ、と。
本書では、その「気持ち悪さ」の中身を見事に説明している。
データの裏打ちをもった展開に、思わずううむと唸ってしまった。
こりゃ、たいした分析だわ。

本書の結論は、大卒層と非大卒層との間の格差が雇用に関する不平等を生んでいるという問題に対し、ダイバーシティ的な発想で、法的に(政治的に?)保護すべきというもの。
理屈としてはわかるが…実現性はどうなんでしょうね?あれー?
まあ、学者さんにはある意味の理想論を語ってもらわないといけないわけで、実現性を考慮した処方箋を書けということ自体、どだい無茶な話。
その意味で、この結論、これはこれでいいんだろうとも思う。

子を持つ親の目線からは、「こういう社会である以上、やはり大学までは出してやらないとな」と再認識したところである。
もちろん、大学さえ出れば十分ということではなく、どこからかは本人次第(それこそ実力主義)になっていくはずなのだけどね。

「同世代の著者に、ずいぶんいろいろと教えられたなあ」という気分の読書でした。
非大卒のわが弟と、今度、話をしてみよう。

■ 学歴分断社会 吉川徹 (ちくま新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064790
| 投稿者 きりう 23:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】学歴分断社会 吉川徹








日本の大卒層と非大卒層―。全人口におけるその割合は、ほぼ同数となってきた。しかもそれは今後も続く。これが本書の言う、学歴分断社会である。そして大卒/非大卒という分断線こそが、さまざまな格差を生む。学歴分断社会は、どのようにして生じたのか。そこに解決すべき問題はないのか。最新かつ最大規模の社会調査データを活用し、気鋭の社会学者がこれまでタブー視されてきたこの領域に鋭く切り込む。


…という本を読んだ。今日はその感想を。

学歴社会から実力社会へ、という流れにあるのが現代の一般的なイメージだろう。
現にワタシもそう思っていた。
ただ、何となくひっかかりを覚えてもいたのである。ちょっと気持ち悪いぞ、と。
本書では、その「気持ち悪さ」の中身を見事に説明している。
データの裏打ちをもった展開に、思わずううむと唸ってしまった。
こりゃ、たいした分析だわ。

本書の結論は、大卒層と非大卒層との間の格差が雇用に関する不平等を生んでいるという問題に対し、ダイバーシティ的な発想で、法的に(政治的に?)保護すべきというもの。
理屈としてはわかるが…実現性はどうなんでしょうね?あれー?
まあ、学者さんにはある意味の理想論を語ってもらわないといけないわけで、実現性を考慮した処方箋を書けということ自体、どだい無茶な話。
その意味で、この結論、これはこれでいいんだろうとも思う。

子を持つ親の目線からは、「こういう社会である以上、やはり大学までは出してやらないとな」と再認識したところである。
もちろん、大学さえ出れば十分ということではなく、どこからかは本人次第(それこそ実力主義)になっていくはずなのだけどね。

「同世代の著者に、ずいぶんいろいろと教えられたなあ」という気分の読書でした。
非大卒のわが弟と、今度、話をしてみよう。

■ 学歴分断社会 吉川徹 (ちくま新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064790
| 投稿者 きりう 20:13 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】美丘 石田衣良

難病の恋人の死にゆく物語。
石田衣良が「世界の中心で愛を叫ぶ」を書いたらこうなる、というようなお話だ。

なんだお涙頂戴か、とも思えるこの設定を石田衣良らしくきちんと仕上げている。

舞台は、渋谷、青山、表参道、などなどいわゆるお洒落な町。
主人公は、大学生。
そうした若い世代の恋愛模様をリアルに叙述。
ちゃんと?エロい描写もある。(笑)

そう、だからこそ、後半からラストにかけてのヒロインの命が削れていく様に迫力があるのだろう。
泣けた、涙が出た、という読者レビューをアマゾンなどであらかじめ読んでいたのに、不覚にもワタクシの目からもあふれるものがあった。
いやあ、あらためて「命」について考えてしまったよ。

そして、最後のページ・・・そうきたか!という終わり方。
なかなかどうして、余韻を残すエンディングだ。
こりゃぁ、まいったな。想定以上の感動。

はっきり言おう。これはお買い得な文庫だったわ。ナイス!



■美丘  石田衣良(角川文庫)
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200810000297
| 投稿者 きりう 23:12 | コメント(2)| トラックバック(0)

【感想】20世紀少年 浦沢直樹

コミック1~22巻と、完結編ともいうべき「21世紀少年」の上下巻をついに通読した。

「途中までは傑作、だけどひどい終わり方」という評価も一部にはあるとのこと。
確かに、張り巡らされた伏線がすべて収斂して物語が終わっていないといえばそう。
でも、ワタシが思うには、本作品の場合はむしろ、この「必ずしも伏線が全部回収されていないように見える」という点がポイントなのだよね。
これって「千里眼」シリーズの松岡圭祐氏の作品「水の通う回路~完全版~」の構造に似てる感じがする。

要するに、解釈の幅があるエンディングということだ。
個人的にはアリだと思うし、読了後もアレコレ想像できる点で面白いとさえ思う。
矛盾だらけで破綻しているというわけでもないのだから、いいじゃないのって思うんだが。

世の中にはそう思わない人もいるんだろうね。
ん、それもわかるけど。(笑)

何はともあれ、楽しませてもらったんだから、いいんです。
今度の夏に予定されている映画の第3章も楽しみですな♪



20世紀少年 浦沢直樹 (小学館コミック)
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_tid?tid=10041&pat=a


| 投稿者 きりう 22:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

【感想】夢をかなえる勉強法 伊藤真

司法試験指導で有名な著者。
勉強法の本はこれまで何冊も読んだが、本書の説得力は秀逸である。
読みながらただただ、なるほど、うんうんそうだよなぁと思うばかりだった。

といっても、「具体的に何をどうするのが良い勉強法なのか」はあまり書かれていない。
考え方のエッセンスといったところだろうか。
具体的な内容は何を目指すのかによって変わってくるだろうから、普遍的なことを抽出するとこうなるんだろう。
司法試験の勉強法についてのテクニックを知ろうとして買った読者は期待を裏切られるかもね。

書かれている「考え方」は、(当然のことながら)著者の体験に基づくもの。
これがワタシ自身の大学受験(ただし一浪)の時の学習方法にぴたりとあてはまるものだから、強烈な説得力を感じたのも無理もないかな。
ただ、著者あるいは著者が指導した司法試験受験生とワタシとが違うのはその徹底ぶりである。
ひとつひとつは特別なことでなくとも、繰り返し・継続することのチカラを再認識。

人生ずっと勉強ですな。



■(ポケットブック)夢をかなえる勉強法 伊藤真 (サンマーク出版
http://www.sunmark.co.jp/
| 投稿者 きりう 22:05 | コメント(2)| トラックバック(0)

ヘヴンリー・ブルー / 村山由佳

かれこれ7年以上になる自宅PC。Cドライブの空き容量がキツいので、いろいろと策を弄している。その一環で、昨夜もディスクの最適化をやった。久しぶりの最適化なので、時間が相当かかるだろうと予想。ディスプレイの前でボケっと待っているのも何なので、買ったばかりの文庫を読み始めた。それがこのヘヴンリー・ブルー。「天使の卵」、「天使の梯子」のアナザー・ストーリーである。で、これ・・・文字が少ない。(笑)「あとがきにかえて」という、著者の日記の方がボリュームとしてはデカイんじゃ?(この「日記」は、某SMSで書いているものに、個人情報などを考慮した若干の加工をしたもの、だそうだ。小説を執筆中の著者の様子がよくわかってまあ面白いのだが。)なるほど、確かにこれじゃ「内容が薄い」という批判が出るのも肯ける。アマゾンの書評とか、そんなんばっかだもんね。きりうとしては楽しく読めたので、量はともかく質的には悪くない評価である。「天使の卵」と「天使の梯子」を両方とも事前に読んでいて、その世界観が割と気に入ってるからなんだろう。この2冊を読まずに、これだけをいきなり読んだひとにはツラい作品かな。なので、これ、けっこうマニアックな本かもしれません。**************読み終わってもなお、ディスクの最適化は終わらない。どんだけでかいディスクだよ!なのか、どんだけ短い小説だよ!なのか。正解は、たぶん後者。・・・なので・・・コストパフォーマンスもあまり良くないかもしれん。ヘヴンリー・ブルー / 村山由佳 (集英社文庫)http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-746391-0&mode=1
| 投稿者 きりう 18:58 | コメント(0)| トラックバック(0)

中学入試国語のルール / 石原千秋

先月読んだ「中学受験の失敗学」の中で紹介されていた本。きりうは小中高校ずっと通して国語という科目が得意だった。テストというテストでは常に好成績。でも、実のところ、どうして正解できるのか自分でもわからなかったのである。解法が存在するわけでなし、暗記科目でなし。大学生のとき、バイトで学習塾の講師をやっていたが、国語を教えるのは大変だった。なぜそれが正しいかが、どうにもうまく説明できない問題がいくつもある。自分の感覚では、それが正解なのはあまりにも当たり前のことなのよ。。。生徒の成績を伸ばすのがミッションなのに、こと国語に関してはうまい教え方が見つけられない。学生バイトなりに、結構、悩んだものだ。それが、本書を読んで、合点がいった。はっきり言って目から鱗。例えば「国語は道徳である」なんてね、もうほんと、「なるほど!」という感じで。問題文だけでは絶対に正解にたどりつけない領域には、こういう暗黙の前提があったのか!(もちろん、多くの場合は問題文をよく読むことが正解への近道であることも事実なのだが。)ああ、あの頃にこの事実がわかっていればなあ。(無理)***********ところで、本書は講談社現代新書である。国語の得点アップのために小学生が読むようなシリーズではないね。(^^;ということは・・・読者ターゲットは、こどもの中学受験を考える親なのだろう。これまた、まんまと乗せられたか。我が家はまだ態度保留だけど。(笑)でも、著者の本当のメッセージは、国語教育のあり方への問題提起ではないかという気がする。解き方、考え方が載っているのは事実だが・・・。中学入試国語のルール / 石原千秋 (講談社現代新書)http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2879352
| 投稿者 きりう 20:41 | コメント(0)| トラックバック(0)

鈴木貴男のサーブ&ボレーレッスン / 鈴木貴男

錦織くんが出てくるまで、長らく日本の第一人者といえば本書の著者だったといえよう。現代のプロテニスでは絶滅危惧種ともいえるサーブ&ボレーヤー。ベッカーやエドバーグに憧れて確立されたスタイルと聞けば、何となく親近感がわく。あれぇ、きりうよりも10歳も下なのに何故感覚が共有できるんだ?(謎)「本を読んで強くなったヤツはいない」という学生時代の教えが未だにぬけきらないせいか、本書の発売を知っても最初は関心もなかった。しかし、いつも読んでいる河内房如空さんのブログで良書との紹介があり、ピピっと反応。会社帰りに立ち寄った本屋で眺めてみると、写真をふんだんに使った丁寧な解説。確かになかなか良さそうだ。たまたま持ち合わせがなかったので、その日は購入しなかった。しかし、買おうと思ってもういちど立ち寄った翌日には、既に売り切れていた。(驚)なのでこれ、なんと○ートスポーツ@御徒町でゲットしたものである。じっくり読んでみると、ところどころ、確かにイイコトが書いてある。それも単なる技術解説だけでなく。戦術とか。気持ちの持ち方とか。ははぁ、なるほど、である。それでも、基本はあくまで技術解説寄りの内容であり、その意味では保守的な本づくりなのだ。でも、国内最高レベルの現役プレーヤーのちょっとしたノウハウが嬉しいところ。なんか、本読んだだけで強くなったような気がしてきた。(錯覚)試合に勝つテニス 鈴木貴男のサーブ&ボレーレッスン / 鈴木貴男 (実業之日本社)http://www.j-n.co.jp/cgi-bin/product_detail.cgi?code=4-408-45195-9
| 投稿者 きりう 19:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

早稲田と慶応 / 橘木俊詔

母校について思うところあり、読んでみたのである。ちなみに、「思うところ」とは箱根駅伝で総合Vならなかったことではなく、業務上のお話。あしからず。さて、本書のポイントは、著者が両校のどちらの関係者でもない、というところにある。ともに、日本の私学の雄を自認する二校。こうしてあらためて比較をしてみるとなかなか面白い。財界に強く、多くの経営者・企業家を輩出している慶応。政界・マスコミに強く、政治家やジャーナリストの有名人が多く出ている早稲田。慶応は閉鎖主義、早稲田はマスプロ。慶応はセレブ、早稲田は多様性。ううむ、一般に流布されているイメージそのままじゃないか。(^^;ただ、いろいろなデータで裏づけされているので説得力は十分なのである。やはりそうだったのか、という確認ができたという意味では大変満足できた。もっとも、もともとの「思うところ」については何の解決にもならなかったけど・・・。(??本書によれば、両校共通の弱みは研究業績にあるとのこと。確かにノーベル賞は出ていないしね。真の意味での私学の雄、日本のオックスブリッジを目指すなら何とかしないといけない処だろう。ワタクシ、寄付もロクにしない不良卒業生だが、頑張って欲しいものだ。(勝手な話)早稲田と慶応 名門私大の栄光と影 / 橘木俊詔 (講談社現代新書)http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2879581
| 投稿者 きりう 18:40 | コメント(0)| トラックバック(0)

中学受験の失敗学 / 瀬川松子

息子は現在、小学3年生。中学受験を考えるなら4年生くらいから・・・と言われる昨今である。進学塾の新学期は2月からなので、本気で取り組むならそろそろ考え始めてもおかしくない。で、ちょっとこんな本を読んでみた。以前に中学受験のプラス面を強調した本を読んだが、それと本書とはかなり趣が異なる。でも、両方読んで良かったかな、というのが読後感。まずは、俄かには信じがたい暴走親のエピソードの数々。著者はこうした「ツカレ親」の言動を分析し、志望校全滅を免れるための対策案を提起する。 ふむ、なるほど。対策案の数々は、正直言って「当たり前じゃん」と思うレベルのものが多い気がする。だが、こうして文字にしてまとめている点が本書の価値あるところだろう。要するに、「勉強の仕方に関する基本的留意点」がずらっと並んでいるのだよね。ああ、これはこれでありがたいことだな、と。だから、我が家が中学受験をしようがしまいが、息子が「勉強する」という習慣をつけるための、親にとっての良い指針にはなるんじゃないかな、と思ったわけである。なんてったって、人生はずっと勉強なんだから。・・・と、ここまで考えてみて、ひとつ疑問に思ったことがある。著者が指摘する「ツカレ親」やその予備軍は、そもそもこの本を読むのだろうか。ここに書かれた数々の処方箋は、それを真に役立てるに値するご家庭に果たして届くのだろうか。どうもそうはならないような気がするのだがねぇ。全く余計なお世話なんだけどさ。中学受験の失敗学 志望校全滅には理由がある / 瀬川松子 (光文社新書)http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334034825
| 投稿者 きりう 22:46 | コメント(0)| トラックバック(0)

螺鈿迷宮 / 海堂尊

「チーム・バチスタの栄光」、「ナイチンゲールの沈黙」に続く、著者の第三弾。本作品の構想は、「ナインチンゲール・・・」刊行以前からあったそうな。前二作で、名前だけ出てきていた氷姫が本作品で初登場。物語の中で重要な役割を演じる。なかなか個性的なキャラである。存在感あるなあ。本作品でスポットがあたるテーマは、終末期医療。またこれがいろいろ考えさせられるのである。うーん、深い。このへんはさすがといえよう。 そして、ミステリーとしても、なかなかのスグレモノなのである。上巻で散りばめられた謎が、下巻でするすると紐解かれていく。なるほどそういうことだったのね with スッキリ感。「ありえねー」という大胆な設定等もないではない。がしかし、娯楽性をも取り込むという意味では十分に許容範囲。正直、面白い。そして、物語世界がますます拡大していきそうな余韻を残すエンディング。これはまた続きを読まねば・・・・・・あれ? これってまんまと引っかかってるような気が。(^^;螺鈿迷宮 上 / 海堂尊 (角川文庫)http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200805000465螺鈿迷宮 下 / 海堂尊 (角川文庫)http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200809000318
| 投稿者 きりう 22:04 | コメント(0)| トラックバック(0)

Winning UGLY(ウイニング アグリー) / ブラッド・ギルバートほか

メンタル面の強化大作戦。学生時代には、「本を読んで強くなったヤツはいない」と言われたものである。でもそれは、その当時に出ていた本の多くが技術解説に偏っていたからではないだろうか。本書は、世界ランク最高4位まで行った、ブラッド・ギルバートの著書である。彼は、アンドレ・アガシを世界№1にしたコーチとしても有名だよね。読めばテニスが強くなる というサブタイトルが既に刺激的。さすがに額面どおり受け取ってはいけないと思うが、なかなかためになる。ちなみに、UGLYって「汚い」とか「不恰好な」とかいうような意味らしい。ネガティブな言葉を敢えて選択して使っているのだろうか。そういえば、ロディックも彼の指導を受けて時期があったね。「錦織を威嚇して勝った器の小さい男」などと一部で言われた件も、彼の指導の賜物なのだろうか。(謎)で、内容。 印象に残った言葉を拾ってみると・・・・試合は開始前から始まっている・トスに勝ったらレシーブを選択しろ・セットポイント以上に大事なのはセットアップポイントだ・誰が誰に何をしているか、を常に意識せよ・・・などなど、ほほう、と思うようなことが書いてある。もっとも、既に知っているTipsも結構あったりするので、全編が目から鱗というほどではないが、そうであるにせよ、元トッププロの言葉としてこれだけ多くのポイントがまとまっているのはやはり素晴らしいと言えよう。ま、結局のところは、果たしてどれだけ実践できるか、というのがあるんだけどね・・・関係ないが、きりうは本書の訳者の宮城淳先生にテニスを習ったことがあるのです。大学の体育の授業で、ね。(^^;低い弾道のフラット、地を這うスライス、絶対にミスらないネットプレイなどが印象的でした。ああ、もう20年以上前になるのか。(遠い目)Winning UGLY(ウイニング アグリー) ?読めばテニスが強くなる ? / ブラッド・ギルバート,スティーブ・ジェイミソン 共著 宮城淳 訳 (日本文化出版)https://shop.nbp.ne.jp/g_details.php?id=20020122153329&c=5_0&s=2&k=&p=1
| 投稿者 きりう 22:23 | コメント(0)| トラックバック(0)

