2008年12月25日
毒にも薬にも
いささか旧聞に属するが、こういうニュースがあった。**************新タイプ抗がん剤で副作用死? 厚労省が注意喚起を指示 2008年12月20日がん細胞だけを狙い攻撃する新しいタイプの抗がん剤「ソラフェニブトシル酸塩」(販売名ネクサバール錠)を今年12月までに使った腎細胞がん患者2人が、副作用が疑われる急性肺障害で死亡していたことが19日わかった。厚生労働省は同日、医師らに注意喚起するよう販売企業に指示した。同剤は「分子標的薬」の一つ。進行して切除が不可能だったり、転移したりした腎細胞がんに使われる。05年12月に米国で初めて承認され、現在は世界78カ国で承認。日本では今年4月に発売された。製造販売元のバイエル薬品などによると、使用患者数は11月までで約2千人。同社が厚労省に報告した内容によると、投与患者4人が間質性肺炎などを発症し、うち2人が亡くなった。急性肺障害は承認前には見つかっていなかった副作用と考えられるとして、厚労省は同社に対し、薬の添付文書に「重大な副作用」として追記するよう指導した。http://www.asahi.com/national/update/1220/TKY200812190421.html**************腎細胞癌には、過去、有効な抗癌剤がなかった。少なくとも、きりうの身体に癌細胞が発見された2年ちょっと前はそのように言われており、治療法は外科的な手術が中心で、他には免疫療法(インターフェロン等)くらいだった。自分の状況が、手術可能な「早期発見」だったことで、本当に胸をなでおろしたものだ。だから、この「ネクサバール錠」には、進行した腎細胞癌治療の新たな手立てとしての期待が高かったはず。国内承認されたのが2008年4月だったというから、まだ1年も経っていないのだ。それだけに、副作用による死亡の可能性が見てとれるこの記事には、何ともいえない気分が伴うのである。**************薬というのは、悪いものに効く毒なのだ???そのようなお説をどこかで聞いたことがある。悪いものだけに効けば良いが、そうでない場合(つまり副作用)も当然にあり得る。用法・用量を守るのは当然としても、新薬の場合はそれ自体が適切かどうかということもある。素人には判断できない問題だけに厄介。覚せい剤やモルヒネのような麻薬だってクスリといえばクスリだものね。**************折りしも、飯島愛さんの訃報。死因はまだ明らかでないが、薬物との関連が一部で報道されているようだ。仮に事実だとすれば、「自殺」だったのか、用法・用量を誤った「事故」なのかが、きりう的には気になるところ。**************なんだかまとまりがないが、微妙な気分になるニュースが多いと感じる年の瀬なのである。残り数日の2008年、もう変なニュースがありませんように。