2008年11月13日
その日のまえに / 重松清
僕たちは「その日」に向かって生きてきた??。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか……。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。大好きな重松さんの作品。しかも、本書のテーマは死にゆくプロセスである。これは・・・きりうのために書いてくれたのか。(違)連作短編集、ということで、ただ短編を集めたのではなく、一つの世界を形成している。最後には全部つながっていたんだなあ、ということがわかる仕掛け。まあ、そんなテクニックよりも、いつもながらの重松節に泣かされるのだ。特に今回は、自分の姿を重ねたり、相方や息子をダブらせたり、と大忙し。途中から、場所を選ばないと迂闊に読めないな、と思ったものである。ほんと、すぐに目が曇るもの。そして、今日も生かされている自分を実感し、明日へのファイトをもらうのである。・・・ちょっとカラ元気ギミではあるがね。(笑)ああ、忙しいぞ、くそ。その日のまえに / 重松清 (文春文庫)http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/66/90/9784167669072.shtml