Jの神話 / 乾くるみ

なんじゃ、こりゃ?イニシエーション・ラブで、すっかり気に入った(と思っていた)乾くるみ。本書はデビュー作だという。どんな話なのかネットでのチェックも何もせずに、平積みを見つけて購入した。今回も楽しませてくれるだろうと勝手に期待して。それが…うーん、何というべきか。たぶん好き嫌いが分かれるんだろうと思う。少なくとも、きりうの好みでないのだけは確かだね。エロい描写があるのは基本的に嫌いじゃないんだけど、これはちょっと勘弁。それから、ミステリーとしてもどうなのか、微妙な感じだ。確かに辻褄というか整合性は合っていて、最後には、ああそういうことなの、となる。でもねぇ、こういうオチはどうなのよ、と言いたいね。思わぬ展開といえば、そうなんだけど。いずれにせよ、乾くるみ作品は慎重に選ぶ必要があるのだな、と思い直した一冊でした。Jの神話 / 乾くるみ (文春文庫)http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/73/20/9784167732035.shtml
| 投稿者 きりう 22:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

その日のまえに / 重松清

僕たちは「その日」に向かって生きてきた??。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか……。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。大好きな重松さんの作品。しかも、本書のテーマは死にゆくプロセスである。これは・・・きりうのために書いてくれたのか。(違)連作短編集、ということで、ただ短編を集めたのではなく、一つの世界を形成している。最後には全部つながっていたんだなあ、ということがわかる仕掛け。まあ、そんなテクニックよりも、いつもながらの重松節に泣かされるのだ。特に今回は、自分の姿を重ねたり、相方や息子をダブらせたり、と大忙し。途中から、場所を選ばないと迂闊に読めないな、と思ったものである。ほんと、すぐに目が曇るもの。そして、今日も生かされている自分を実感し、明日へのファイトをもらうのである。・・・ちょっとカラ元気ギミではあるがね。(笑)ああ、忙しいぞ、くそ。その日のまえに / 重松清 (文春文庫)http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/66/90/9784167669072.shtml
| 投稿者 きりう 22:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

悩む力 / 姜尚中

かなり売れているらしい、と聞いていた本書。仕事が大変だったり、術後2年目検診を控えて落ち着かなかったりで、衝動的に購入した。夏目漱石が題材として取り上げられているとわかるオビも、その気分を後押ししたと思う。で、実際。目から鱗、というほどではないが、なるほど、と思わせるところは多数ある。そうそう、人間悩まないとね。人はひとりでは生きていけないのだから、他者との関係において自我を意識するのは当然といえば当然か。そこらへんを含め、漱石やマックス・ウェーバーの著作を引きながら、本質的に人間は100年前と変わっていないのだ、と主張する。悩むことで自我を確立し、悩みぬくことで社会を乗り切っていくしかない。 ふむ、なるほど。*************本日、小室哲哉氏が詐欺容疑で逮捕された。彼の自我はどんなものだったのだろう。栄華を極めた彼が、なぜこんな…困難を乗り切るための悩む力は備わっていなかったのか。それとも、悩んだ挙句の、困難から逃げるための犯行だったのか。最後のページを繰りながら、ふとそんなことを思ったのであった。悩む力 / 姜尚中 (集英社新書)http://books.shueisha.co.jp/tameshiyomi/978-4-08-720444-5.html
| 投稿者 きりう 23:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

ありふれた魔法 / 盛田隆二

ありふれた、不倫の恋の物語。いや、不倫の恋がありふれているかどうかは不勉強なもので(汗)よく知らない。この小説のすごいところは、そんな不勉強者のきりうにも「ありふれた話」と錯覚させるだけのチカラがあることではないだろうか。日常の描写一つひとつがリアリティにあふれ、ああ本当にそうなんだなあ、と思うわけである。色っぽい描写がもっとあるかと期待(?)していたのだが、そこらへんはむしろあっさり味。(解説の大崎善生氏が
| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

ナイチンゲールの沈黙 / 海堂尊

「チーム・バチスタの栄光」が大変良かった著者の、次なる作品。今回も舞台設定は同じで、一つの物語世界を形成している。前作が素晴らしかったため、つい期待してしまったのだが、ちょっとあそこまでの完成度を求めるのは酷だったか...というのが率直な感想である。いや、決して悪い出来ではないのだが、前が良すぎたね。(^^; ********** 今回のお話も、医療の最前線にいる著者ならではの記述が随所にちりばめられている。前作同様、難しい話をわかりやすく書くというのが上手。これはこれで、さすがである。ただ、ミステリーとしてはちょっとどうかなあ。Amazonかどこかの書評にもあった気がするが、SFっぽい感じも・・・ 前作がバリバリのリアリティを追求していた(ような気がした)だけに、正直なところ、違和感は否めない。巻末のによれば、著者はすごいペースでその後も作品を発表しているらしい。刊行順に読むことをオススメする、とまで言い切っているところから推測するに、おそらく物語世界としては、この後の作品も共通なのだろう。だとすると、本書のストーリーはこの後の作品において、伏線になっている可能性もある。それらを読んでみて味わいが深くなる、という可能性も考慮しておくべきか。そんなわけで、もうしばらくは「要チェック作家」のステイタスをキープである。************* ナイチンゲールの沈黙 (上) / 海堂尊 (宝島文庫) ナイチンゲールの沈黙 (上) / 海堂尊 (宝島文庫)
| 投稿者 きりう 22:36 | コメント(0)| トラックバック(0)

錦織圭 フィフティーン・ラブ / 神仁司

本日のAIGオープン。錦織 0?2 ガスケ (1-6,2-6) さすがにガスケには負けたのね。本日、有明の現地にてナマ錦織を観戦した相方曰く、 「昨日の圭くんとは別人デスカ?」 という状態だったそう。残念だったね。 そうはいっても、大会前半を大いに盛り上げた圭くんである。 今回の3回戦進出でランキングもまた少し上がるだろう。 この後の参戦予定はストックホルムオープンだそうだ。ぜひ頑張って欲しいね。 (しかし、本当に世界を転戦するのは大変だ。海外旅行があれだけ疲れるのに、彼らはこの日程。うーむ。) ************* さて、そんな彼の本が出るという情報をキャッチしたのは先週末のこと。月曜の会社帰りに早速購入した。 試合の録画チェックと合わせ、今週はすっかり錦織圭一色である。(^^; で、昨夜未明に読了したので感想を。 まず、1ページあたりの文字数が少ない。(「まず」ってそこかよ。笑) いやほんとに、読み終わるまでの時間が短くて済むのである。コストパフォーマンスはちょっと疑問かも?? 内容的にはよく取材してあって、構成もうまくて、さすがテニスジャーナリストの著書、という感じである。これまで雑誌などで断片的にしか伝えられていない情報がうまく整理されている点が特によろしい。きりうは、修造チャレンジに参加していた当時11-12歳の圭をGAORAで見た記憶がある。あのとき、圭ひとりだけが特別に見えたわけではないが、何人かの目立つ存在の一人ではあった。そこらへんの記憶が呼び覚まされるような記述もあって、個人的には懐かしい感じ。ますます応援したくなったね。************** それと、何年かして彼が本物のスーパースターになったとき、意外とお宝になるのじゃないかと。ブックオフには安易に売らないようにしなくちゃだな。あ、ちなみに、今、相方が読み始めています。読み終わったら感想を聞いてみよう。錦織圭 フィフティーン・ラブ / 神仁司 (実業之日本社) -n.co.jp/cgi-bin/product_detail.cgi?code=4-408-45181-9
| 投稿者 きりう 23:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

隠された証言 / 藤田日出男

クライマーズ・ハイを見て、改めて日航123便墜落の事故原因を確かめてみたくなった。
520名の尊い生命を奪ったのは何だったのか。

本書の著者は、各種資料から事故原因を追究していた元日航のパイロット。
追究過程で、内部告発者の協力を得、生存者の「隠された証言」の存在が明らかとなる。
それによれば、圧力隔壁破壊→急減圧→尾翼損傷、という事故調の描いたシナリオがものの見事に崩壊し、説明不能になるのだ。
さては隠蔽の構図?という示唆。う~ん、説得力抜群。

昨今の企業不祥事は、こういう隠蔽体質が世論で叩かれていることが多い。
20年以上前のこの頃は、「真相は墓場までもっていく」という生き方がまだあった時代。
確かにそういうことがあり得たかもしれない、と思っちゃうんだよね。
その後の報道等から推測するに、政治的、外交的にも様々な事情のあった時期みたいだし。

事故原因の再調査は、やはり必要か・・・そう思った一冊であった。
この事故に興味のある方、あるいは、クライマーズ・ハイのエンドロールが気になった方はぜひ。

隠された証言―日航123便墜落事故― / 藤田日出男 (新潮文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/129351/



| 投稿者 きりう 21:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

日本型リーダーの研究 / 古野庸一 リクルートワークス編

業務上、「人材育成」というものを改めてじっくり考える必要に迫られて手に取った。
ここに答えがあるわけではないというのは明白なのだが、いつもの思考パターンで、ヒントになるものがあれば、というくらいの気持ちだ。

前半は一流といわれる経営者へのインタビューがベースになっているだけあって読み物としても面白く、大変ためになった。
まあ、成功者の物語は、仮にそれが劣悪な体験であったとしても、それをバネに、とか、反面教師になってくれた、とか、良い意味での解釈がなされているものである。
そのへんは少し割り引いて考える必要はあるのだろう。

後半の、著者らの知見をまとめた記事は、相応の分析があってなるほどと思うが、う~ん、今与えられているお題とは正面から向き合って(対立して)しまいそうな流れで、ちょっとつらいかな。
共感できる部分はむしろ多いくらいなんだけどね。(^^;

***********

育成というのはホント難しい。
子育ては究極の育成だけど、このレベルから関わっても、親が思う通りには子供は育たない。
ましてや、大学を卒業してきたいい大人が、そうそう劇的に変わることは期待できないだろう。

さて、どうしたもんだろうか・・・
(もうちょっと考えるか、適当に誤魔化すか、あるいは思い切って反対の立場に立ってみるか??)

悩みは尽きないのである。(←たまにはちゃんと仕事している自分。笑)

日本型リーダーの研究 / 古野庸一 リクルートワークス編 (日経ビジネス人文庫)
http://www.nikkeibook.com/book_detail/19452/


| 投稿者 きりう 22:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

償い / 矢口敦子

最近あまり小説を読んでないなあ・・・ということで、何となく手に取った本書。
厚めのミステリは、時間の余裕があるときでないとこなしにくい。
株主総会が終わった今、仕事的には一段落しているから、ウインブルドンが終われば、まあ、ゆったり読む時間も出てくるかなと思って購入した。

ところが、さわりをちょっと読んでみたら、何だか途中でやめられなくなり・・・
想定を大幅に前倒しして、読了してしまった。まだ、ウインブルドン終わってないのにね。(^^;

それだけの魅力あるストーリーである。
ちょっと都合が良過ぎる展開だが、映画でも小説でもよくあるレベルで、とりたてて目くじらを立てるほどでもない。
ミステリとしての面白さもなかなかだが、何より「償い」というタイトルに象徴される、その問題意識が深い。

ふむ、どうやら他作品も読んでみる価値ある作家さんのようだ。
解説によれば、「家族の行方」「VS」あたりがお薦めらしい。
次の購入候補として、それらの書名を頭の片隅に刻んでおこう。

償い / 矢口敦子 (幻冬者文庫)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=201030



| 投稿者 きりう 21:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

察知力 / 中村俊輔

サッカー日本代表、スコットランドリーグ・セルティック所属の著者。
ま、そんな説明は不要だね。日本が世界に誇るファンタジスタだもの。

スポーツ選手の書く本はあまり読まないのだが、本書はなぜか買ってしまった。
理由は、プレイヤー・中村俊輔の魅力に負うところ大。
あの創造的なプレイはどういう思考回路によるものなのか、その源泉を知りたいのだ。

***********

ずっと、「サッカーノート」をつけているのだそうである。
課題を見つけ、対策を考え、克服し、次の課題を見つける、というサイクル。
それを記録として残し続ける。時々読み返す。

ああ、やっぱりそうなんだ。
天才肌と思われがちな彼だが、人一倍、研究熱心で努力を続けていると。
何だか、とても腑に落ちた。
当たり前のことを当たり前以上に継続する、そのすごさなのだね。

***********

あとがきで、将来は指導者になりたい、と書いてある。
これだけのことをしている彼のこと、きっと有能な指導者になるだろう。
彼に率いられた日本代表を見てみたい。
世界を驚かせる何かを生み出すのは、彼のような人材なのじゃないだろうか。
すごく期待させられる一冊なのでありました。はい。

おっと、その前に。
2010年南アフリカで、プレイヤーとしての最高の輝きを見せて欲しいね。
がんばれ、俊輔。

察知力 / 中村俊輔 (幻冬舎新書)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=300371


| 投稿者 きりう 19:11 | コメント(0)| トラックバック(0)

反転 / 田中森一

単行本がベストセラーだったときから気になっていた本書、文庫化され迷わず購入。
読んでみての感想は・・・ひとことで言うと、面白かった!なのである。

まさに「ジェットコースターのような」という形容がぴったりな人生。
いやはや、ドラマみたいである。すごい。

貧しかった幼少時代、苦学の末に司法試験にまで合格。
敏腕検事として活躍した若い頃。
弁護士への転身とバブル経済、そして闇社会との交流。

著者による「暴露的自伝」であり、大物政治家を含め実名がばんばん出てくる。
こんなに書いちゃって平気か、と思うほど。
でも、名誉毀損等で出版の差し止めが求められているわけではなさそうだし、それどころか文庫化されたのだから、やはり、書かれている内容そのものは否定できない事実ということなのかな・・・?

日本社会の「表」と「裏」の接点。
全ての真実が語られているわけではないと思うが、実に興味深く、示唆に富む内容であった。

反転 闇社会の守護神と呼ばれて / 田中森一 (幻冬舎文庫)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=202008


| 投稿者 きりう 00:58 | コメント(0)| トラックバック(0)

クラリネット症候群 / 乾くるみ

「イニシエーション・ラブ」、「リピート」ですっかりお気に入りになった乾くるみ。
今回は、中篇2つを納めた文庫である。
一つは既発表の「マリオネット症候群」、もう一つは書き下ろしの表題作。

いやあ、この人は本当に引き出しが多いんだね。
過去に読んだ2冊とまた違った作風のストーリーである。
SF風の味付が独特ではあるけれど、ジャンルとしては一応ミステリーなのかな。

で、本作品も大変楽しめたわけである。
ネタバレの危険を考慮するとほとんど中身を紹介できないのが残念。(^^;

ちなみに、本書の解説を読んで知ったのだが、乾くるみという作家、実は極端な寡作で鳴るらしい。
そうか、あまり書店で見かけないのはそういうわけだったのね。

確かに、デビュー10年で7作、というのは本当に少ない。
それだけ、一つひとつの作品に時間をかけているということなのだろうか。
トリックや伏線が幾重にも折り重なっていて、それでいて全体の調和もとれている。
そこらへんに時間と労力をかけていると思っておこう。

さて、次作を読めるのはいつのことだろう・・・

クラリネット症候群 / 乾くるみ (徳間文庫)
http://www.tokuma.jp/bunko/tokuma-bunko/30af30e930ea30cd30c330c875c750197fa4


| 投稿者 きりう 23:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

4-2-3-1 / 杉山茂樹


ビジネス本ではなく、娯楽一辺倒でもない。
業務のヒントになるかもしれないが、ならない可能性の方が大きい。

・・・ということで、仕事で煮詰まり気味の頭に、適度な刺激となることを期待して購入した本書。
期待に違わず、いい感じでスイスイ読めた。
一日中仕事のことばっかり考えるんじゃなくて、ちょっとはリラックスしないとね。

*************

さて、サッカーは布陣でするものではないとよく言われるが、本書では、思い切り布陣の重要性が強調されている。
むしろ、「それが全てだ」ぐらいの勢いの主張である。
そして、確かにかなり大事みたいだな、という気にさせられる。
欧州取材を通じた豊富な事例と世界的な指導者たちへのインタビュー内容などがその論調を裏付けているのだ。
W杯やユーロ、欧州CLなどの有名試合の分析からの見事な論理展開なので、思わず納得してしまうのだろう。
日本代表の分析もバッチリ、とくれば、きりうのようなミーハーファンはイチコロに決まってるわけさ。(笑)

*************

ただ、あまりにも主張にスキがなさすぎて、本当かいな?という感じもする。
いや、それこそ「サッカーは布陣でするものではない」という思い込みからきているのかもしれないけどね。

まあ、売れているというのもわかる気がする一冊でした。
今度の日本代表戦は、布陣を意識しながら見てみるかな。

おっと、やっぱり著者の術中に既に嵌っているようだ。まいったな。(笑)

4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する / 杉山茂樹 (光文社新書)
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334034467



| 投稿者 きりう 22:38 | コメント(0)| トラックバック(0)

