2009年04月07日
【感想】学歴分断社会 吉川徹
日本の大卒層と非大卒層―。全人口におけるその割合は、ほぼ同数となってきた。しかもそれは今後も続く。これが本書の言う、学歴分断社会である。そして大卒/非大卒という分断線こそが、さまざまな格差を生む。学歴分断社会は、どのようにして生じたのか。そこに解決すべき問題はないのか。最新かつ最大規模の社会調査データを活用し、気鋭の社会学者がこれまでタブー視されてきたこの領域に鋭く切り込む。
…という本を読んだ。今日はその感想を。
学歴社会から実力社会へ、という流れにあるのが現代の一般的なイメージだろう。
現にワタシもそう思っていた。
ただ、何となくひっかかりを覚えてもいたのである。ちょっと気持ち悪いぞ、と。
本書では、その「気持ち悪さ」の中身を見事に説明している。
データの裏打ちをもった展開に、思わずううむと唸ってしまった。
こりゃ、たいした分析だわ。
本書の結論は、大卒層と非大卒層との間の格差が雇用に関する不平等を生んでいるという問題に対し、ダイバーシティ的な発想で、法的に(政治的に?)保護すべきというもの。
理屈としてはわかるが…実現性はどうなんでしょうね?
まあ、学者さんにはある意味の理想論を語ってもらわないといけないわけで、実現性を考慮した処方箋を書けということ自体、どだい無茶な話。
その意味で、この結論、これはこれでいいんだろうとも思う。
子を持つ親の目線からは、「こういう社会である以上、やはり大学までは出してやらないとな」と再認識したところである。
もちろん、大学さえ出れば十分ということではなく、どこからかは本人次第(それこそ実力主義)になっていくはずなのだけどね。
「同世代の著者に、ずいぶんいろいろと教えられたなあ」という気分の読書でした。
非大卒のわが弟と、今度、話をしてみよう。
■ 学歴分断社会 吉川徹 (ちくま新書)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064790
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