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きりう
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ハンマースローイングショット

このタイトルに反応した方は、相当なマニアに違いない。古いマンガなのだが、「テニスボーイ」という作品がある。その中で出てくる必殺ショット、それがハンマースローイングショットだ。文字通り、ハンマー投げの要領で大きなテイクバックをとり、そこからスイングする代物だった。必殺技としてはやや地味な画だったが、確かにこうすればショットの威力が増すかもしれん、と素人目には思わせるイメージを持っていた。実際には、ハンマーと比べるとラケットはメチャクチャ軽いから、そんなパワーが出るわけないのだけどね。*********** きりうは、この「テニスボーイ」のコミック全14巻を揃え、中高生時代に愛読していた。おそらく今でも実家に保管されている(はずである)。 主人公・飛鷹翔が、世界的なテニス選手養成学校のカリフォルニア学園にスカウトされ、そこでライバルたちと戦いながら成長していく、というのが物語の概要。カジュアルでお洒落な恋愛模様も描かれ、生活感や泥臭さのない、今思えば浮世離れしたお話だった。少年ジャンプで連載されていた本作品、唐突にラストを迎えるのだが(読者はがきの人気が低迷しての打ち切りだったのではないかと勝手に想像)、確か「数年後、飛鷹翔はウインブルドンでベスト16に入る選手になった」という英文の説明が最後のひとコマだったと記憶している。そう、当時は日本人選手がグランドスラムで2つも3つも勝つなんて夢物語に過ぎなかったのだよね。松岡修造氏が、韓国オープンでツアー優勝を成し遂げ、世界2位のエドバーグに勝ち、95年のウィンブルドンでベスト8に入ったところで、一概に夢物語でもなくなってはきたが、修造氏は日本人離れした恵まれた体格とパワーがあったので、平均的なジャパニーズが世界に伍して戦えるというイメージは、本当に何年か前までは持てなかった。常時200km/hを超えるサーブを打てる日本人なんか、今後もそうは出ないだろうしね。*********** さて、ここまでが長い前フリなのである。言いたいのは結局、錦織圭クンのこと。(汗) 以前からボンヤリ思っていたのだが、彼の人物像は、テニスボーイ・飛鷹翔とどこか重なるところがあるのである。修造氏と違って、抜群の体格というわけではない圭。日本人らしい敏捷さと器用さ、諦めないメンタルの強さ、クレバーな動き、これらが圭の強み。この上に「エンジョイ・テニス!」というセリフでも加われば飛鷹翔そのものじゃないか。 そして、フォアとバックの違いはあれど、圭のジャックナイフはハンマースローイングショットに通ずる。 チャンスボールに使う、速くて重くてコースが読みづらいショット。 うん、絶対そうだよな。 松岡修造が世界ランキングを駆け上がっていったときもかなり注視したものだが、今の錦織圭ほどの興奮が伴っていたかというと、そこまでではなかったように思う。 今のこの気分の高揚感、それは、「日本人男子が世界レベルに到達するとすれば、それは飛鷹翔のようなテニスができたときだろう」と思っていたのだが、まさにそういうテニスをする選手が目の前に現れたからこその感覚なのかもしれない。期待が大きくなりすぎているかな。でもそれに応えてくれそうなオーラを持っているのは間違いない。(さて余談だが、90年代のアジア系人種のトッププロ、マイケル・チャンも飛鷹翔に似ている。圭とチャンはあまり似ていないような気がするけど。いや、それにしても懐かしいな。) *********** 今回の全米で、圭はベスト16になった。成績では、ウインブルドンベスト16の飛鷹翔に既に追いつきつつある。何年かのうちに、超えることもできそうだ。現実がマンガを追い越していく状況。おお、考えてみればやっぱりすごいぞ。そんなこと考えていた今朝のウォーキングタイム、思わず口をついて出たのが、 あの頃の未来に僕らはたっているのかな(夜空のムコウ) だったのです。おじさんになるわけだよ>自分。
投稿者 きりう 21:00 | コメント(0)| トラックバック(0)
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