渋滞学 / 西成活裕

たぶん、専門的に取り組んでいくと、とても難しい分野だと思う。
でも、とてもわかりやすく書いてある。そんな著者の説明力にまず脱帽。

ゴールデンウィークの渋滞にハマったのが、読もうと思ったきっかけである。
本書が世の書評等で話題になったのは、確か1年以上前ではなかったか。
初版が2006年9月というから、おそらく最近のことではないと思う。

*********

基礎研究と応用研究の連携で新しい学問が生まれる。
「渋滞学」は、それ。

専門家は、自らの専門分野の限界を知りつつ、それを打破していくことに挑戦する。
しかし、ちょっと見方を変えれば十分に応用可能な別の専門分野の存在に気づかない。
これからの時代、そこに気がつく新しいタイプの専門家が求められている。
視点を変えてみることで新しい大きな可能性が開ける。
うん、そうだそうだ。

企業法務も同じである。
法律の専門家ではあるが、「純粋に」法律を考えるのは別な職業の方に任せておけばよろしい。
きりうが思うに、実務と法律の橋渡しがポイントなのである。
でも、身の回りには「法律のスペシャリスト」になりたがる人が多いような…。

それとなく、薦めてみるかな。(そう、キミキミ。笑)

渋滞学 / 西成活裕 (新潮選書)
http://www.shinchosha.co.jp/book/603570/


| 投稿者 きりう 20:37 | コメント(0)| トラックバック(0)

法律より怖い「会社の掟」 / 稲垣重雄

これも、業務上のヒントが欲しくて手に取った一冊。

日本と欧米の遵法意識の違いなどから紐解いて、我が国における昨今の企業不祥事の原因を明らかにするとともに、どうすればよいかの処方箋についても、一応、言及している。(いまいち理解できなかったけど。^^;)
まあ、社会学的なアプローチで切り込んだ、ということなんでしょう。

この手の本の常として、「最後は経営トップ」という文脈で結論がまとめられている。
どの本も大差ない結論だから、そこが参考にならないのは想定の範囲内。(笑)

本書におけるきりうのファインディングは、「それをやれば儲かる」というスキームを適用できれば、コンプライアンスが促進される可能性がとても高くなるだろうということ。
高度経済成長期に社会問題化した公害も、「環境対策をやれば儲かる」で、沈静化した。
これを昨今の企業不祥事の防止などにも応用できないか、という話である。

・・・と、理想はそのとおりなんだが、なかなか知恵が出ないんだよねえ。
だから、厳罰化に走りがちなわけ。
でも、これって「北風と太陽」の北風みたいなもので、むしろ根深い問題になりかねない、ってか。難しいよなあ。

ということで、やっぱり、悩みは尽きないのである。

法律より怖い「会社の掟」 / 稲垣重雄 (講談社現代新書)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=287939




| 投稿者 きりう 22:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

セブン-イレブン 覇者の奥義 / 田中陽

2006年4月発売なので、少し古いといえば古いのだが、
仕事上のある問題意識から何かヒントがないかと思って読んでみた。

そしたら ・・・ 面白いじゃないの。(^^)

もともとの問題意識の方は、ほんのちょっとのヒントをつかんだというレベルだが、むしろそれ以外の部分を感心しながら読んだ。
イノベーションを起こし続けるというのはこういうことを言うのか。

まあ、この手の本は、「負の部分には触れていないものだ」という前提つきで読まないといけないのだが、それを割り引いてもエクセレントな仕組みであることは間違いなさそう。

もしかすると、当初想定していた問題意識以外にも、仕事上、応用可能な記述があったかも。
もう一度、今度は面白がるのではなくて、業務目線で再読してみようかな。
なかなか満足度の高い一冊でした。

セブン-イレブン 覇者の奥義 / 田中陽 (日本経済新聞社)
http://www.nikkeibook.com/detail.php?class_code=31245


| 投稿者 きりう 19:51 | コメント(0)| トラックバック(0)

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか ─アウトサイダーの時代 / 城繁幸

著者の公式ブログは、なんとDoblogだったりする。
ブックマークさせてもらっており、更新されれば必ず読んでいる。
人事を経験したことのあるきりうにとっては、大変興味深いテーマを扱い続けているからだ。

で、その著者の最新刊がこの新書。
ブログでも、全国紙の書評にはまず載らないだろう、と書いておられるが、そう思うのも無理はない、という内容である(ただし、その後、いくつか載ったけどね)。

きりう的感想としては、まさにここで書かれた「昭和的価値観」にひざを打つ思い。
これこそが会社に入って感じた違和感、人事部に異動して感じた違和感の正体だったのだ。
ところが、いつの間にか「そういうもの」として受け入れ、今では昭和的価値観のレールの上。
転職も難しい年齢になっちゃったんだけどね。(汗)

著者の主張する、職務給ベースの人事制度が唯一の解決策とは思わないけれど、これから昭和的価値観が崩壊し、新たな秩序が構築されていくことは十分に想定されるし、またそうならないと、この国の将来はいずれ立ち行かなくなるだろうとも思う。

その意味で、少なくとも若い世代の社会人や学生は読んでおくべき内容の本だろうね。
きりうも、息子の子育てにあたって、変な価値観を刷り込まないよう気をつけなくちゃ、と思った次第。

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか ─アウトサイダーの時代 / 城繁幸 (ちくま新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064141/


| 投稿者 きりう 19:27 | コメント(0)| トラックバック(0)

花粉症は環境問題である / 奥野修司

これかー!! スギ花粉症の原因。
もちろん医学的にはアレルギーなのだろうが、花粉の大量飛散も原因といえば原因。
この着眼点はなるほど、である。
おいおい、って言っちゃいそうな論理展開もあるが、総合的に見て納得性の高い主張が並ぶ。
著者も読者(きりう)も、ともに花粉症という「共感」が、本書をより高い評価にしている部分もあるんだろうけどね。(^^;

国の政策でもう少し何とかなる可能性があるなら、ぜひお願いしたいところ。
花粉症持ちにとって、春は本当に憂鬱な季節なのだから。
(スギはどうやら終わったらしく、ヒノキアレルギーのないきりうは今年はもうOK。ふぅ。)

花粉症は環境問題である / 奥野修司 (文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/6/60/61/9784166606191.shtml


| 投稿者 きりう 20:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

ブルータワー / 石田衣良

石田衣良の、なんとSF長編。
本作品は著者が書いたものの中で最長とのこと。
9.11や新型インフルエンザなど、"今という時代"を大いに意識した素材が活用されている。

お話は、200年の時を越えて未来の人類を救い、自らも病に打ち勝ってハッピーエンド。
読んでいる間だけ楽しめれば、といういつもの感覚で手に取ったのだが、本作品からは、人間の愚かしさと同時に、愛と信頼に裏打ちされた人間の優しさ、素晴らしさというようなメッセージ性も感じられた。

短編や中編が多い著者の本の中では異色の「こってり系」でしょうかね。

ブルータワー / 石田衣良 (徳間文庫)
http://www.tokuma.jp/bunko/tokuma-bunko/30eb30fc30bf30ef30fc


| 投稿者 きりう 21:37 | コメント(1)| トラックバック(1)

閉鎖病棟 / 帚木蓬生

まいったなあ。
昼休みに読み終えたのだが、物語の終盤で見事に泣かされて。
午後イチの打合せ前にこの涙をどうにかせねば、と洗面所に走ることになってしまった。

舞台は、まだ戦後のイメージをひきずっている頃の精神科病棟。
ココロの病気については、今よりもずっと偏見が強かったと想像される昭和の時代だ。
自分自身の子供の頃を思い起こせばそれは明らか。
「精神病院=キチガイの入るところ」みたいな、ね。
あの当時は、知恵遅れも躁鬱もてんかんも、あんまり区別せずに(できずに)いたものだし。
そういう前提で読み進めると、描かれる登場人物の「ヒトとしての普通さ」と、当時の一般的な精神病患者のイメージとの間には、とても大きなギャップがあったのだな、と感じたわけである。

中盤まではそういう調子で、大きく盛り上がる場面もない描写が続く。
退屈とまではいわないまでも、このお話のラストは一体どこに向かっていくのだろう?と、読み始めの頃の期待感が若干萎えかけていたところ・・・
後半の殺人事件を経て、なるほどこう来たか!
あちこちの書評で絶賛されているらしいが、それも大いに頷ける感じの展開でラストへ。
涙涙涙。すごい。感動。

また一冊、人生というものを考えさせられる作品に出会ったと思う。
これ、読み終わったからって安易にブックオフに売っちゃいけないだろうな、たぶん。

閉鎖病棟 / 帚木蓬生 (新潮文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/128807/



| 投稿者 きりう 18:51 | コメント(0)| トラックバック(0)

Business Law Journal

先月創刊された本誌。
なかなか面白そうだな、と思って、4月号を自腹で購入した。
1,680円は月刊誌としてはちょいと高いが、中身は充実している。

これまでの法律雑誌は法令の解釈や法改正の情報など、「法律っぽい話」で溢れていた。
企業法務担当者にとってはそれはそれで大事な情報源だが、実務としては、
事業部門にコンプライアンス意識やリーガルマインドをいかに醸成するか、
経営トップの意思決定にリーガルがどう絡むべきか、
といったようなこと(否、場合によってはそういったことの方)大事だったりする。
この雑誌は、そういう観点が既存のものにない充実ぶりで、思わず嬉しくなってしまった。

で、会社で定期購読しようよ、と軽く動いてみたのだが、来年度予算は経費が厳しく制限されているのか、
担当者に完全にシカトされている。(--)
ふん、自腹で買うよ、ということで5月号(創刊2号)を一昨日購入したところ。
うーん、今月号もなかなか充実している。年間定期購読頼んじゃおうかな。

今日はマジメにお仕事系の本の話題でした。
マニアックな話ですみませんねえ。(^^;

Business Law Journal (レクシスネクシス株式会社)
http://www.businesslaw.jp/


| 投稿者 きりう 23:03 | コメント(0)| トラックバック(0)

わが子を有名中学に入れる法 / 清水克彦

最終学歴こそ私学だが、高校までは地元の公立コースを驀進してきたきりうである。
中学受験のことなどロクに知らない。
しかし、会社の同僚たちが自らのご子息ご令嬢の受験にあたって献身的な対応をしているのを見るにつけ、やはりそれだけの良いことが何かあるのかな、と思い、こんな本を読んでみた。

ちなみに、相方は中学受験を経験し、短大までエスカレータ式に進学した人である。
当然、息子の受験も視野に入っているだろう。
母親としての相方と話し合うためにも、勉強しておいて損はない。

で、読んでみて、であるが・・・
中学受験そのものへの賛否は別にして、なるほど、本書の考え方には一理あるとは思ったのである。

早めの準備が必要なこと。
父親の参画が重要なこと。
何より、日々の家族コミュニケーションが大事であること。

こうしてみると、中学受験がより良い家族関係への再構築のきっかけになる可能性さえあるかもね。
あ、それは副次効果か。

さて、我が家では・・・ちょっと考えてみる気にはなったよ。
来月からは小3になる息子、彼の人生はいかに。

わが子を有名中学に入れる法 / 清水克彦 (PHP新書)
http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?select=4-569-65431-2


| 投稿者 きりう 20:28 | コメント(0)| トラックバック(0)

不機嫌な職場 / 高橋克徳・河合太介・永田稔・渡部幹

サブタイトルは、「なぜ社員同士で協力できないのか」。
たぶん、成果主義のことがまた悪く書かれているんだろうなあ・・・と思いつつ手に取った。
案の定、そういう内容の記述がある。やはりそうきたか。

今の職場はそうでもないけれど、前職の職場はかなり思い当たるフシがある。
きりう自身がマネジャーとして改善/改革の先頭に立つべきだったが、何となく流してしまった。
異動が決まったとき、「これで開放される」という少しばかりの安堵と、「結局何も出来なかった」という悔やまれる思いがないまぜになったのが今更ながら思い出される。

本当に、人のマネジメントは難しい。

幸いにして、ここ数年、会社全体がより良くなっていこう、という機運にあふれていると感じる。
この流れに乗って、きりうの預かるチームもより良くしていきたいところである。
そのうえでも、大変参考になる一冊であった。

サブタイトルを見ただけで内容が気になっちゃうひと、特に管理職には、オススメの一冊である。

不機嫌な職場 / 高橋克徳・河合太介・永田稔・渡部幹 (講談社現代新書)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2879263


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

「残業ゼロ」の仕事力 / 吉越浩一郎

著者はトリンプ元社長。
本当に残業ゼロにしたうえで増収増益を達成し続けたらしい。
でも、どうやって??

本書を読み解いていくと、なるほど、できそうな気もしてきた。
効果がありそうなものは、真似してみようかな。TTP推奨らしいし。
このTTPとは、「徹底的にパクる」の略で、会社にとって良いと思ったことはどんどん取り入れようという思想とのこと。
こういう略語がお好きなのか、「義理・人情・浪花節」をGNNと呼び、日本の会社における従来の価値観を表現している。ふむ、なかなかうまいね。
ちなみに、著者のイニシャルはKYで、
「空気読めなくて大いに結構、空気なんか読む必要なし、必要なのはロジカルシンキングと少しのGNN。」
とバッサリ。(笑)

しかし、本書の方法論を全面的に信じて良いかどうかは別問題だろう。
この手のものは「負の部分」について触れられないのが通常だからね。

でも、いろいろな示唆に富んだ内容ではあった。
明日から、きりうのマネジメントが変わる・・・かも。

「残業ゼロ」の仕事力 / 吉越浩一郎 (JMAM出版)
http://www.jmam.co.jp/pub/booklist/48207_17133.html


| 投稿者 きりう 22:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い / 山田真哉

いやあ、まいった。そういうことか。
上巻の書評で、失礼にも「内容が薄い」なんて書いたが、きりうの方が浅はかだったよ。(^^;

本書のあとがきで明らかにされるところだが、上巻は「数字を使いこなす」こと、下巻は「数字に騙されない」ことを言っている。
「数字のセンス」の真髄は、このように複数の視点を持つことにあるのだね。
いやあ、上下セットで読むと、「さおだけ屋」のときに受けた感銘に近いレベルの読後感。
やっぱり大したもんだわ。

数字・・・うまく使いたいな。。。

「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字(下) / 山田真哉(光文社新書)http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334034375


| 投稿者 きりう 22:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

情報探索術 / 関口和一

仕事が忙しくてなかなか本が読めない・・・
そんなわけで、今月に入って初めて、ジャンル「本」への記事。
「多読」がウリのきりうとしては、記録的なスローペースである。やれやれ。

*************

で、本書。
出版は2006年12月らしいので、もう1年以上前である。
なのに、なぜこの本がそんな希少な読書タイムの友になったのか?

答えはカンタン。著者の講演を聴いたからである。
講演テーマは昨今のITトレンドだったのだが、Web2.0時代の情報探索のテクニック紹介はなかなか面白かった。

そして、読んでみると、やはり、講演よりもっと細かいことが書いてある。期待通り。(^^)

なるほどねえ、と感じ入る箇所が多数あった。
1年前の本だけに、最新情報を踏まえられていないが、さすがにそれは仕方ないやね。
おかげで、いろいろと仕事に活かせそうなアイデアがまた湧いてきたよ。(^^)v

・・・って、結局、働きすぎなのは自分のせいだったりして。f(^^;

情報探索術 / 関口和一 (日経文庫)
http://www.nikkeibook.com/detail.php?class_code=11121


| 投稿者 きりう 23:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

進化する企業のしくみ / 鈴木 貴博、宇治 則孝

Web2.0といえば、梅田望夫氏の「ウェブ進化論」だが、本書はそのビジネス版という感じ。
企業視点で書かれ、また豊富な事例とその解説が面白い。
さくさく読めて、「なるほどね」で読了。

うーむ、世界は変わるね。
いや、というか、今の世界が変質するのではなく、もうひとつの世界が出現するんだっけ。
いずれにせよ、「あちら側」についての理解が深まったのは確かである。

***********

きりうが仕事上扱っている「法律」は、世の動きよりワンテンポ、ツーテンポ遅れて整備される傾向がある。
本書に書かれている「変化」は、現在の各種法令が予定しているものとは全く異次元のものだ。
法律家はこういうリスクがあるものには慎重になる傾向があるが、リスクはチャンスでもあり・・・( ̄ー ̄)ニヤリ

マジメな話、ヒントをもらった。
戦略法務的にどう取り組むか思案するビジネスマンきりうがここにいるのである。(笑)


進化する企業のしくみ / 鈴木 貴博、宇治 則孝 (PHPビジネス新書)
http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-69467-2


| 投稿者 きりう 20:14 | コメント(0)| トラックバック(0)

弁護士の就職と転職 / 西田章

明日こそ東京は雪らしい。(わかったもんじゃないが。笑)

さて、本書。

仕事柄、弁護士のセンセイとはそれなりにお付き合いがある。
が、それはあくまでもクライアントの立場からのもの。
弁護士という職業を選んだヒトのキャリア上の選択肢や評価について、普段のお付き合いでは知り得ないことが書かれている。
決して一般受けする本ではないことだけは確かだが、企業法務担当者としては、興味深く読ませていただいた。

きりうの職場にはインハウスロイヤー(企業内弁護士)はいないけれど、どうなんだろうねぇ、
としばし考えてみたり。。。う~ん、刺激的。

そうか、そういえば「イソ弁」はいつの間にか死語になっていたのね。
確かに、今は皆「アソシエイト」だもんね。
何だか急に自分が古い人間に思えてきたよ。(^^;

弁護士の就職と転職 / 西田章 (商事法務)
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1496.html



| 投稿者 きりう 23:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

松田聖子と中森明菜 / 中川右介

80年代はアイドルの時代だったと思う。
ニューミュージックと呼ばれたジャンルも聴いた。洋楽も間違いなく好きだった。
けれど、なんだかんだ言ってランキングは、「ザ・ベストテン」が基本だったと思う。
あの頃特有の「好き」が、アイドルなのかな。(^^;;;

本書、タイトルこそ「松田聖子と中森明菜」だが、内容の軸は聖子にある。
松田聖子をより明確に浮かび上がらせるために、中森明菜も語られているという感じ。
明菜ファンには不満だろうが、著者が述べたいのは聖子のようだから、仕方がないよね。

さて、本書によれば、松田聖子は山口百恵のアンチテーゼとして成功したのだという。
そして、中森明菜は松田聖子のアンチテーゼとして登場したのだそうだ。
こういう論考は、今だから「なるほど」と思えることで、当時は ♪私は私よ関係ないわ だったろう。
また、(松田聖子の歌の多くを作詞している)松本隆の作品世界が、晩婚化・少子化の原因だとかいうような、いささか無理があると思える議論もところにより展開されている。

でも、概ね客観的な事実を中心にした記述であり、それ自体はなかなか良い。
読んでいて、ああそうだったそうだった、と思い出す。青春へのタイムトリップ。(笑)
この二人の名前に、ピピッと反応する世代は読んでみるといい。面白いよ、たぶん。

そういえば、聖子のLP「ユートピア」、実家のドコかにしまってあったような・・・

松田聖子と中森明菜 / 中川右介 (幻冬社新書)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=300338


| 投稿者 きりう 22:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

思考の整理学 / 外山滋比古

"もっと若い時に読んでいれば…" というPOPのもと、書店で平積みになっていた本書。
なんとなく購入してみた。まるで導かれるように。

それが、読んでみたら「へええ」と思うような記述のオンパレード。
偶然とはいえ、こりゃ良い買い物をしたと思った。
税込み546円とお値段もリーズナブル。

実は、ちょっと古い本なのである。
最初に(おそらくはハードカバーで)出版されたのが1983年。
この文庫の初版も、1986年となっている。

だが、中身は決して陳腐化していない。
むしろ、インターネットという怪物が出現した今世紀の方がより活きる「知」ではないか。
少なくとも、きりうの場合は "もっと若いときに読んでいれば…"とは、思わなかった。
「もっと若いとき」の自分には、本書の価値をきちんと捉える自信がないもの。(^^;
その意味で、今、出会えて良かったと思うのである。

さて、本書の教えに従って、思考の自然な整理のため、今日は早く寝て「忘却」に努めるかな。(笑)

思考の整理学 / 外山滋比古 (ちくま文庫)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480020475/



| 投稿者 きりう 21:48 | コメント(0)| トラックバック(0)

チーム・バチスタの栄光 / 海堂尊

新年最初の読書は、第4回「このミス」大賞受賞作の文庫版。
たいへん売れているらしいが、それも頷ける。文句なしに面白い。

医療ミステリーというと何だか難しそうだが、描写が平明でわかりやすいところがいいね。
それでいて、素人にもリアリティがあると感じさせるのだから大したものである。
難しいことをわかりやすく書くことほど難しいことはない、とは自分の仕事でよく思うこと。
著者は現役医師らしいが、医師ならば書けるという文章ではないと思う。見習いたいものだ。

また、解説にも書かれていたが、現代医療の問題点を内包している点も興味深い。
きりうが手術を受けたのは大学病院ではないけれど、似たような問題があるのかな。
ちょっと考えてしまった。


***********

さて本作品、来月にも映画が公開される。
主役の一人を竹内結子が演じるそうだ。役名は田口公子
原作では、田口公平という男性医師なのだが・・・どんな味付けになっているのか。
その他のキャストも、白鳥圭輔役の阿部寛をはじめ、なかなかの顔ぶれ。
公開が待ち遠しいところである。

チーム・バチスタの栄光 [上] (宝島社文庫)
http://tkj.jp/book/book_70616101.html

チーム・バチスタの栄光 [下] (宝島社文庫)
http://tkj.jp/book/book_70616301.html



| 投稿者 きりう 21:47 | コメント(0)| トラックバック(0)

誰か Somebody / 宮部みゆき

今月発売の新刊文庫だ、と思って手に取ったのだが、読み始めて気がついた。
これは以前、図書館でハードカバーを借りて読んだっけ。(^^;;;

・・・ということで、ちょっと損をした気分を持ちつつの再読とあいなった。

でも、「現代最高のストーリーテラー」といわれる著者の文章はやはり魅力的。
ははぁなるほど、前回読んだときは気づかなかったが、こんなところに伏線がねえ・・・などと考えながらページを繰っていたら、あっという間に読み終えた。
楽しい時間はいつも短いのだ。(^^;

本書の主人公である杉村三郎は、「名もなき毒」にも登場するという。
文庫化を待って、そっちも読んでみよう。

誰か Somebody / 宮部みゆき (文春文庫)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/54/90/9784167549060.shtml


| 投稿者 きりう 18:54 | コメント(0)| トラックバック(0)

ウェブ時代をゆく / 梅田望夫

前著「ウェブ進化論」を読んだのは、きりうがDoblogを始める前。
Web2.0とかロングテールとか、面白いこと言っている本だなあと思っていたら、あれよあれよという間に大ベストセラーとなり、著者はすっかり旬の人になった。

本書は、ウェブやネットの啓発本だった前著からまた一歩、論を進めている。
テーマは、Web2.0時代の働き方、学び方、生き方。
なるほどと思いつつも、ちょっと自分にはできそうにないなあというコトが書いてある。

ああ、そういう意味では、きりうもすっかりオジサンだという証拠ですな。
もうちょい若ければ興奮しながら読んだかもしれないけれど。(笑)

とはいえ、まだウン十年の人生と付き合う上で、こういう視点を与えてくれる本はうれしい存在だ。
しっかり学ばせてもらったのです。うむ、良書。

ウェブ時代をゆく ─ いかに働き、いかに学ぶか / 梅田望夫 (ちくま新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480063878/


| 投稿者 きりう 22:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

リピート / 乾くるみ

以前読んだ「イニシエーション・ラブ」で、メチャクチャ驚かされた乾くるみ。
さて、今度はどんなトリックを・・・という期待をもって購入した。

で、本書は今の記憶を持ったまま過去の自分に戻れるという話。
どこにどういう伏線があるのか、と注意深く読み進めたが、う~ん、予想もつかない。
これはまた最後で騙されるのか?と思ったが、結果として、それはなかった。

ある意味、本書の方がミステリとしては健全な構成だろう。
衝撃度は正直いってイニシエーション・ラブには及ばないけれど、全体としてみれば、なかなか面白い。

この著者は、「時間」という題材の使い方がうまいね。
他にも文庫化されたものがあれば探して読んでみようっと。

リピート / 乾くるみ (文春文庫)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/73/20/9784167732028.shtml


| 投稿者 きりう 23:44 | コメント(0)| トラックバック(0)

サーブ&ボレーはなぜ消えたのか / 武田薫

書店の棚から「買ってくれ」と呼んでいたようだ。(笑)
現役サーブ&ボレーヤーのきりうは迷わずの購入である。

内容としては、テニスの歴史を解説しながら、その時代背景とのつながりを論じていくもの。
テニス雑誌などで読みかじっていた断片的な知識が、著者の史観によって大きなストーリーに収斂していく。なかなか勉強になった。

本書によれば、フェデラーという現チャンピオンは、テニスプレイヤーの究極の姿であり、歴史の到達点としては必然ということのようだ。 う~ん、確かにそうかも。

ひるがえって、いまだにサーブ&ボレー、チップ&チャージにこだわるきりう自身は、感覚的で才能・素質頼みの不安定なプレイスタイルであり、バブル経済の盛り上がりとともにピークがあった、今や前時代の遺物としか言いようのない存在ということになる。 ふふん、悔しいがそれも当たりだ。(笑)

副題は、「テニスに見る時代の欲望」。言い得て妙である。
ちょっとマニアックなテーマの本ながら、かな~り感心したのでありました。
これは相方にも読ませてみるかな。

サーブ&ボレーはなぜ消えたのか / 武田薫 (ベースボールマガジン社新書)
http://bookcart.sportsclick.jp/bbmshop01/7.1/BBM110010/



| 投稿者 きりう 23:54 | コメント(0)| トラックバック(0)

毒になる親 / スーザン・フォワード

手元に読む本がないや、と口走ったら、相方が差し出してくれた本。
よほど感銘を受けたのか、普段本をあまり読まない人が珍しい。
…と思ったら、「親を恨みたくなるかもよ」などという恐ろしい感想を添えてくれた。(--;

読み始めると、なるほど、その言葉の意味が少しわかってきた。
子供時代を思い出しながら、わが両親の「毒性」についてしばし考える。
う~ん、さほどひどくはないが、確かに少し毒があったかも・・・?

ということで、ものすごく共感したり感動したりしたわけではないが、お勉強にはなった。
少なくとも、今やきりう自身が父親であるという点で、こういうことを知っておくのは有益だろう。
それに、ちょっと反省しなければいけないところが確かにありそうだし。

息子の健全な成長のため、「毒になる親」にならぬよう気をつけねば。

毒になる親 / スーザン・フォワード 著 玉置 悟 訳 (毎日新聞社)
http://books.mainichi.co.jp/2007/08/post_436d.html


| 投稿者 きりう 21:28 | コメント(0)| トラックバック(0)

アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂幸太郎

この本は書店で見つけて手に取ったのではない。
先日記事にしたとおり、この作品を原作とする映画を見たのだが、きりうの関心をひいたのは、その経緯からして映画の方が当然に先なのである(詳しくはリンク先をご参照)。
しかし、手近な劇場で上映しているわけでなく、すぐには観にいけそうもなかったので、原作を読むのが先になった。映画と違って本は簡単に手に入るからね。

で、感想。

伊坂幸太郎という作家さん、本作が初チャレンジだったのだが、面白かった
一緒に本屋を襲わないか 」 というおよそ現実離れした紹介文からして、
もっとコミカルな内容を連想していたのだが、(もちろんそういう要素がないわけで
はないものの、)ミステリとしての面白さがちゃんとメインになっている。
またまた良さそうな作家さん発見、という感じかな。

ネット上の他の書評などを見ると、他作品とも世界観を共有させるタイプの作家さん
らしいので、ぜひ他にも手を出してみようという気になったのだが。

ああ、読みたいものはどんどん増えているのに、読む時間が足りないよ。。。

アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂幸太郎 (東京創元文庫)
http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3644


| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

カラフル / 森絵都

DuetさんのBlogで見て、何だか面白そう・・・と興味をそそられて買った本。

そして、ほんとに面白かった。
本屋で見かけただけではたぶん買わなかったろうから、これはネットがもたらした利益である。
著者の森絵都さんは直木賞作家なのだが、名前を知っているくらいであまり印象がなかったんだよね。でも本書を読ませていただいて、もう脳内にしっかりインプットされました。
これをきっかけに、もう何冊か読んでみようと思う次第。

なお、ミステリ的な謎解きの楽しみは(あちこちの書評で指摘されているとおり)全くといってよいほど、ない。
ちょっと読み進めれば、「ああ、そういうこと。」って、すぐわかってしまうので。
それでも面白いというのがこの本のいいところ、というDuetさんの紹介が、まさに的を射た評価なのですな。

ちなみに、(これまた全然印象にないのだけれど)本作品は映画にもなっているのだね。
そちらの方もネット上ではまずまずの評判のよう。機会があれば見てみようっと。

カラフル / 森絵都 (文春文庫)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/74/10/9784167741013.shtml


| 投稿者 きりう 23:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

社外取締役 / 牛島信

企業法務担当者として、自分自身がビジネス法務を少しかじっているからだと思うが、
弁護士である著者の物語はいつも楽しく読ませていただいている。
本書も、そういう楽しみをもたらしてくれるという期待のもとに購入した。

でも・・・そう毎度毎度素晴らしい作品ばかりにはならないのも仕方のないことだろう。
それくらい、本書はちょっと「物足りない感」が残った。

大学教授がふとしたきっかけで上場会社の社外取締役になり、その後に企業不祥事が発生。
そこから、もともと学者だった彼の運命が大きく変わっていく・・・というと面白そうなのだが、
実際には、この主人公の大学教授が今ひとつ魅力的でなく、感情移入がしにくいのである。
例によって、法律を舞台装置として効果的に使ってはいるのだが、それだけではどうもねえ。

最後まですいすい読めたが、全般に盛り上がりに欠け、あれれ?と思う間に話が終わる感じ。
まあ、通勤中の息抜きなので、変にドラマティックな話より仕事に入りやすくて良かったのかもしれんが。

社外取締役 / 牛島信 (幻冬社文庫)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=201500


| 投稿者 きりう 20:15 | コメント(0)| トラックバック(0)

議論のルールブック / 岩田宗之

コンプライアンス機能のあり方を検討し始めて、もう足かけ3年の仕事になるのだが、
どうも検討がうまく進まないのである。
会議のたびに同じような話がぐるぐると繰り返され、すっきり結論に向かっていかない。
そんな、煮詰まり気味の現状を打破できないものか、と思って手に取ったのが本書である。

とはいえ、さすがに新書一冊で劇的に状況を改善させるパワーまではあるわけがない …と、若干甘くみていたのだが、実は、いやいやどうして、「!!」 という発見がいくつもある、なかなかのお値打ち本だとわかった。

特に気に入ったのはこの部分である。ちょっと引用。

議論の目的は何かという観点で分類すると、次のようになります。

誰が 何をするか
・討論 観客が 意見を聞く・結論を決める
・議決 発言者が 結論を決める
・対話 発言者が 意見を聞く


そうなんだよ。我々の「議論」は、ここがはっきりしないからいかんのだよ。
事務局は「議決」を目指しているのに、参加者は終始「対話」モード。
結論に向かっていくわけがないのである。ここ大事だね。

もしかすると、今の悩みが解決に向かってちょっと前進するかもしれない、そんなヒントをもらった本である。
「議論」について頭の整理をするのにすごく良かったです。


議論のルールブック / 岩田宗之 (新潮新書)
http://www.shinchosha.co.jp/book/610236/



| 投稿者 きりう 22:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

イニシエーション・ラブ / 乾 くるみ

いやぁ、まいった。まんまとやられた。

読後感は、「想像以上の衝撃」に尽きる。
最後の最後で、「アレッ?」と思い、ちょっと考えて・・・「あーっ!そういうことか!!」と。
そのあとは・・・鳥肌がざわわわわ
この感覚を味わうのは、宮部みゆきの「火車」以来である。

本書は帯の惹句に、「必ず二回読みたくなる」という単行本刊行時の読売新聞の書評が引用されている。
きりうは、これを見て購入したのだが、正直なところ、まさか自分は二度読むことはあるまい、と思っていた。
だが、現にいま、再読し始めている。確かに、これは読まずにはいられない。
詳しくはネタバレになるので書かないが、最後の衝撃を味わってから読むと、全然違う物語になるのだ。
これはすごいな。久々に興奮。

ちなみに、最後の最後で衝撃を受ける前までのパートは、何てことのない恋愛小説である。
それでも、80年代後半に青春時代を過ごした我々の世代にとっては、懐かしさいっぱい。
そっちの意味でも楽しい作品である。

もう、二重丸◎あげちゃう。

イニシエーション・ラブ / 乾 くるみ (文春文庫)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/73/20/9784167732011.shtml


| 投稿者 きりう 23:25 | コメント(0)| トラックバック(0)

なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか / 菊澤研宗

タイトルに惹かれて購入。
こういうものに惹かれちゃうのは、かなり問題だなあという気がするけど、実際、ちょっと困っちゃってるんでね。
(あ、理不尽なのはきりうの直属上司ではありませんよ、念のため。)

で、読んでみて驚いた。
よくある自己啓発本かと思っていたのだが、良い意味で期待を裏切られた。
これ、組織経済学の本じゃん。

本書では、ダメな組織、ダメな上司の行動を、「エージェンシー理論」、「取引コスト理論」、「所有権理論」の3つで解説している。
そういえば、「取引コスト理論」は、先日読んだ「スタバではグランデを買え!」でも出てきた。
タイミングがいいというか何というか、理解が深まるね。(^^)

印象的だったのは「おわりに」の部分。
こんなことを言っている。

 とくに、この本でみなさんに伝えたかった重要なメッセージとは、ダメな組織にも、ダメな上司にも、実はその背後に合理性があるということです。一見、馬鹿げた組織現象や組織行動に見えても、実はその背後に合理性があるということです。
 <中略>
 何よりも、まず相手の本当の正体を知る必要があるのです。相手の行動の合理性を徹底的に理解することこそが、その相手と取り組むための知恵を生み出すうえで、大事な一歩になるのです。
 <後略>

相手の行動の合理性を理解すること。
今抱いている悩みを解消するのは、ここが出発点になるのかな、と思えた文章である。
ちょっとそういう視点で行動を観察してみますかね。

いやあ、タイムリーな本でした。

なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか / 菊澤研宗 (扶桑社新書)
http://www.fusosha.co.jp/book/2007/05467.php


| 投稿者 きりう 23:34 | コメント(1)| トラックバック(0)

蒼い瞳とニュアージュ 完全版 / 松岡圭祐

ややや。

「千里眼」シリーズをはじめとする著者の作品群は今まで小学館から出ていた。
でも、最近書店に並んでいるのは角川文庫ではないか!
これは何かあったか?などと思いつつ、未読の作品である本書を購入。

岬美由紀、嵯峨敏也に続く第三のヒロイン、一ノ瀬恵梨香の物語。
千里眼シリーズをかなりスケールダウンした感じの筋立てである。
もちろん、エンターテイメント性に富んだ著者の文章は、いつもながらに楽しめたが。

そうそう、表紙の深田恭子主演でドラマ化されるのだそうだ。
うん、そう考えればテレビドラマ向きのストーリーかもしれない。
うちはWOWOWと契約していない(する予定もない)ので検証する術はないのだけれど。

さて、このレビューを書くにあたり、著者のWebサイトを見た。
小学館文庫から角川文庫に鞍替えした理由めいたものがわかるかもしれない。
すると案の定、あった。
どうやら、技術進歩等を勘案しつつ、設定と人物像にリアリティを加味したリライトということのよう。

うーん、商売上手め。(^^;


蒼い瞳とニュアージュ 完全版 / 松岡圭祐 (角川文庫)
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200706000016


| 投稿者 きりう 22:43 | コメント(0)| トラックバック(0)

米原万里の「愛の法則」 / 米原万里

ロシア語の同時通訳者で、エッセイストでもある著者の講演録集である。
奥付によると、2006年5月没。
恥ずかしながら、亡くなったのを存じ上げなかった。
自分自身、仕事がものすごく忙しい時期だったせいだと思うけど。

標題の「愛の法則」は、生物学的な根拠はともかく、何となく納得させられる。
「男はサンプルだ!」
う~ん、確かにそうかもしれん。

その他、国際化とグローバリゼーションの違いの説明には思わず膝を打ったし、
通訳経験から得られたコミュニケーションをめぐるエピソードはどれもみな面白い。
おかげで、一気に読み終えてしまった。
本でこれだもの、この講演が行われた会場はさぞやわいたに違いない。

これは、若者にぜひ読んでもらいたいな。

米原万里の「愛の法則」 / 米原万里 (集英社新書)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0406-f/index.html


| 投稿者 きりう 23:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

スタバではグランデを買え! / 吉本佳生

著者は、別にスターバックスコーヒーの回し者ではない(と思う)。

立派な経済の本である。
しかも、身の回りの話からの展開が多いから、とても親しみやすい。
題材が親しみやすいから、中身もわかりやすいし面白い。
好循環である。

そういう感じでどんどん読み進めた。
気づいたら、値段(価格)の意味をよ~く考えさせられていた、という具合。
営業とか、経営戦略とか、いろんな分野に応用が効きそう。
これはなかなか侮れません。

ちなみに、スタバでグランデを買うのはお店とお客のWin-Win関係なのだそうである。ほほう、でしょ?(^^)

どのくらい仕事に応用できるか、もう一度、そういう視点で読み直してみよっと。

スタバではグランデを買え! / 吉本佳生 (ダイヤモンド社)
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=4-478-00229-2


| 投稿者 きりう 22:36 | コメント(0)| トラックバック(0)

嗚咽 / 2ちゃんねる新書編集部

文庫版・ローマ人の物語「終わりの始まり」(29-31巻)を読み終えてちょっと疲れていたせいか、ライトな読み物が欲しいなあ、と思って買ってしまった2ちゃんねる新書である。

個々のエピソードは、確かに「泣ける」ものが多い。
何でもいいから泣きたい、という向きにはなかなかいいだろう。
しかし、匿名掲示板であるがゆえ、それらのエピソードが真実であるという保証はなく、無条件に泣いてしまっていいものか、ひねくれ者のきりうはちょっと躊躇した。

それと、所詮は掲示板の書き込みを編集したものなので、本になってしまうとトータルとしての価値は何ほどのものでもなく、ちょっと失敗だったかなあ・・・と。^^;


ネットに載っているところを目撃したのであれば、また違った感想をもつとは思う。
特に、書籍化の過程で削除されたであろう、ノイズともいうべき無関係な書き込みを含めて見た場合には、本当に「良スレ」だと感じられるかもしれない。

これは。。。ネットで見ればよかったなあ。

ところで、ふと思い出したのだが、電車男とエルメスは本当に実在するのか?なんて、話題になったこともあった。
結局、ネット空間に完全に身を委ねていないと(=スレの住人になるくらいでないと)、感情移入は難しいんじゃないかと思う。
(ちなみに、電車男は「まとめサイト」を読みました。本は読んでません。)

ネットとの付き合い方は、まだまだ難しい。

嗚咽 2ちゃんねるの泣ける話 / 2ちゃんねる新書編集部 (ぶんか社)
http://www.auto-g.jp/bk/070901_2ch/01/index.html


| 投稿者 きりう 22:27 | コメント(0)| トラックバック(0)

ぼく、オタリーマン。2 / よしたに

[関連したBlog]

春先に買って面白いと思い、作者のサイト(ダンシングカンパニヰ)にリンクまで張ってしまったマンガの第2弾。
これだけ早く第2弾が出たということは、やはり相当なヒットだったんだね。

前作と違い、書下ろしが多いということで、個人サイトに掲載されているものはあらかた眺めてしまった身としては嬉しい限りである。

でも、こんなに書いてて、本業のSEもやってて、作者の身体は大丈夫なのか?
・・・と思ってたら、アサヒ・コムの記事にご本人のこんなコメントが。

「『マンガ書く時間があるくらいだから、もっと仕事が増えても大丈夫だよね』とか、『ネタのためにもう少し苦しまないとね』と言われる。身の危険を感じています」

あはは。
健康に気をつけてがんばってください。

ぼく、オタリーマン。2 / よしたに (中経出版)
http://www.chukei.co.jp/cgi-bin/books/detail.rb?o_id=2822


| 投稿者 きりう 23:13 | コメント(0)| トラックバック(0)

ローマ人の物語 (文庫) / 塩野七生

この「ローマ人の物語」は文庫の1巻から持っている。今、取組中なのは第30巻だ。
五賢帝の最後の時代、哲人皇帝マルクス・アウレリウスの治世を描いたもの。
まだ読了していないのだが、目次によればその子コモドゥスまでがこの巻の守備範囲らしい。

この作品の感想は、最終巻を読み終わってから書こうと思っていた(…って、いつになるんだか。^^;)のだが、今日この記事を起こしたのは、印象的なフレーズがあったので、ぜひ書き留めておこうと思ったからである。

ブリリアントな人間に耐えられないのは、平凡な人間に上に立たれることなのだ。


ああ、何て言い得て妙なんだ。
この作品には、本当に何度も感心させられる。
きりうの昨今の身辺状況を説明するのに、これ以上ないフレーズではないか!

だから、この作品を途中で投げ出せないんだよねえ。
物語の終焉まで、もうしばらくは楽しませてもらおう。

ローマ人の物語 30 ―終わりの始まり〔中〕― /塩野七生 (新潮文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/118180/


| 投稿者 きりう 22:45 | コメント(0)| トラックバック(0)

いつまでもデブと思うなよ / 岡田斗司夫

[関連したBlog]

先々月に「世界制服は可能か?」という新書を読んで面白いと思ったところだが、
同じ著者が今度はダイエット本を書いた。
帯の写真もインパクトがあるが、本の中に掲載されているビフォーアフターの写真もすごい。全くの別人である。
このところ体重が停滞気味のきりうとしては、打開策のヒントになるかと思って購入。

レコーディング・ダイエット」と名づけられたその手法は、とにかく記録すること。
食べたものの内容、その時刻、カロリー。
ステップを踏んで、リバウンドしない「高み」に誘導していく。面白い。

ところで、食べ物のカロリーってあまり意識してなかったけれど、本書にインスパイアされ、
普段よく食べる外食メニューの数値をざっと調べてみたんだが、あまりの高さに驚いたよ。
こりゃあ体重が落ちないワケだ。

・・・ということで、実践するかどうか、ちょっと思案中である。

思えば、こづかい帳をつけていたときには、金の出入りにシビアだった。あれと同じ要領なんだよね。
確かに実行できそうな気がするけど、Blogの記事が食べ物ばかりになりそうな予感

さて、どうすんべ。^^;


いつまでもデブと思うなよ / 岡田斗司夫 (新潮新書)
http://www.shinchosha.co.jp/book/610227/


| 投稿者 きりう 22:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

鈍感力 / 渡辺淳一

初版から半年以上経っているのに、まだ売れているこの本。
さして興味がなかったが、ここまで売れていると読まないのもどうかと思い始め・・・
今頃になって購入したと。(笑)

何でもかんでも鋭利で敏感が良いわけではない。
ある種の「ニブさ」も必要である、という論旨には概ね賛同する。

ただ、「鈍感力」の効用だけを強調している感があるのが、ちょっとどうだか。
とにかくニブいのは良いことだ、みたいで。
自分自身は、「何事もバランスが肝要なのだ」ということを改めて思ったのだが、そこまで著者が考えて、やや極端な論調にしたのだとしたら、それはそれで見事と言う他ないけれどね。

あ、「結婚生活を維持するために」の章だけは、「なるほど」と思いました。
もっとおおらかにならなければ。(苦笑)

鈍感力 / 渡辺淳一 (集英社)
http://www.shueisha.co.jp/donkanryoku/


| 投稿者 きりう 19:40 | コメント(0)| トラックバック(0)

フラット革命 / 佐々木俊尚

なるほど、ネット社会の本質ってこういうことなのかもしれない。
本当に感心した。

誰が言ったかではなく、何を言ったかが重視される世界。
人間関係の相対性理論。
公共性とはなにか。


むむむ、と、思わず膝を打つセンテンスが満載である。
これまでとは違う世界が現出しつつあるのは確かだ、という漠然としたイメージは、梅田望夫氏の「ウェブ進化論」を読んで既に持ち得ていたのだが。
この本を読んだことで、その輪郭がはっきりしてきた気がする。

ネットで何かを世に伝えたいという思いのある人間なら、読んでおいて損はない本ではないだろうか。

なお、きりうは、よく似た書名のベストセラーの方は読んでませんので。念のため。

フラット革命 / 佐々木俊尚 (講談社)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2136597

| 投稿者 きりう 22:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

コミック・ガンボ

数週間前のことである。
朝の通勤電車で手持ちの本を読み終わってしまった。
ほどなく乗り換え、というタイミングだったが、会社の最寄駅まではまだ10分以上の乗車時間がある。
何となく手持ち無沙汰。

・・・と、乗り換え駅で何やら配っている。
何だと思ったら、おお、マンガ雑誌ではないか。
すかさずゲット。これで会社までは安泰。(笑)

さて、このコミック・ガンボ、無料で配布しているが、ちゃんと商売として成り立っているのか?
他のフリーペーパーのように、広告で成り立っているのか? それとも別の収入源があるのか?
あるいは、コストを抑制するのに特別な仕掛けがあるのだろうか?
無名作家ばかりかと思えば、そうではないし。(「ゲームセンターあらし」が、「サラリーマントレーダーあらし」として帰ってきた!しかも、すがやみつるがちゃんと書いているってのがすごい。)

そんなことが気になりつつも、次の火曜日が待ち遠しいのであった。ははは。




| 投稿者 きりう 23:49 | コメント(0)| トラックバック(0)

東京DOLL / 石田衣良

石田衣良も、好きな作家の一人である。
この人の話は、何といっても気軽に読めるのが良い。
ヘンに頭を使わずにページを繰るだけで内容が頭に入ってくる。
疲れてリフレッシュしたいときにちょうどいい。

この本も、「いかにも石田衣良」という感じで期待を裏切らない。
ちょっぴりリッチ、ちょっぴりエッチ、ちょっぴりアーバンで、ちょっぴりハードボイルド。
総合エンターテイメントですな。
基本的には、代表作「池袋ウエストゲートパーク(IWGP)」シリーズも含めて、全部同じテイストということである。

したがって、「で、何が言いたいんだ?」などと深く考えてはいけない。
ひたすら楽しむ。読み終わって、あー楽しかった、で良い。
それがこの作家のイイトコなのだから。

東京DOLL / 石田衣良 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2758431

| 投稿者 きりう 23:19 | コメント(0)| トラックバック(0)

となりのクレーマー 「苦情を言う人」との交渉術 / 関根眞一

社会人として生活する以上、クレームめいたものの処理と無縁でいられる幸せな人はそう多くはないと思う。
現在の業務において、少々対応が難しい方とお話をしなければならない場面が確実に想定されるため、その参考になればと思って手に取った。

著者は、西武百貨店で苦情処理に対応してきた人物。
世の中には本当にヘンな人がいるものだなあ、と改めて感心するエピソードが満載である。
そういう意味では面白い本であった。

しかし、肝心の「交渉術」については参考になる話は少なく、さほど感銘を受けず。 うーん。。。

きりうは、いくら交渉術に長けた人が書いたものでも、もうこの手のものはよく読んでいるせいもあって、たいていは「こんなもんか」で片付けてしまう。
頭でっかちになり過ぎているのかもしれない。
もはや頭で理解するのではなくて、どう実践するかという段階になっているのだろう。
「わかる」と「できる」の間に横たわる大きな溝を飛び越えられるかどうかなのだろうな。

「クレーム処理の実態を描いたルポ」だと思えば、かなりいい本です。

となりのクレーマー 「苦情を言う人」との交渉術 / 関根眞一 (中公新書ラクレ)
http://www.chuko.co.jp/new/2007/05/150244.html

| 投稿者 きりう 23:38 | コメント(0)| トラックバック(0)

「まずい!!」学 組織はこうしてウソをつく / 樋口 晴彦

先日、間違えて前作を買ってしまったのだが、結果として出版順に読めてよかったかもしれない。
本書では、新しい事例をもとに、なぜ不祥事は起き、どうすればよかったかについて論じられている。

特に、「理念教育の難しさ」、「率先垂範という説明」などは、現在直面している実際の仕事上の悩みに通ずるところあり、解決策の糸口になりそうなものありで大いに参考になった。
また、数々の事例の中には、現在抱えている案件において、かなり直接的に参考にできそうなものがいくつもあって、「これだ!」とまさに膝を打つ思いであった。

ビジネスマンの皆さん、いい本ですよ、これは。

「まずい!!」学 組織はこうしてウソをつく / 樋口 晴彦 (祥伝社新書)
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=9784396110796

| 投稿者 きりう 23:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

組織行動の「まずい!!」学 / 樋口晴彦

とある法律系Blogに、この”「まずい!!」学”というキーワードを冠した本がなかなかよい、という書評があったので、ふらりと立ち寄った書店で購入したのだが、後で確認してみると、その書評は、”「まずい!!」学 組織はこうしてウソをつく”という、同一著者による、よく似たタイトルの新刊のことであった。(^^;

でも、この本もなかなかいいところを突いている。
ミスや不祥事は、とかく犯人探しに明け暮れ、生贄をみつけたところで”責任”をとって幕引きというパターンが多いが、個人に明確な帰責事由がある重大事故や不祥事というのは実際には少なく、むしろそれは「組織」という特有の要因によって発生したり、増幅されたりするものだろうと思う。
本書は、世間的に有名な近年の企業不祥事等を例に出し、それらが「組織」において発生したメカニズムをかなりの程度まで明らかにしている。
新書レベルでは、それだけでも大したものだが、なんといっても、わかりやすいのがいい。

間違えて買ってしまった本だが、仕事上の参考として、十分な示唆をもらうことができ、結果としては、なかなか満足できた。

ということで、もともとのねらいだった方の本も、近々、読んでみようと思う。
・・・それにしても、ドジですね。(^^;;;

組織行動の「まずい!!」学 / 樋口晴彦 (祥伝社新書)
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4396110448

| 投稿者 きりう 23:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

ハゲタカⅡ / 真山仁

前作「ハゲタカ」が大変面白く、続編も絶対に読もうと決意した記事はこちら。

人間ドックの前日、待ち時間の読書用に購入しようと、閉店間際の書店(会社から一番近い本屋)に駆け込んだが、残念ながらそこには上巻しか置いてなかった。
この上巻、ドックからの帰りの電車で読み終わってしまい、とても中途半端。^^;
続きを読みたいなあ、とあちこちの書店を覗くのだが、前作「ハゲタカ」は平積みになっているのに、
この「ハゲタカⅡ」は品切れ店だらけであった。もしや大人気???

ようやく下巻を手に入れたのは、それから3日後の日曜(7/29)。
そのおかげで、今週の通勤電車は鷲津ワールドにどっぷり浸れる時間となった。

で、内容はというと、前作から1年後という設定である。
2004年~2006年というと、本当につい最近じゃん。

鈴紡(モデルはカネボウと思われる)、月華(モデルは花王と思われる)、シャイン(モデルはキヤノンと思われる)など、ここ数年の実話を彷彿とさせる前半のストーリー展開は相変わらず面白く、期待に違わぬ出来である。
しかし、物語後半、よりスケールが大きくなり、世界規模の話になるにつれ、鷲津の動きがスーパーマン過ぎて、ちょっと現実離れしてきた感じがする。
前作も含め、それまでが適度なリアリティを持った小説だけに、こういう展開は人によっては気に入らないのではないかな、と思う。
特に、ラストは、ちょっと都合よくまとめすぎた感が否めないかな。

幸いにして、きりうはこういう登場人物大活躍系のストーリーも嫌いではないからいいのだけれどね。
本書末尾の to be continued ... で、おお、また続編があるのか!(^^)
と、ちょっとうれしい気分。

単純だなあ。次もきっと買っちゃうんだろうなぁ。。。


ハゲタカⅡ(上) / 真山仁 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2756870

ハゲタカⅡ(下) / 真山仁 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2756897

| 投稿者 きりう 23:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

生物と無生物のあいだ / 福岡伸一

あちこちのBlogで評判の高い本書、7/22(日)の朝日新聞の書評にも載り、これはいよいよ読まなくては、と思って手にした一冊。
先週の人間ドックでの検査待ちの時間を利用して読了。

きりうは高校時代、「生物」の時間が退屈で眠くて、そのくせテストばっかり難しくて、本当に大嫌いだったのだが、
いやー、この本は非常に面白い。多くの皆さんが賞賛するのも頷ける。
何よりも、文章がうまいんだな。生物学者にしておくのは勿体ない。(笑)


さて、生きているとはどういうことか。

あまり考えたことがなかったが、これは難問なのですね。
自己複製するシステムという定義をいったん与えた上で本書の考察がスタートするのだが、どうやらこの定義は確かな答えではないらしい。
生物には時間があり、生物は機械ではない、ということなのだが・・・さて。
(気になる方は読んでみてください。)

この本は、専門的な意味合いからは食い足りないのかもしれない。
だが、分子生物学に無知・無関心な層に対し、基礎的な知識を理解させるに十分な説明力を保持しながら、
より一層の興味を抱かせるに十分な魅力を併せ持っている、と思う。

新書で感動したのは久しぶりである。


生物と無生物のあいだ / 福岡伸一 (講談社現代新書)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1498916


| 投稿者 きりう 23:28 | コメント(0)| トラックバック(0)

ハゲタカ / 真山仁

NHKドラマが面白い、という評判が職場で語られていたのだが、何となく見損ねた。

そういえば、テレビの連続ドラマを見るという習慣がなくなってどれくらい経つだろう。
独身の頃は、平日夜のドラマをビデオに撮りだめして土日ずっと眺めてたりしたもんだが。

とにかく、そんな感じで頭の中に面白そうなイメージは残っていた。
で、例によって本屋をウロウロしているときに発見。
そういえば・・ってな感じで上下巻をまとめて購入した。

読み始めてみると、これが確かに面白い
「バブル」から「失われた十年」を経て21世紀にたどり着くまで、現実の経済界の動きをかなり忠実に再現しながら、ドラマティックな人間模様としてのストーリーに仕立てている。
うまいな。

企業買収、企業再生、外資ファンド、ハゲタカ。
「何となくわかっていた」ものの、「よくはわからなかった」これらの言葉をわかりやすく記述している。
そういう意味で勉強にもなる本だった。

これは続編のハゲタカⅡ(バイアウト)も読まなくては。

きっかけとなったNHKドラマも来月に再放送されるようだ。
こいつも録画予約だな。(←単純。笑)


ハゲタカ(上) / 真山仁 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2753529

ハゲタカ(下) / 真山仁 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2753537

| 投稿者 きりう 21:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

くちぶえ番長 / 重松清

惹句の「 文庫でしか読めない! 重松清最新作。 」だけで買いである。
重松清氏は、きりうの大好きな作家のひとりなのだ。

いやあ、少年少女の話が本当にうまい作家さんだと思う。
本書も、先ほどの帰りの通勤電車の中で涙腺が、やばかった。(^^;
いいもの読ませてもらった、というのが率直な感想。

もともと本書は主人公と同じ小学四年生に向けて書かれた作品だったらしい、というのは、帰宅後にネットであちこちの書評を見て知った。
どうりで読みやすい、やさしい書き方になっているわけだ、と改めて納得した。
さすがに、小2の息子にはまだ早いかな、と思うが、1、2年後にはぜひ読ませたいものである。

おすすめです。

くちぶえ番長 / 重松清 (新潮文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/134920/


| 投稿者 きりう 22:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

「世界征服」は可能か? / 岡田斗司夫

以前、この著者の本で、オタクのことが書いてあるものを読んだことがある。
残念ながら書名は忘れたが、なかなか面白いことをいう人だなあという印象が残っていた。
それが、このインパクトある(?)書名とともに目に入ってきたのは先週末のことである。早速、興味本位で購入。

子供の頃、夢中になって見ていたマンガ、アニメ、TVドラマには、世界征服(もしくは地球侵略)を目論む「悪の存在」が不可欠だった。しかし、彼らが真の目的は何だったのかなんて、考えてみたこともない。
子供だったから、あるいは所詮フィクションと言ってしまえばそれまでだが、そういわれてみれば確かに、どうしてショッカーは世界征服をしたかったのだろうね???

これ、最初はおちゃらけた分析本だと思っていたのだが、そんな問題提起などを読み進めるうちにどんどん印象が変わっっていった。
いやいやなかなかどうして、かなり理に適ったことが書いてあるのだ。
ぶっちゃけ、面白いってやつ?(^^;


以下、読んで思ったこと。

・ 世界征服はかなりの重労働であり、相当な心理的プレッシャーを伴う。
・ 征服のプロセスもさることながら、征服後の統治はもっと大変である。
・ そして、結局のところ、征服後、統治者は「世界の良き主人」でなければならない。
 (そうでなければ、他の統治者にとってかわられるか、または世界が滅ぶ。)

従って、統治が上手にできる人物や組織ならば、案外、世界征服されてみるのもいいかもしれん。
だって、たぶん、世の中が平和になるもの。(笑)
紛争が起きたときの解決責任は、世界征服を成し遂げた統治者にあるわけで。
統治者の力が強大であるほど、紛争は起きにくくなるし、起きても迅速な解決が望める。
世界征服を成し遂げたほどの人物・組織なら適任である。


悪くないじゃん、と思いません?
いや、危険な思想だというのは承知のうえですよ、もちろん。(^^;

「世界征服」は可能か? / 岡田斗司夫 (ちくまプリマー新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480687623/

| 投稿者 きりう 21:46 | コメント(0)| トラックバック(0)

地下鉄(メトロ)に乗って / 浅田次郎

レーシック手術後、初めての文庫本。
老眼鏡なしには、とてもじゃないが読めない。(笑)

このタイトル、映画の方を先に知っていて、何度かDVDを借りようかとも思ったのだが、ちょうどレンタル中だったり、結果的に別の作品を借りたりしているうちに何となく見そびれていた。
そうしているうちに、この文庫本をブックオフで見つけ、原作を先に読了することになった。

「地下鉄の出口を出たら昭和30年代だった」という映画の宣伝イメージだけが頭に残っていたので、高度成長時代のタイムトリップものだという認識があったのだが、いやいやどうして、時代をもっと遡る話であった。
しかも、現代(昭和50年代)と行ったり来たり。

若い頃の父親の生き様、兄の死の真相、愛する者との別れ・・・
きちんとつながっていて、感動の筋書きになっている。
さすが浅田次郎、という感じ。

きりう自身も、両親のこと、家族のこと、いろいろと考えてしまった。

今度こそ、DVDも観てみよう。

地下鉄(メトロ)に乗って / 浅田次郎 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2645971

| 投稿者 きりう 17:37 | コメント(0)| トラックバック(0)

スプートニクの恋人 / 村上春樹

レーシック手術前に読んだ最後の文庫本。

「ノルウェイの森」が大ベストセラーになり、社会現象化していた頃、ちょうど大学生活のさなかにあって時間だけはたっぷりと保有していたきりうは、その当時、村上春樹氏の著作を片っ端から読んだものである。
今思えば、中毒だったのではないかと。(笑)

その頃に抱いた思いというか、何ともいえない懐かしさを感じる、この独特の文体である。
まさに、村上春樹ワールド

で、この本のお話は・・・

小説家志望の女友達。小学校教師の「僕」は、彼女にあきらめきれない恋をしている。
恋など眼中になかった彼女は、ある日年上の女性と出会い、その女性に恋をした。
女性の方は、過去にあった事件がきっかけで、その求愛を受け入れられない。
彼女は年上の女性とともに異国へ。
その異国の地で、彼女が忽然と姿を消した。
「僕」は、彼女を探しに異国の地に向かう。

・・と、なんてことのないストーリーなのだが、著者の伝えたいメッセージは難解である。
いや、難解というか、きりうには正直言ってよくわからない。(笑)

よくわからないけれど、いい。
それが村上春樹の魅力でもあるのだときりうは思っているのだが。

しかし、いくらなんでもこの作品、わからなさ度合いが際立っている。(^^;
よそでも、「難解さは村上作品の中でも一、二を争う」という書評があるから、こう感じるのはきりうだけではないはず。
少なくとも、再読するなり、この後に発表された作品を読んで改めて解釈し直したりしないと、きっとメッセージめいたものは読み取れないのだろうな。

そういえば「海辺のカフカ」はまだ読んでないから、手を出してみようか。

ということで、この本の評価は保留。

スプートニクの恋人 / 村上春樹 (講談社文庫)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2731290

| 投稿者 きりう 22:39 | コメント(0)| トラックバック(0)

逆転 リベンジ / 牛島信

弁護士で、作家でもある著者の短編集。
10年ほど前の著者のデビュー作「株主総会」には衝撃を受けたものだが、本書に収められている物語は、基本的にその作品世界を共有している。
「株主総会」の後日談のような話もあり、牛島弁護士ファンとしてはうれしい。

この10年を振り返ると、企業法務の流れはずいぶん変わった。
本書の「文庫版あとがき」で著者自身が書いているように、確かに、
TOBも社外取締役も、そして第三者割当増資も、見慣れた景色になっている。

そして、これからも変わり続けるのだろう。
自ら身を置く環境の変化には敏感でありたいものだ、と思う。

我が社も3月決算。今月は株主総会である。

逆転 リベンジ / 牛島信 (幻冬社文庫)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=201258

| 投稿者 きりう 21:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

裁判狂時代 / 阿曽山大噴火

大川興業所属の芸人さん、阿蘇山大噴火氏の著作。
それにしてもスゴイ芸名だな。(^^;

大川興業総裁(笑)から新人へ、オウム裁判を傍聴せよとの指令があり、それをきっかけに裁判傍聴を始めたのたのだそうだ。こういう人もいるんですね。

裁判所への入り方、刑事裁判の流れ、傍聴時の注意事項などが最初に分かりやすく書いてある。
傍聴の入門書として使えそう。

もちろん、メインは面白い裁判の話。
たくさん聴いている中からの選りすぐりなのだろう、へぇって思うようなことばかり。
しかも、ライトな文体なので、読みやすいです。

それにしても、最近読んでるの同じような本ばっかだな。(←自分)

裁判狂時代 喜劇の法廷★傍聴記 / 阿曽山大噴火 (河出文庫)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309408330

| 投稿者 きりう 23:33 | コメント(0)| トラックバック(0)

裁判長! これで執行猶予は甘くないすか / 北尾トロ

以前同僚に借りた『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫)が面白かったので、本書も。(^^)

本書で一番印象深いのは、痴漢えん罪被害者救済ネットワーク代表の男が携帯盗撮で捕まった事件の傍聴の際、映画監督の周防正行氏と一緒になったこと。
このとき著者は周防監督と直接言葉を交わさなかったようだが、監督がバッグから著者の本(おそらく、前述の『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』だろう)を取り出し、連れの男性に「そういえば、こんな本を読んでいる」と話しているところに遭遇したそうな。

周防監督は、この後、映画「それでもボクはやっていない(公式サイト)を撮ったのだそうだ。なるほど。
(ちなみに、この映画、日本の裁判制度の問題点が凝縮されている素晴らしい作品だと思う。)

そして、笑ったのが、映画に出てくる興味本位の傍聴マニアは、脚本では「北尾」という役名になっているという事実を、後日、周防監督が著者に話した、ということ。

とほほほ。・・・だそうである。(^^)

なかなか面白いので、ご興味のある方はぜひ。

裁判長! これで執行猶予は甘くないすか / 北尾トロ (文藝春秋)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/67/56/9784163675602.shtml


| 投稿者 きりう 20:55 | コメント(0)| トラックバック(0)

美女と野球 / リリー・フランキー

あははは。
エロ面白い本である。

昨日、通勤電車で読み始めたのだが、これは間違った選択であった。
ふきだすのを堪えるため、ニヤニヤしてしまうのだ。
どうにも怪しい挙動であることが明らかである。
そんなわけで途中で読むのをやめ、自宅で読むことにした。(^^;

*****

で、さっき読了。
いやあ、ホント面白かった
下ネタ満載だが下ネタでなくとも笑える。
「コントの国の人」 とか、もう素敵すぎ。

きっと、"軽い言葉"に対するセンスがいいんだな。
あやかりたいものである。(^^;;;

美女と野球 / リリー・フランキー (河出文庫)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/4309407625

| 投稿者 きりう 16:34 | コメント(0)| トラックバック(0)

そのときは彼によろしく / 市川拓司

先週、書店を通りかかったら、長澤まさみの映像が流れていた。
フラフラと吸い寄せられると(笑)、映画「そのときは彼によろしく」の予告編。
その脇に、この文庫がどっさりと積んであった。

これも何かの縁ですか。(^^)

著者の作品を読むのは初めてである。
映画「いま、会いにゆきます」はDVDで見て、なかなか感動したのだが、著者の手になるこちらの原作も読んでいない。
読みたい本がいっぱいあって、なかなか手が回らないんである。(^^;)
(ついでに言うと、「いまあい」の共演がきっかけとなったご夫婦の現状がなんとも・・・)

さて、お話の方の感想であるが、シンプルに、よかったっす。
心あったくなるというか。

「いまあい」もそうだけど、現実にはあり得ないような展開。
でも、そういう夢のようなお話だから描ける世界が、ここにはある。
後に行くほど、夢中でページを繰るようになり、ちょっとずつ読むつもりだったのが、最後の1/3くらいは一気に読了してしまった。

『かくのごとき夢あれかし』
すべての人がそこでつながっている。

うーん、いいな。

映画も見に行こっと。(^^)

そのときは彼によろしく / 市川拓司 (小学館文庫)
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_detail?isbn=9784094081602


| 投稿者 きりう 22:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

偽装請負-格差社会の労働現場 / 朝日新聞特別報道チーム

偽装請負という言葉は、昨年の夏に朝日新聞の紙上で集中的なキャンペーンがなされ、それが世間一般に認知されるきっかけになったと理解している。

本書は、そのときの報道では伝わりきらなかった、現場労働者の厳しさがよく伝わってくる内容だ。
率直な感想として、製造業の偽装請負はここまでやっているのか、という感じである。

コンプライアンスを担当するのが仕事であるきりうは、自社におけるこの問題の対策を検討する社内ワーキンググループを主導する立場にある。
そのため、日々いろいろと考えをめぐらせているのだが、この問題、相当に根深い。

企業としては、売上の変動にあわせてコストの調節ができれば、業績、とりわけ利益を上げるには誠に好都合である。
その自在に調整したいコストの中で、正社員の人件費は固定費として大きな割合を占める。
このため、この部分をできるだけ柔軟にしたいと考えるわけだが、労働法が許す方法は非常に限定的である。
さて、何とか「改善」する方法はないだろうか、と考えることになる。
そして、「労働法の枠組みの外でやろう」と思い至ったとき、偽装請負となる。

個々の事情はいろいろあれど、単純化するとこういう図式である。

ところが、これで終わらない。
偽装請負がダメだとなったら、偽装出向という手法までひねり出す。
ある意味、たくましいとも言える。

経済活動に関連する法律が、軒並みアメリカ的資本主義社会をモデルにした法体系に移行しつつある一方で、労働法の世界は、いわゆる日本型経営(年功序列・終身雇用)がまだまだ幅を利かせている。
これでは、アメリカ型社会の特徴である雇用の流動化は図られまい。
偽装請負のような奇策を使わない限り、固定的な人件費は減らないだろう。
そしてまた、雇用の流動化が図られなければ、完全なアメリカ型資本主義モデルには移行できない。

かくして、企業は内部で矛盾を抱えることになる。

どうすんだ? (どうにもならない。)

では、労働法を変えさえすれば雇用の流動化は図られるのか?

そのような温かみのない仕組みは日本人には馴染みがないだろうから、それだけで急激な変化がもたらされることも、これまた考えにくいような気がする。
むしろ、現行法の枠組みの中で、緩やかに雇用流動化が図られ、それを前提とした法体系への移行の方がスムーズであるという考え方の方が納得性があるかもしれない。

じゃ、待つか? (今、悲惨な目にあっている請負労働者たちを踏み台にして、か?)


あー、何だかやんなっちゃう。( ̄~ ̄;)??


偽装請負-格差社会の労働現場 / 朝日新聞特別報道チーム (朝日新書)
http://opendoors.asahi.com/data/detail/8113.shtml

| 投稿者 きりう 21:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

しゃにむにGO / 羅川真里茂 【その3】

とりあえず最新刊の25巻まで読了した。
26巻は6月発売の模様。
相方が買うかどうかもわからんのに、なぜか今から楽しみ。(^^)

あ、そうそう、この漫画を読んでいて思い出したドラマがある。
きりうが高校生のときにTBSで放送していた「青が散る」だ。

こちらは高校ではなく、新設大学のテニス部が舞台なのだが、何となく似ているところがあるのである。

 「きっかけ」が女の子であること。
 主人公のプレイスタイルが「拾い屋」であること。
 ジュニアの天才プレイヤーがチームメイトになること。
 元プレイヤーの女の子が足を怪我してプレイヤーを断念し、マネージャーになること。
 弱小と思われたテニス部がだんだん強くなっていくこと。
 主人公の片思い、強力なライバルの存在。

こうやって書いてみると、似すぎ? (^^;
まさか、パクリでは。いや、まさかそんなハズは。 (^^;;;

それはさておき、ちなみに原作「青が散る」(宮本輝)は、超オススメである。
きりうはドラマをきっかけにして読んだが、ドラマ以上に大変感動したのを覚えている。
もう20年以上前のことだが、原作を読んでからドラマ見たら、たぶん相当がっかりしただろう、と思ったくらいである。
テニスやる人は必読の名著

折りしも、最近になって文庫が上下巻2分冊で再発売になった模様。

きりうも、再読してみようかな。

んんー、本題からズレた話がえらく長くなってしまった。
元に戻す。(^^;

19巻くらいまでの「しゃにむに」は、面白いけれども、きりう的には「青が散る」を超えるには至っていない。
が、20~25巻になって微妙な変化が出てきていると思う。
もしかすると、宮本輝の文章を、羅川真里茂のネームが超えるかもしれない、と思わせるのだ。

26巻以降が、本当に楽しみである。



| 投稿者 きりう 23:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

しゃにむにGO / 羅川真里茂 【その2】

19巻まで読了。・・ということで、とりあえずここまでの感想を。

この漫画、安易なスポーツ少年ものにとかくありがちな、魔球や必殺技が出てこない。
一方で、キャラの個性に合わせた得意技はきっちり描いている。
この点、大変よろしい。(^^)

試合描写がうまい。実際にプレイしている感覚とかなり近い。
作者ご自身はテニスをされないようなのでどうしても限界を感じる部分もあるにはあるが、
へっぽこプレイヤーのきりうの目から見る限り、十分に許容範囲である。

恋愛模様が美しい
いや、「美しい」という表現はおかしいか。
要は、リアルな青春はもっとドロドロしてるはずだっ!イマドキの高校生がこんなにピュアなもんか!ということ。
でも、こういうのが現実だったらいいかもね、というのはわからんではない。
(この辺が少女漫画のテイストということなのかな・・それとも単に作風なのか。よく知らないけど。)

ちょっと不満なのは、楽屋落ちが多くないか?というところである。
でも、全体からみれば些細なことだから許す。(←なぜかエラそう)

・・・というわけで、ここまで読み進めたところでも、相変わらずきりうの評価はとても高い。
残り6冊、そしてさらにその先も、まだ楽しみである。(^^)



| 投稿者 きりう 23:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

しゃにむにGO / 羅川真里茂 【その1】

恥ずかしながら、久々にハマった。
花とゆめコミックス「しゃにむにGO」。

先日、宅配BOXにやけに重い荷物が届いていたのだが、中身はこれだったらしい。
相方が調達したこのマンガ、既に25巻まで出ているとか。

なかなか面白いテニスマンガだという評判は、以前から聞いていた。
でも、本作は少女マンガということで、なかなか手を出せずにいたのだが・・・

相方、ナイス!! p(^^)q

今、7巻の途中まで来たのだが、面白い面白い。

テニスシーンが程よくリアルで(そのぶんテニス未経験者には地味に見えるかもしれない)、高校の部活動としての描写が、青春の思い出を喚起させてくれて、これまたイイ
* きりうは、高校時代テニス部であった。ただし、軟式だけど。(^^;

ちょっと今夜は寝れないかも。
明日会社なのに。やばーい。(^^;

・・・ということで、詳しい感想はもっと読んでから。

しゃにむにGO / 羅川真里茂 (白泉社


| 投稿者 きりう 19:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

日本軍のインテリジェンス / 小谷賢

本書は、日本軍の情報活動全般について紹介、分析、論考したものである。

きりうは、太平洋戦争で日本軍が敗れた一因は、情報を扱う能力がアメリカよりも大きく劣っていたことにあったという理解をしていた。
だが、本書を読み、その認識は改めることになった。
どちらかというと、情報を収集・分析する能力(インテリジェンス)は当時の世界水準からみてそれなりだったようなのである。

例えば、陸軍は当時世界最高レベルの防諜を誇ったソ連との情報戦でそれなりの成果を挙げようだし、米英に対しては最高度の暗号解読に成功していたこと等によって緒戦の戦果を挙げたのだそうだ。
ただし、海軍についての評価は低く、暗号は米英に解読され放題、艦隊戦における戦果調査もいい加減で、昭和天皇に「サラトガが沈んだのは4度目ではないか」と言わしめたエピソードなどが紹介されている。

では、日本軍は、情報の点で何がまずかったのか。
それは、まずやりたいこと(作戦)ありきで、都合の良い生情報のみを取捨選択して情勢判断を行ったことにあるということらしい。
すなわち、戦略(作戦)重視・情報軽視である。

ところが、この教訓、果たして現代の日本に生きているのだろうか。
国の機関もそうだが、民間企業などでも、この戦略重視・情報軽視の風潮は少なからずあるような??

そんなわけで、自分的には経営トップに読ませたい感じである。
ま、きりうがここで推奨したからって、経営者が本書を読む動機付けにはならないだろうけど。(^^;

日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか / 小谷賢 (講談社)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2583860

| 投稿者 きりう 20:22 | コメント(0)| トラックバック(0)

新聞社 / 河内孝

著者は毎日新聞の元常務。
ここに書かれた新聞社の内情には、「呆れました」というのが、きりうの率直な読後感。

特に、冒頭から語られる、配達手数料、販売経費等の異常なコスト構造には驚いた。
まともな料金を払うのがちょっと馬鹿馬鹿しくなってくる。

それと、この記述。

大手紙の社長で、正確な実売部数をご存じの方はいないのでしょうか。(本書P.57より)

把握しているのは、販売店に持ち込まれた部数だけらしい。
販売店に残った分は、押し紙というんだそうだが、これも含めた数ってわけ。

情報開示と説明責任が求められる現代で、しかも、さまざまな企業の経営数値を日々報じている報道機関が、この有様。
一体どんな業界なんだ、と二度びっくりである。

それでも著者は、業界にはまだ明日があると信じ、毎日・中日・産経の連合による業界再編案を展開している。
読売、朝日の二強への対抗軸となるべき第3勢力を形成し、業界の問題を解決しようというのだ。

業界再編という発想は、なかなか面白いと思った。
だが、これで業界のさまざまな問題が解決するというのはちょっと話がうますぎるかな、というのと、案自体が、ちょっと著者の古巣(毎日新聞)寄り過ぎるかなあという感じ。

それとねえ。。。いまやネットで大抵の情報がとれるから、やっぱり業界自体、今後はつらいよねえ。

きりう自身の事情でいえば、我が家が新聞を購読している理由って、実は、折込広告による近所のスーパーの値引き情報が目当てだったりするわけで。
(んでもって、そんな購読理由だから、当然、朝刊しかとっていないわけで。^^;)

サブタイトル「破綻したビジネスモデル」とはよくいったものだ、と妙に感心。
(↑たぶん、著者や編集者の意図した食いつき方が違うだろうけど。)

新聞社 破綻したビジネスモデル / 河内孝(新潮新書)
http://www.shinchosha.co.jp/book/610205/


| 投稿者 きりう 21:39 | コメント(0)| トラックバック(0)

明日はわが身 / 高杉良

高杉良の著作は割と好きで、「本屋に寄ったのに特にめぼしいものがないとき、とりあえず手に取る」という作家の一人である。
今回もちょっとそれに近い買い方だったかな。

サラリーマンは、いつも危機にさらされている!
製薬業界を舞台に組織の冷酷さを描く経済小説の金字塔。
作家・高杉良の原点。


・・・ということで、著者のデビュー2作目の本書は、最近になって新潮文庫から出版された模様。
ちなみに以前は別題で集英社文庫、徳間文庫から出された由。

内容としては、自らの新聞記者時代における入院体験がベースになっているという。
なにぶん、書かれた時期がもう30年も前なので、少々古臭い設定・描写である。
だが、そのことで本質的なリアリティを損なうものではなく、当時はそうだったんだろうなぁと思って読み進める。

特に、病院での入院生活に関する記述は、きりう自身の昨年の経験からしても、なかなかにリアルであり、ついつい思い出してしまった。
(入院は二度と勘弁して欲しいが。^^;)

で、主人公が一旦は厳しい状況に追い込まれながらも、物語の最後には明るい希望が感じられる内容で締めくくられる、というお約束のパターン。
まあ、こういう安心して読める展開になるのがわかってるから好きなんだけど。(笑)

そんなわけで、本書もなかなかであった。
ただ、1970年代を「遠い昔」としか感じられない世代には、もしかしたらあまり理解できないかもしれない。
該当する若者さんがいらっしゃいましたら、その辺を割り引いて評価願いたく。

明日はわが身 / 高杉良 (新潮社文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/130324/


| 投稿者 きりう 23:13 | コメント(0)| トラックバック(0)

行きずりの街 / 志水辰夫

91年の「このミス」第一位。
最近、文庫版が急に売れ出したんだとか。 通称シミタツ
・・・というのは、朝日新聞の書評で知った。
なぜ突然売れ出したのかはともかく、話題の本ならばと思って手に取った。
文庫ならお手軽価格だし。(ちなみに税込み580円)

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。
退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。
そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。
十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。


確かに面白い。
が・・・これをきっかけに、シミタツを次々と読みたい、という気にはならなかった。
何というか、火曜サスペンス劇場(古っ!)みたいでね。

いや、2時間ドラマは嫌いではない(なかった、というべきか)のだが、たまに見るからよいのであって、毎日見たいとは思わない、そんな感覚。

他の作品は、忘れた頃に読んでみようかな

行きずりの街 / 志水辰夫 (新潮社文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/134511/



| 投稿者 きりう 22:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

食い逃げされてもバイトは雇うな / 山田真哉

ベストセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者による第2弾。
この本もなかなか売れているようだ。

きりうは、大学は法学部を卒業し、会社に入っても法務担当。
なので、法律方面にはそれなりに知識がある(と思う、たぶん。^^;)が、会計等はどちらかというと苦手意識が強い。
(余談だが、法律を学んだ人は会計が苦手というパターンは本当に多いらしい。)
そのせいか、前著「さおだけ屋・・・」を読んだときには、発想の転換などもあってものすごく感心した覚えがある。
本書は、その勢いもあって買ってしまったという感じ。

そうそう、この山田真哉氏、コンプライアンスを題材にしたビジネス寓話「ウサギはなぜ嘘を許せないのか?」(アスコム)の日本版監修もやっており、同書のあとがきでさすがというべき、わかりやすい文章を書いていた。
そのことも本書に対する期待値を高めていた要因のひとつかもしれない。

ところが。
相変わらずのわかりやすい文章は大変良いのだが、この本、ちょっと内容が薄いのではないか?(^^;
"1時間で読める本にするつもりで書きました" ということなので、その意味では仕方がないかもしれないが・・・。
(確かに、集中すれば1時間そこそこで読めると思う。)

なお、本書のサブタイトルは「禁じられた数字(上)」である。
ということは、つまり下巻の予定があるということ。
下巻と併せて読んでみないと、本書の本当の価値はわからないということかもしれない。
だとすれば、「さすが商売上手」と褒めるべきところか。

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字(上) / 山田真哉 (光文社新書)
http://www.kobunsha.com/book/detail/03400.html



| 投稿者 きりう 23:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

裁判官の爆笑お言葉集 / 長嶺超輝

「狂った裁判官」と一緒に購入した幻冬舎の新書。
著者は司法試験七回不合格のライターさん。

書名にある「爆笑」を誘うような「お言葉」はほとんどなく、せいぜいニヤリとさせられる程度。
むしろ、裁判官の人間性が滲み出てくるかのような発言や、よくぞ言ってくれたと快哉を叫びたくなるようなセンテンスなどを拾い上げていることの方が、この本の良さを表していると思う。

裁判員制度の導入が近い。
世間では制度導入の良し悪し自体もまだ議論があるところだが、司法と国民との距離はこれまで遠すぎたときりうは思う。

犯罪や紛争とはなるべく縁遠くありたいが、関心まで失ってしまってよいはずがないだろう。
今後も、こういう側面からの司法に関する情報がどんどん出てきて、距離が縮まるのは喜ばしいことだ。

本書は編集の都合か、読むべきボリュームも少ない(普通の本の半分程度だろう)構成なので、あっという間に読める。
こういう方面に苦手意識のある方にもオススメである。

裁判官の爆笑お言葉集 / 長嶺超輝 (幻冬舎新書)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=300321


【追記】
・・・と書いた後、舞風さんとこで不穏な記事を発見。
どんな話なのか、yahooに見に行ったら、ありゃあ、これはイカンね。
裁判員になってもいいよって奇特な人がますます減りそう。むむむ。

| 投稿者 きりう 23:05 | コメント(0)| トラックバック(0)

憲法九条を世界遺産に / 太田光・中沢新一

今日は、憲法記念日
集中読書の最後の獲物は、今日という日にちなみ、「憲法九条を世界遺産に」である。

この書名を最初に聞いたとき、「憲法九条」と「世界遺産」をつなげるなんて、さすがお笑い芸人はいいセンスをしていると思ったものであるが、今回、中身を読んでみると、想像以上に真面目な話をしているのに、正直、まず軽く驚いた。
対話集であって、全く体系的ではない(と思わざるを得ない)構成なのだが、議論をすることが民主主義の出発点、政治に全く無関心な人々に比べれば余程良い
また、太田光は実によく勉強している、とも思った。

きりうとしては、憲法は国家という強大な権力をコントロールする装置であるから、矛盾を抱えた現在の日本国憲法、特に9条を現在のままにしておいてよいとは考えない。
やはり、矛盾を直視し、法治国家における本物の規範として、国際社会を生き抜くのに相応しい機能を持ち得るものに変化させることが必要なのではないかと思う。この点で、本書を貫く基本的な主張の方向性とは相容れない。

だが、この本のすごいところは、よくありがちな、こういう9条を改正すべきか否かというような議論をしているのではなくて、この憲法が稀有な「珍品」だからこそ残すべき、だからこそ「世界遺産」にして保護しよう、という、戦争や戦力保持の是非論ではないアプローチから思想を語っているところである。
なるほど、現実的かどうかは別にして、面白い

憲法改正は、国民的な議論をきちんとしてからなすべきことなので、こういう本(→「この本」にあらず)が多くの人々に読まれ、話題となって、いろんな観点からちゃんと物事を考えられる日本人が増えるとイイな、と思った次第である。

きりうも、エラソーなこと言ってないで、もっと勉強しなきゃ、ね。(ー`´ー)



憲法九条を世界遺産に / 太田光・中沢新一 (集英社新書)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0353-c/index.html

| 投稿者 きりう 22:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

キミがこの本を買ったワケ / 指南役

[関連したBlog]

オビに、"ホイチョイプロダクションズのブレーンが問う業界騒然の書!!" とある。
また、ホイチョイかい・・・と思いながら手に取るきりう。

中をパラパラ。
"クラスで一番人気がある女の子は、4番目に可愛い女の子。"
"新田恵利と岬太郎"


・・・やられた。そのままレジへ。(^^;

読了した『「エンタメ」の夜明け』に続いて、早速読み始める。
前口上として、こんなフレーズ。
"本書は、未だ解明されない「買う理由」を、世界で初めて解き明かした本である。"

そりゃ、すごい。
それが本当なら、この本は既存のマーケティング理論に革命をもたらすに違いない。
まさかそのようなスゴい新理論が、こんなお手軽価格(ちなみに税込1,365円である)で・・・んなわきゃねーわな。

案の定、あとがきには、こんな記述。
"この本が、その答えを導き出したとは到底思わないけど、少なくとも「買う理由」について、既存の学問とは違う何か、新たに研究する価値のある何かという認識を持っていただければ、これ以上の喜びはありません。"

ああ、やっぱり。(^^;

でも、小難しい理論よりも、読みやすくて楽しめるという点で一般受けするんだろうなと思う。
実際、面白かったし
さすが、ホイチョイのブレーンを名乗るだけのことはある。

しかし、「指南役」ってのが著者名だとは。(^^;;;
きりうは書名の一部かと思っていたぞヨ。

キミがこの本を買ったワケ / 指南役 (扶桑社)
http://www.fusosha.co.jp/book/2007/05325.php

| 投稿者 きりう 18:36 | コメント(0)| トラックバック(0)

「エンタメ」の夜明け / 馬場康夫

[関連したBlog]

ゴールデンウィーク後半戦開始の今日は、家でダラダラと。(^^;
もともと読書好きのきりうは、こういうときはずーっと本を読んでいる。
今日だけで3冊くらいは読破できそうだが、ちょっと休憩して、Blogの更新。

映画「バブルへGo!」を見て、「気まぐれコンセプトクロニクル」を買った話は前に書いたが、さらにその延長で、本書に手を出した。
ホイチョイにやられっぱなし
である。

本書のサブタイトルは、「ディズニーランドが日本に来た!」 。
新婚時代を浦安で過ごし、その縁で本籍地が浦安になっているきりうとしては題材としても興味津々

冒頭、三菱vs三井のディズニーランド招致合戦の裏話からスタート。
オリエンタルランドが浦安沖の埋立を行政になり代わって請け負い、その見返りとして遊園地建設を条件に格安で用地を手に入れた、というあたりの事情は、以前から知っていたのだが、その詳細を実に見事に描いている。

後半は、ディズニーランドに関わった男たちのプロデューサーとしての生き様。
時間を遡って、印象的な逸話を次々と紹介。
「いい話」を聞いたなぁ、という感じ。
こういうのを読むと、自分も何がしかこの世に生きた証を残したいと思うのである。


ところで。
本書の感動が覚めやらぬうちに、隣国のこんなニュースを発見。


ナメとんのか。(怒)

「エンタメ」の夜明け/ ホイチョイプロダクションズ・馬場康夫 (講談社)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2103486

| 投稿者 きりう 15:56 | コメント(0)| トラックバック(0)

狂った裁判官 / 井上薫

元判事の著者。
紹介文には、「日本の司法システムの問題点を鋭くえぐる発言を続けた結果、2006年、」「退官を余儀なくされ」た、とある。
そういえばひと頃、法律系のBlogでこのヒトのことが取り上げられていたっけ。

裁判官の自己保身、評判を気にするあまりのサービス業化など、なるほどと思う話が書かれている。
裁判官の内側をここまで書いた本は初めて見た。なかなか興味深く読み始める。

だが、途中から、元の所属長(←著者のロジックに従えば"上司"にあらず)への個人攻撃としか思えない文章が出てくるのは、ちょっとどうかなあ・・・と思ってしまう。

また、判決文の理由欄には主文を導くための説明のみを書くべきという著者の主張について、論理は成立しているのかもしれないが、企業法務に身を置くきりうとしては、賛同できない論理である。
著者が"蛇足"と呼んでいる、主文に直接影響がない「判断」が判例という形で公開されてはじめて、条文解釈だけではどうにもならないグレーゾーンについての指針ができ、円滑な経済活動や社会行動につながっているということは、まるで評価しないらしい。
百歩譲って、"蛇足"は書くべきではないという主張を肯定したとしても、"蛇足"を書くことは裁判官の違法行為であるとする説は、あまりにも浮世離れしている感じがする。

出だしは面白いエピソードがいくつも書いてある本だったが、個人攻撃の後味の悪さ、条文原理主義ともいうべき主張の突飛さが、著者の品格と本書の価値を貶めているように思えるのは気のせいだろうか。

狂った裁判官 / 井上薫 (幻冬者新書)
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=300301

| 投稿者 きりう 23:21 | コメント(0)| トラックバック(0)

臆病者のための株入門 / 橘玲


生命保険で思わぬ小金を手にすることになり、使い道を考えた。

海外旅行。
住宅ローンの繰上返済。
定期預金。

なんかどれもさえないのである。
そこで、これまでの人生で手を出してこなかった「投資」の世界はどうだろう、なんて柄にもなく思ったわけである。

で、まずは勉強と、株とか投資とかの本で良さそうな入門書はないかなあと書店をぐるぐるまわってみた。
すると、以前に読んでなかなか面白いことを言っているという印象を受けた『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』の橘玲さんの名前を発見。
そうして手に取ったのが本書である。

読んでみた感想としては、内容が大変わかりやすくて良かったのだが、株式投資というのは有象無象が蠢くアヤシイ世界、そんな単純でいいのかいな?という一抹の不安が払拭できず、Amazonの書評なんぞも見てみる。
すると、あーやっぱりあった。
「50%くらいは正しいし50%は本当にそうかな?とも思える」、「誤解を恐れぬ単純化」 などなど。

やっぱり、そうそうウマイ話はないわいな。
・・って、この本自体にもそういう主旨のことが書いてあったりするのだが。(^^;

あ、誤解のないように言っておくが、これ、そんなウマイ儲け話が書いてある本では決してないのであり、そういうのをお求めの方は別の本を探した方がよろしい。

つまるところ、「投資はギャンブル」ということ、「ギャンブルに必勝法は存在しない」ということの2点をおさえられたことが、きりう的には収穫である。


さて、ちなみに保険金を原資とする「投資」の方だが、結局はかなり無難な商品(と思われるもの)になった。株ではなくて債券である。
それじゃ、本まで買って読んだ意味ないじゃ~ん。
リスクがとれないケツの穴の小さい自分を再認識ということで。

臆病者のための株入門 / 橘玲 (文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/6/60/51/9784166605149.shtml


| 投稿者 きりう 23:09 | コメント(0)| トラックバック(0)

ぼく、オタリーマン。 / よしたに

ブログから書籍化「ぼく、オタリーマン。」大ヒット 職場の実話で印税1000万!?
という記事を読んで妙に気になり、店頭で発見するやいなや、速攻で購入。
最近買ったマンガは、「気まぐれコンセプトクロニクル」に続いて2冊目。
きりう的には、「あり得んぞ、自分。」というくらいの思い切った行動である。面白くなかったら許さん

・・・と思って読み始めたのだが、いや、結構面白いわ、これ。
「わかる、わかる」って感じの話もあり。 (妙な親近感・・・マズイかな?^^;)

「オタク」がキーワードにはなっているが、さほど極端なものではない。
ってか、ちゃんとサラリーマンやれてる時点で「おたく」のもともとの語義からはズレていると思うんだが。
なんだかんだ言って立派なもんだよ、よしたにさん。

本書は、「ダンシングカンパニヰ」という、個人サイトに掲載された作品から選定されたものプラス書き下ろし作品で構成されているとのことで、多くはそのサイトに行けばタダで読める模様。
(ちなみに、本書自体の価格はオールカラーで1,000円。高いとみるかはご自由に。)

ということで、気に入ったからリンクを張ることにした。
今後もたまにチェックしよっと。

ぼく、オタリーマン。 ~ときどき戦い、ときどき負ける~ / よしたに (中経出版)
http://www.chukei.co.jp/cgi-bin/books/detail.rb?o_id=2675


| 投稿者 きりう 22:20 | コメント(0)| トラックバック(0)

失格社員 / 江上剛

数年前に住んでいたところでは、終電まで開いている書店駅前にあって重宝していた。
は、最寄り駅から自宅までの間に立地する書店の閉店時間が最も遅いところでも22時である。
この結果、仕事が割とヒマな時期以外は、会社帰りにふらりと書店に立ち寄るのが難しかった。

だが、先月下旬からこの状況に変化の兆し。
改装なった駅ビルに新規出店した本屋は、なんと23時まで開いている!

・・ということで、会社帰りにそこで買ってみた第1号が本書。
「嘘つき社員、セクハラ幹部、ゴマスリ役員―会社には不祥事の元凶がゴロゴロ。こんな奴が、あなたの傍にもいるはずだ!」という惹句だけ見て決めた。

短編集なので、通勤時間を利用して読むのにはちょうどいい。
片道の乗車時間でちょうど一話が終わるペース配分。

朝読み始めた長編小説がちょうど佳境に入ったところで会社に着いてしまい、後のストーリが気になって仕事が手につかない(!)というようなことにもならず、実にヘルシー(?)である。

内容的にも、いかにも「ありそうでなさそうな話」をコミカルに、シニカルに、という感じでスイスイ読める。

全部読み終わった後に一つひとつの話があまり強い印象として残っていないところ、イチ押しのオススメとまではいえないのだが、サラリーマンならまずまず楽しめる作品群だと思う。

よろしかったらどうぞ。

失格社員 / 江上剛 (新潮文庫)
http://www.shinchosha.co.jp/book/146224/




| 投稿者 きりう 22:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

気まぐれコンセプト クロニクル / ホイチョイプロダクションズ

[関連したBlog]

最近はめっきりマンガを読まなくなったが、映画「バブルへGO!」を見た後に本書を知りすぐに購入。
税込み2,310円はグッとくる価格だが、ビッグコミックスピリッツへの連載23年分の選りすぐり973頁とくれば、まあコストパフォーマンスとしては許容範囲である。

それにしても、1000頁近いこのボリュームはすごい。
毎晩寝る前にちょっとずつ読んでいたのだが、結局、全部読み終わるまで丸2週間かかった。

「バブルへGO!」の原案もあり、期待通りの「時代を切り取る面白さ」があったわけだが、意外に下ネタの多いマンガだったのだなあと改めて思った次第。

景気が良かろうが悪かろうが、所詮、オトコが考えるのはアノことばっかりということか。
もちろん自分もその例に漏れないわけだが。(爆)

気まぐれコンセプト クロニクル / ホイチョイプロダクションズ(小学館)
http://comics.shogakukan.co.jp/chronicle/index.html

| 投稿者 きりう 22:25 | コメント(0)| トラックバック(0)

悪魔のささやき / 加賀乙彦

人はなぜ思わぬ悪事に手を染めてしまうのか?
精神科医にして心理学者・作家である著者が、拘置所の技官として未決囚らと接見した経験をベースに、歴史や古典、現代の社会情勢などから、その原因と予防のための処方箋、世の中のあり方などを提言。

悪魔のささやき”が聞こえたとしか説明のしようのない犯罪というのが、間違いなく存在するのだと著者は主張する。
これについて、きりうは、正直なところよくわからないな、と思う。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。とんでもない犯罪をしでかした経験もなければ、専門的な心理学のトレーニングを受けたわけでもない。だから、専門家である著者の主張を検証する術がない。

ただ、その原因分析としての、日本の歴史・時代背景が犯罪に与える心理的な影響というのは、何となく共感できた。そう言われてみればそうだよなあ、と思う点。多々あり。
ただ、新書という限られたサイズの書面でわかりやすく結論にもっていくためだろうか、これだけの材料でそう断ずるのはちょっと乱暴でしょう、と思うような箇所も。

たとえば、「江戸時代」について。きりうは、二百数十年続いた平和な時代だったという意味で、割とポジティブなイメージにとらえていた。小学校のときにそのように習ったからだ。しかし、本書では、この時代に日本人は骨抜きにされた、自分の頭で考える習慣が奪われた、と言い切る。なるほどなるほど、それはわかりやすい
でも、これがオウム真理教で有名になった「マインド・コントロール」の遠因だ、と言っているようにも読めるとすれば、ちと言い過ぎのような気がするのである。
いやまてよ、これはきりうの読解力不足か?(そんな気もするね。)

こんな具合で、きりうにとっては、何だか、「おいしいんだけど、何か一味足りないよね、この料理」みたいに思えてしまう本だった、というのが正直な感想である。


悪魔のささやき / 加賀乙彦(集英社新書)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0354-c/index.html


と・こ・ろ・で。

#始めるときは、悪事に「を染める」なのに、
#やめるときは、悪事から「抜けする」というのはなぜ?(^^; ダレカオシエテ?


| 投稿者 きりう 23:40 | コメント(0)| トラックバック(0)

幻夜 / 東野圭吾

以前、ハードカバー版を図書館で借りて読んだのだが、そのときの感想として、「東野圭吾という作家はスゴい」という思いを決定的にした一冊。
それが先週、文庫になったというので、早速購入し、再読。

東野圭吾の作品は、昨年映画化された「手紙」を手始めに、「秘密」を読んで、単なる謎解きとしてのミステリーの面白さというより、人生のありようのようなものを緻密に書こうとしているのだな、という感想を持つに至って、特に気に入った作家さんである。
その後、「変身」、「宿命」、「レイクサイド」、「パラレルワールド・ラブストーリー」ときて、あの「白夜行」を読み、そしてこの「幻夜」である。
「白夜行」と「幻夜」は、人間のダークサイドをここまで見事に書けるものか、と心底思ったものである。

今回、再読しての感想。
当たり前のことだが、2度めの読書は、ストーリが既にわかっている分、謎解きの面白さはあまりない。
だが、さりげなく描かれた伏線が後の展開にピタリと嵌っていく中で、前回読み流していた場面の真の意味に気づいて改めて感嘆すること、一度や二度ではない。
つくづく、「東野圭吾はやはりスゴい」と思い直した次第である。

幻夜 / 東野圭吾 (集英社文庫)
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-746134-3&mode=1





| 投稿者 きりう 15:12 | コメント(0)| トラックバック(0)

バリア・セグメント 水の通う回路 完全版 / 松岡圭祐

時々、ヒーローやヒロインが大活躍して平和を守る、というような話を無性に読みたくなるときがある。
そんなとき、松岡圭祐の「千里眼」シリーズが、この子供じみたニーズを満たしてくれる。

本書も、そういう類の話だろうと勝手な憶測をして購入した。
ところが、「前書きにかえて」という序文に、次のようなフレーズがあり、いつもの千里眼シリーズに期待するようなわくわく感とはまた違った種類の興味を抱くことになった。

<以下引用>
じつは本作は執筆当初、ハードカバーで刊行されたものとは異なる"事件の真相"が描かれていた。けれども当時の編集者はいった。「これはミステリー小説の約束事に反している。真相は誰でも知っている身近なもので、しかも"真犯人"は、主人公のかねてからの知り合いの"意外な人物"でなければ」と。
 〔中略〕
そういうわけで、本書こそが1998年当時に出したかった『水の通う回路』の、いまあるべき姿である。
<引用終わり>

なるほど、ハードカバーでの刊行時のみならず、最初の文庫化(『バグ』と改題)でも不完全なままだったものを、ようやく著者の思い通りに仕上げたというのであれば、きりうの好きな"松岡ワールド"が全開になっているのかもしれない。
また、"ミステリー小説の約束事に反した"というストーリーが、どれほどのものか(あるいは本当に今一つのものなのか)を検証するという楽しみ方もできそうだ。

幸か不幸か、きりうはハードカバー版「水の通う回路」も、文庫版「バグ」も読んでいない。

で、祝日にもかかわらず、出勤した本日の帰りの電車の中で読了。

感想は・・・うーん、微妙だなあ。

主人公がヒーローとしてバリバリ活躍する姿はまずまず期待通りだったが。

肝心の、著者が描きたかったというエンディングが、これなのか?!と。
確かにリアリティはあるかもしれないけどね・・・。けどね、けどね、けどね・・・

これは、いっちょハードカバー版も読んでみなければ、と変な気が起きてしまう次第。

そっちの方が面白いンじゃないのか?!
こんな感想を抱かせるなんて、本当に商売上手な作家さんである。

バリア・セグメント 水の通う回路 完全版 / 松岡圭祐 (小学館文庫)
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_detail?isbn=4094081046

#ちなみに、ファンの方には有名らしいが、松岡圭祐氏の小説はハードカバーと文庫でストーリが違うことの方がむしろ普通だそうな。
#一つの小説が2度楽しめるともいえるが、いちいち買ってたらキリがないね。

| 投稿者 きりう 21:35 | コメント(0)| トラックバック(0)

つっこみ力/パオロ・マッツァリーノ

「カドを立てずに議論したい日本人にぴったりです」、「コツをつかめば、凡人や秀才にも習得できます」というオビの言葉に惹かれて購入。税込735円。

いろいろな視点からの”つっこみ”がなかなか面白い。

だが、書名である「つっこみ力」をつけるにはどうしたらよいのか、その処方箋は一体いつ示してくれるのだろうかと期待して読み進めても、最後までそれは出てこない。
「人は正しさだけでは興味を持ってくれない、その正しさを面白いと感じたときにのみ反応してくれる」という著者の主張には大いに共感するも、だからこそ、そのノウハウや具体的なありようを知りたくて購入したのに、なんとなく消化不良

著者のHPを見ると、以前の著書「反社会学講座」(イーストプレス)とセットで意味を成す、とある。
そちらで足りなかった処世術を加味した、とも。
うーん、そうだとすると、きりうが期待するような、ハウツーはそもそも書こうとはしていないのだろう。

まあ、面白かったからいいんだけど。
もし期待していたような内容の文章を読んだとしても、そういう力がすぐにつくとは思えないしね。

つっこみ力  /パオロ・マッツァリーノ(ちくま新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480063472/

| 投稿者 きりう 16:46 | コメント(0)| トラックバック(0)

職場はなぜ壊れるのか/荒井千暁

職場はなぜ壊れるのか - 産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書)

ポストバブルの時代、多くの企業が熱狂的に導入した成果主義人事制度。
しかし、昨今の論調は、導入当初に目論んだような効果で出ているかといえば大いに疑問、むしろ弊害の方が目立つ、というものが多いように思う。確かにそうかもしれない。

本書は、産業医の立場から「心の病」の問題や過労自殺の問題などについて、「成果主義の弊害」を検証しながら具体的に描かれたものである。
その主張はしっかりしており、なるほど慧眼だなと思わせる記述が多い。これで税込み735円は、安い。

さて、きりうの職場でも、成果主義的な人事制度が導入されている。

いや、「されている」って、まるで他人事みたいだな。誰かからツッコミ入りそう。

ここで、数年前に、人事制度の設計と運用指導の担当者として、導入「する」側にいたことを、カミングアウトしなくてはいけない。
そうじゃないと、この先の感想が書けぬ。(^^;

で、今日はちょっと真面目に語ってみることにする。

導入側としては、当初から「成果主義は運用を誤ると大変な副作用を伴う劇薬みたいなもの」という意識はあったのである。
ただ、それは「不平・不満が渦巻く職場」という、結果として正しかったけれども、同時に一面的でしかなかった見方であったようにも思う。
その意味で、本書に出てくるいくつかの「素描」は、当時の想定を越える事象を示していたり、あるいは裏付けたりして大変に興味深い。

また、「派遣という労働体系」が心の問題という観点からは相当ポジティブに捉えられているのは小さな驚き。
正社員と同じ(あるいはそれ以上の)仕事をしているのに、給与が低い、おかしい、という否定的な記事ばかりを、今の仕事柄、見すぎているからだろうか。

きりうが勤める会社の成果主義的人事制度は、きりうの後任者たちによって、今も進化を続けている。
その原動力には、「少しでも良いものに」という思いが(いろんな柵とともにではあるにせよ)あるはずだ。
もちろん、「職場のメンタルヘルス」という昨今を代表するキーワードも、十二分に考慮されていることだろう。

それでも、思うのだ。

正常なバランス感覚がなければ、どんな制度をつくっても問題はなくならない。
制度はツールに過ぎない。
運用者が自分の都合の良いように使えば、問題は起きる。
よく切れる包丁は、絶品料理をつくるのにも、ヒトを殺傷するのにも、使える。

誤用や悪用のリスクを小さくすることはできても、根絶は無理だ。
企業活動である以上、費用対効果という視点もある。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

さて、きりうは、正常なバランス感覚を持っているか。
「何様のつもり」の評価を、普段の言動を含めて部下に与えていはしないか。
今いる職場で、果たして「何ほどのこと」ができるのか。

しばし、沈思黙考せざるを得ない。


職場はなぜ壊れるのか - 産業医が見た人間関係の病理
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480063465/


| 投稿者 きりう 22:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

モルヒネ/安達千夏

祥伝社文庫。
きりうの自宅から一番近い書店にて、先週火曜に購入。昨日読了。

うずくまって泣きました」「私、文庫担当が今一番売りたい本です」というPOPに惹かれ、平積みの中から一冊を手に取る。
帯には、「歯を食いしばって読んだ。涙が止まらなかった。」「すばる文学賞作家が描く、究極の恋愛小説」とある。
裏表紙の惹句。どうも、女性医師と末期癌患者の話らしい。

今のきりう、癌の話はツボである。ものの10秒でお買い上げとあいなった。


・・・で、読後感であるが。

んー好きな文体ではある。いくらでもスイスイと読めそうな。
その意味では、きりうとは相性が良い作家のようだ。(相性が悪いと、大変な遅読になる。)

でもね、泣けなかった。すっげー泣く準備してたのに。

ここが「泣ける」ポイントなんだろうな、というのはわかったけれども。主人公の女医さんの気持ちも、相手の癌患者の気持ちも、概念的には理解できるような気がしたけれども。
しかし、感情移入はできないんだな、これが。
ここのポイントですっと気持ちの入っていける人が、うずくまって泣いたり、歯を食いしばって読んだりするのだろうね。

まだまだ修行が足らんのかな。人生の。

| 投稿者 きりう 22:21 | コメント(0)| トラックバック(0)